第49話 ラガリアスが再訪してきてウザいのでポイッ

新宿1層に配置されてしまったモンスターが予想以上に強かったので、余計に俺がボスとしてやることがなくなってしまった。

酷いことに、過去に新宿ダンジョンに挑んだ探索者でも転移石が使えなくなり、過去の到達階層に直接行くことができなくなってしまっていることもわかった。


つまり、あのアンノウンを倒さないと、誰も新宿ダンジョンの探索を行うことができないということだ。

ふざけんなよあの野郎!!!?


魔法無効で、物理攻撃もあの青い光で消してくる奴に探索者がどうやって勝つんだよ。しかも光を浴びると火傷するとか……。

いっそ俺が消してこようかな。



「くっくっくっく。どうだぁ。探索者などには倒せんだろう?」

そしてなぜか再びここにやってきてドヤ顔をしている、今世界で最も俺が殴りたい奴ランキングで圧倒的な1位のラガリアス……。

こんな口調だっただろうか?

 

「……」

俺は黙っている。きっと理解し合えないだろうこいつにかける言葉はないからな。

とりあえず動画制作を続けよう。

 

「なんだ。もっと反抗すると思っていたんだが、拍子抜けだな。まぁいい。前のように人間どもに私の映像を映し出せ」

こいつは魔力を使って勝手に俺のスマホでカメラを起動しやがった。

そして気障ったらしく仰々しいお辞儀を披露しているから、思いっきり中指を立てておく。


:配信開始だ~~~

:って、またあの吸血鬼がいるな

:リッチ様、思いっきり煽りポーズでウケるwww

:今度は何を言い出すんだ?



「くっくっく。1層に配置したモンスターすら倒せない脆弱な諸君、こんばんわ」

お辞儀を解いて顔をあげたラガリアスはカメラを見下しながら喋り始める。


配信に見せつけるようなドヤ顔を殴りたい。

そしてしれっと言語が通じてるのがまたうざい……。俺もこの魔法ほしいのに取れないのがまたムカつくな。

 

:こいつ思いっきり煽ってやがる……

:その後ろで寝転がって鼻くそほじるポーズとってるリッチ様……私たちは何を見せられているのでしょうか???


「そんな諸君に朗報だ」


:なんだ?

:また何かダンジョンに仕組むんじゃないか?


「この国中のダンジョンの低層にモンスターを配置してやろうというのだ。喜べ。もし倒せたら探索者の強化になるから貴様らも嬉しいだろう?あ~っはっはっはっは」

この野郎。日本中だと?


:マジかよ。

:新宿1層ボスと同じようなモンスターを配置するのか?

:あんまり公開されてないけど、アンノウンっていう名前らしいぜ?

:Sランク探索者でも倒せなかったって話だぜ?

:なにぃ???


「せいぜい足掻くんだな」

塔ちゃん:足掻くためにヒントくらいくれてもいいだろう?

:えっ?


頼むぞ、みんな。ちょっと黙ってて。

この調子に乗ってクルクル回ってるバカは気付いてないから。


:ぷぅ~くすくす。背中に……

:なんだあれ?ウン〇シールか?wwwwww


くっ、やつが回転したから背中が見える……。

マジかよ。前に貼ったやつ、まだくっつけてんのかこいつ。

だったら位置を捕捉できるうん〇シールに変えとこ……。


「ヒントだと?」

塔ちゃん:そうだ。お前は人間を殺したいとか言ってただろ?でも、このままだと誰もダンジョンに入らなくなるだけだぞ?


よし、気付かれてない。

考える姿すらカッコつけるためか、目を閉じてやがるぜ。



「うーむ……」

そしてさらに、顎に手を当てて考え始めた。

入ってこないなら外に出すぞとか言いそうに思ったけど、出せないのか?

なにか制約があるのか?



「いいだろう。あれは普段は魔力を通さない光に囲まれているが、物理攻撃を受けたり、気に入らないやつには魔法攻撃をしている。その仕組みを考えてみることだな」

……あれっ?ほぼ正解言ってない?こいつバカなのか?

ドヤ顔で語ってるのがウケる……。


あとはあの青い光を跳ね返すか耐えきる方法が問題だが、それは魔道具やスキルでなんとかなるだろう。



「せいぜい足掻くがいい!あ~っはっはっはっはっは」

わかったわかった。そろそろ帰れ。俺は偉そうなポーズで高笑いしているこいつを蹴り飛ばす。

 


「ぐぉお、なにをする!?貴様、死にたいらし……」

そしてボス部屋の扉が閉まる。

お前が入ってきてから一定時間経過したからな。

あとは入室不可設定の対象者にラガリアスを加えてっと。これでよし。よくわからない権限をもってやがるから無効にされるかもしれないが、とりあえずな。


俺を100層のボスに設定しやがったのがあのアホのミスだな。

少なくとも新宿ダンジョンに限ってはあいつの支配を避けて行こう。


 

「開けろ!おい!リッチ!俺に従え!!!」

扉の外からマヌケ面して叩いてるみたいだけど、さすがに無駄だぜ?

ずっと扉を叩く音が聞こえるのは煩いから適当なところに放り投げておこう。


「なに?転送門だと?ふざけるな、リッチ!おい!なんだこの魔法は?なぜ私が振りほどけない!?やめろぉぉおおお!!!」

ふぅ、静かになった。

煩いやつは適当に飛ばすに限るな。

 

この100層のボス部屋の奥には管理者のみが使えるコントロールパネルがあって、そこを操作してたらいろんなことができることがわかった。

普段ロゼリアがダンジョンのエネルギーがぁとか言ってたのはこれを動かすためのものだ。使ってるのを覗いたことはあるから何となく使えるし。


細かくいろんな設定ができるのも確認したが、面倒だからそんなことはしない。

1層ボスを消すことはではできなかったし……。

どうやら別の権限で設定してるらしい。ウザい。


あと、モンスターが外に出ないようにするのもできなかった。

 

:どうなってるんだ?

:私たちは何を見せられているのでしょうか?

:リッチ様に蹴り飛ばされたときのあいつの顔ウケる。

:切り抜き拡散完了!

:マジかよwwwwwww

:俺も切り抜きたいからどうかロゼリア様を……

塔ちゃん:ロゼリアはどっかいったぜ?

:なにぃぃいいぃぃいいいいい!!!?

:ふざけんなラガリアス!!!?



ラガリアスは人間からだいぶ嫌われたみたいだな。

まぁ迷惑だから仕方ないか。

 

コントロールパネルを弄ってるうちに、入り込んだ異物を別の場所に送る転移門っていうトラップが設置し放題なことがわかった。

それを出現させてラガリアスのやつを吹っ飛ばしたというわけだ。


ん~と、なぜかあいつは新宿ダンジョンからも消えてったみたいだな。 

ん?転移門って、別のダンジョンに飛ばすこともあるんだっけ?



 

……さて、静かになったところでラガリアスのやつがやらかした各地の低層モンスター対策をしよう。





***

お読みいただきありがとうございます。

溺愛コンテスト用の新作も毎日更新してます。ジャンルは違いますが、シリアスとか言い張りつつ、似たようなテンションで展開しています。もしよければ、こちら同様、応援(作品フォロー、星評価(☆☆☆→★★★)、♡、コメント)いただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

https://kakuyomu.jp/works/16818093080378662430


リッチ様:どうして急にアナウンスを始めたんだ?

蒼井星空:実はあまりPV伸びず……(´๐_๐) シュン...

リッチ様:あっはっはっはっは

蒼井星空:笑うな、くそリッチめ!

リッチ様:ダメ作品だったということで、どんまい

蒼井星空:そもそもPV伸びてないからわかんないだろ!?読んでもらえたら面白いかもしれないじゃないか!明日までに1,000PV伸びなかったら、お前次は新宿ダンジョン1,000層(※)のボスにするから。

リッチ様:はぁ?横暴だ!


※注)新宿ダンジョンには1,000層など存在しません。


なんていう妄想をしながら、皆様のお越しをお待ちしておりますm(_ _)m

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る