第61話 秘密の倉庫

塔ちゃん:……ということがあってな。

詩織  :酷い(涙)

皇ちゃん:塔ちゃんの子供か。すまん、盲点だった。

塔ちゃん:皇ちゃんのせいじゃない。俺だって気付いてなかった。

レファ :許せないわね、八咫烏。ふざけんなですわ。

フラン :酷い話だな。

早紀  :潰しに行くわよ。

皇ちゃん:早紀!ちょっと待て!

早紀  :なによ?ぶっ飛ばすわよ?

皇ちゃん:八咫烏を、だよな?

早紀  :どっちもよ

皇ちゃん:……

塔ちゃん:早紀さん。娘を探してもらえないだろうか?もし八咫烏を潰しに行っても人質に取られたりしたら……

早紀  :わかったわ。皇一、情報部を借りるわ。探索者に無理やり言うことを聞かせるために親族を誘拐している恐れがあるって言って調べさせるわ。

皇ちゃん:わかった。頼む。

詩織  :私たちもなにかできないですか?

レファ :いっそ、赤坂ダンジョンに攻め込んでやろうかしら

フラン :いいな。"称号"解放のときに使ったエネルギー結晶はなんでそこにあったんだろうな?なにかやってるんじゃないか?

 

とりあえず何かを頼めそうなやつらをグループチャットに呼んできて、そこに双子の娘がいたこと、そのうちの1人が八咫烏に誘拐され、1人が従わされていることを書いた。

 


フラン :その、白鳥姫乃という探索者以外は全員ぶっ飛ばしていいんだろ?

塔ちゃん:あぁ。クズばっかりだって言ってたからな、姫乃が。

レファ :よし。私たち"戦女神ヴァルキリー"も行くわよ!

詩織  :うっ、うん!

塔ちゃん:なんだその中2な名前は?

詩織  :師匠せんせい!!!

レファ :うっさいわね。いいじゃない!カッコいいじゃない!

塔ちゃん:確かにな。みんなありがとう。

:::::おう!



みんな励ましてくれて、協力してくれると言ってくれた。ありがたい。

あと、フランの日本語の上達っぷりが相変わらず凄い。



塔ちゃん:お前らが赤坂ダンジョンに行くなら、俺も行くぞ。俺が行った方が入り口で揉めなそうだしな。

レファ :揉める、の間違いじゃない?

塔ちゃん:催眠とか洗脳でばっちりだ!

フラン :心強いな。

詩織  :いいのかな……まぁいっか。師匠せんせいの娘ちゃんたちを助けなきゃ!


そして俺たちは赤坂ダンジョンに向かった。

俺は魔力で詩織の陰に隠れて行ったから誰にもバレてないはずだ。

ちなみに新宿ダンジョンの100層ボス部屋は空だ。

誰か来たら他のやつがポップする設定にしている。

きっと笑ってくれるはずだ。


アンノウン改……青い光を出す際に破滅の光を消さなくてもいいように無理やり調整した個体を置いておいたぜ。





「赤坂ダンジョンに入りたいだと?ほら、1人100万円だ」

「はぁ?ぼったくり商売しないでよ。ほら、1,000円ね」

「ふざけんな!?こっちは誰も来なくて商売あがったりなんだよ!」

「知らないわよ。あくどいことやってるからでしょ?」

「なんだとこの……すぅ……」


なんで俺が催眠をかけると言ってるのにこいつは言い争いを始めるんだろうか。

全くもって理解できないが外見が良いからファンが多いレファだが、もう少し詩織を見習ってお淑やかにしろと言いたい。

なぜかこいつにいろいろ言われても微笑ましい気分になるのは不思議だが。

ちっこいからか?


まさかこいつも知ってる誰か……例えば異世界の俺の娘の転生体とかじゃないよな。

うん、違う。精神波形が全く違う。なんか見覚えがあるが……うん。忘れよう。そんなはずはない。きっと勘違いだろう。




「ここはどういうダンジョンなんだ?」

「わからないわ!」

ずんずん歩いていくレファにフランが尋ねるが、レファは全く使えなかった。

そもそもこの方向であってる気もしないんだが。


「*〇◆△?☆●(オールマッピング)」

俺はダンジョン内を立体マッピングする魔法を使う。

ふむふむ。


ここ、100層まであるな。

登録上は80層じゃなかっただろうか?

まぁダンジョン協会管理じゃないから嘘言ってるんだろうな。


八咫烏も、それを許可してるお偉いさん方も、きっといろいろと真っ黒だ。


:おっ、配信開始?

:ここどこだ?

:知らない天井だ……

:どこに天井があるんだよ?

:称号取得チャレンジとかですか?リッチ様?


「あんたなんで配信開始してるのよ?」


塔ちゃん:変なもの見つけたときに証拠が欲しいだろ?

:どういうこと?どこへ行ってるの?

:また遠征ですか?

:新宿100層ボスにされたはずのリッチ様が普通に遠征している件wwww

:あのナルシストに見つかったらまずいんじゃ?

塔ちゃん:100層ボス部屋に入れなくしてからは1回も来てないぞ?今来てもあいつは入れないし、中には面白いの入れといたから探索者が来ても問題ないな。お勧めはしないが。


「ここは赤坂ダンジョンです。ちょっと事情があって、フランさんとレファと私で結成したチームと、師匠せんせいとで来ています」


:リッチ様同伴???

:うらやましい……

:いや、戦力がやべぇ!?

:八咫烏を潰す気なんかな?

:発想もやべぇ!?

:でも、それさすがにズルくね?リッチ様なんて過剰戦力すぎて


「私たちも普通の探索にリッチ様を連れて行こうとは思わないわ。でも、今回はむしろ私たちが付き添いなのよ」


:どゆこと?

:くわしく!

塔ちゃん:俺が諸事情があって八咫烏をぶっ潰したい。

:どストレート!!!!!!

:終わった。八咫烏が終わった……。

:【悲報】理由は不明だがリッチ様が八咫烏に激おこぷんぷん丸!!!

:"八咫烏の終焉"がツブヤイターのトレンド入りする未来が見える



そんな会話をしながら進んで行く。

マッピングした地図の中にあるおかしなものを目指して。

それは81層にあった。


「これは……」

「倉庫?」

「まさかこの中に……?」

:何の倉庫だ?

:そもそもここ何層だ?赤坂ダンジョンって80層までのダンジョンじゃなかったのか?

塔ちゃん:これは証拠だ。虚偽申告のな。ここは81層。間違いなく100層かそれ以上あるダンジョンだ。ここは。

:なにぃぃいいぃぃいいいいい!!!?

:虚偽申告なんて本当にあるんだ……

:ダンジョン協会管理のダンジョンでそんなことする意味がないからな。唯一の民間管理……八咫烏管理のダンジョンだからだろ。

:関わった大臣とか議員が終わった……って、もう30年以上前だからお墓の中か……


コメント欄が大盛り上がりになるのを横目に、俺は倉庫に入る。

そこには大量の青い宝石が置いてあった。そして……


 

「あぁ?なぜ貴様がここに……」

ラガリアスがいた。

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