第57話 配信回③探索者がわいわい
フラン :これは私でも取れるんだな
詩織 :称号獲得に何か条件があるのでしょうか?
塔ちゃん:普通はある。もし俺の前世と同じなら例えばオーク種だけを同じ日に1,000体倒したらオークキラーが取れるとかだ。フランは経験あるか?
フラン :シュトゥットガルトにある幸福の豚博物館近くのダンジョンにはオーク種しか出ないんだ。そこでドロップ肉を求めて狩りまくったことがある。
塔ちゃん:こういうのは世界を越えても一緒なのかもしれないな。
称号の機能解放は当然ながら大騒ぎになった。
しかもどうやら過去の実績で達成していれば探索者カード更新の際に取得できるようだ。
レファ :日本でそういうのができそうなとこないの?
????:千葉の柏ダンジョンとかオークが多いってのは聞いたことがある気が……
海堂 :沖縄にも豚ばっかのとこがあるぜ?
詩織 :オークの他にもゴブリンキラーとか、ドラゴンキラーとかが物語では登場しますよね?
塔ちゃん:ゴブリンとかドラゴンとか、あとはスライムやウルフ、幻獣、なんでもありだったな。どれも同じような取得条件だったが、当然稀少なモンスター程取りづらいな。
レファ :とれそうなやつを取って行きましょうよ。
倉木 :愛知には鳥ばっかりのとこがあるけど、鳥キラーはない?
塔ちゃん:聞いたことないな……
皇ちゃん:Gばっかりのとこがあるけど……
早紀 :死ね!
????:えっ???
????:会長~会長~!
????:会長生きてる?
????:女性も見てるとこでGだらけとか言うから
探索者はみんな称号に興味津々だった。
称号の件を発表した直後からダンジョン協会へのカード更新の駆け込みが爆増した。
Cランク以上にしておいてよかったな。
塔ちゃん:他に取りやすいのだと、レベルが10以上上のモンスターを倒したら低確率でゲットできる"下剋上"とか、HPが5%切った状態で格上を倒したら"起死回生"とか、いろいろあったんだけど、そもそもこの世界にレベルとかHPとかないしな……見れないだけかもしれないけど。
????:そういうのはランクを考慮しながら取れそうなら?って感じですかね?
塔ちゃん:そうだな。ちなみに1層ボスは2回倒しても複数称号取得はできないから、倒すのは1回にしてみんなで回した方がいいぞ
海堂 :そうなのか?すまん、3回倒しちまった。
紬 :もう、先走るから……
????:アンノウンが出なくなるとかあるんですかね?
塔ちゃん:ラガリアスが配置したモンスターだからな。ダンジョンにあいつが供給してるエネルギーが尽きたら出なくなるはずだ。
????:そうなんだ。モンスターはそんなことが……
塔ちゃん:少なくとも俺はできないぞ?通常モンスターにも絶対無理だ。ロゼリアはわからん。
????:上層部って感じなのかな?
塔ちゃん:だな。
詩織 :だいぶ情報が整理されましたね。それではみなさん、どこでもいいのでアンノウンを1回倒す、特定種が出やすいダンジョンで称号獲得を試す、この2つの方向で進めてみましょう。
????:おーーー!!!
????:また報告上げます!
皇ちゃん:頼むわ!ファイト!
????:おっ、会長生きてた。おつ~
海堂 :またな~
レファ :お疲れ~
塔ちゃん:お疲れ
俺の配信に全員集合状態だった。
でもまぁ、良い情報交換と作戦周知ができた。
ちなみに皇ちゃんが発表で海外からのカード更新受入もすると言ったことで、世界中から問い合わせが来てるらしい。
「フランさんはこれからどうするんですか?」
詩織があくびをしているフランに声をかける。
「ふあぁ。とりあえず突撃してきたからな。まずはホテルを探して、それからだな」
気を抜いてあくびをしているこいつは猪突猛進系らしい。
まぁ、戦い方もそんな感じだったな。
可愛い子がそんなことしたら危ないぞって言いたいが、世界ランク9位だしな。
こいつに勝てる奴はそうそういない。
「ねぇ、相談なんだけどさ。今、チーム組む相手が決まってないなら、組んでくれない?この3人で」
レファが神妙な顔をして唐突に提案する。
恭一がケガのせいか日和って離脱してるしな……。頑張れ恭一!
「いいですね。でも、フランさんだけ突出して強い状態になっちゃいますから、さすがに難しいでしょうか?」
詩織は興味津々だ。こいつも今ボッチだからな。
判断はフラン次第か。
ただ、フランには現時点でメリットはないかな。
「いや、2人がいいならお願いしよう。鍛えなおすつもりで来たしな」
と思ったが、あっさり承諾した。
むしろ誘われたのがちょっと嬉しそうだ。
「ほんと?やったー!!!」
「よろしくお願いします。フランさん、レファ」
「えぇ、よろしく。詩織、レファ。私のことはフランでいい」
速攻で仲良くなった。
良いことだな。
よく考えたらフランの日本語上達速度が半端ない……。
「じゃあ目標は打倒リッチね」
拳を握りしめるレファ……って、おいっ!
「ふふふ。いつかちゃんと倒したいですよね」
俺の方を見て不敵に笑う詩織……まぁ頑張れ。
「まずは鍛えてからだな。前回の戦い……そしてスタンピードでのことを考えると、今は全く勝てる気がしない」
と言いつつにやりとしたその表情……めちゃくちゃイメトレしてそうだな。
「そういえば詩織ってどこに住んでるの?フランは家に来る?」
「いいのか?」
「私は……」
レファの家は配信を見る限り広かったもんな。
3人は会話に花を咲かせ始めたから、俺は戻るとしよう。
塔ちゃん:じゃあ俺も帰るぞ。またな。
「はい!ありがとうございました、
見てないかなと思いつつコメントを打つと詩織が速攻で確認して挨拶してきた。
うん……可愛い。それに良い表情だ。よかったな。
「またね~次は挑みに行くから」
そしてこっちを見もせずに適当なことを言ってやがるレファ。
次来たら目にものを見せてやるぞ。
「リッチ。元気そうで安心した。また戦ってくれ」
こいつ、結構いいやつっぽいよな。
新宿ダンジョン協会でランドドラゴンと戦ってくれてたし。
最初はただの戦闘狂かと思ったが、真面目で性格が良くて真摯にダンジョンに挑む探索者は貴重だ。
詩織とレファが育つまでは退屈かもしれないから相手してやってもいい。
塔ちゃん:言い忘れたけど、八咫烏の赤坂ダンジョンを攻略するのもいいかもな。誰もいなくなってるだろう。フランがいるなら完全攻略するとかな。
そして鬱陶しそうなやつらへの嫌がらせにもなることをつい出来心で書いてしまった。
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