第46話 配信回②教育用動画の作成

□新宿ダンジョン100層(リッチ)


塔ちゃん:じゃあ、始めるぞ。まずは魔力の基礎からだな。

:思いのほか、お堅い感じで始まって草

:リッチ様なのよ?至高の資料になっているに決まってるわ♡

:誰もまねできない系のぶっ飛んだやつじゃなかったのか……。

:でも、珍しいね。こういう系の話の場合、詩織ちゃんとかレファちゃんとかいること多いのに。

:確かに……。

塔ちゃん:あぁ、あいつらなら今は新宿1層ボスの攻略に向かってるからいないぞ?

:なるほど。今回は初心者用だもんね。


新宿1層のボスとやらは、100層ボスにされてこのダンジョンの管理権限を強制的に付与された俺からも確認できない。

あのラガリアスという野郎は恐らく俺は知らないスキルとか情報を持っているんだろう。

勝手に人の居場所を弄りやがって。


だから詩織とレファにお願いして様子を見てくるように頼んだ。

詩織のチームがちょっとごたごたしてるらしいけど来週には行ってくれるらしい。


俺はその間にこの動画の作成を進めているというわけだ。



塔ちゃん:魔法系でも、武器系でも、スキルの基本は魔力だ。これはわかるよな。

凛:はい!

:元気にお返事できて偉いね。

:いや、そこまで幼くねぇだろ。

凛:ふふふ。そうですね。

:あぁ~妹に欲しい……。

:で、罵ってほしいんだろ?

:ちげぇよ。

凛:私はいつかリッチさんに悪戯させてあげれる大人の女になるので、ごめんなさい。

:なにぃぃいいぃぃいいいいい!!!?

:待って、凛ちゃん、早まっちゃダメ。

:毒されてる~

:まぁ、母親ともども窮地を救われたんだし、慕っていてもおかしくはないな。

:のぉぉおおぉぉおおおお!!!!


話が進まないから、ほんとやめてもらっていいかな?

凛を呼んだのは失敗だったかもしれない。

動画を見せる予定の探索者学校の生徒(予定)でかつ、自衛隊入隊済だからちょうどいいと思ったんだが。


自衛隊に入隊した場合、低年齢でも探索者カードを付与するっていうのは良い案だったよな、凛にとっては。


そうして流れる撮影済みの動画。


普通の探索者はまず得意な武器を選んでそれを使ってモンスターを倒しながら強くなっていくらしい。


しかし本来、もっとスキル、というか魔力を意識しながらやっていくべきなんだよな。

一番最初のまだ余裕のあるときにな。


未成長の段階だと大抵の人間が魔力容量>魔力保有量>>>一度に使える最大魔力量だから、いろいろと試しやすいんだ。

例えばスキルに多目に魔力を使ってみて威力が変わるか?とか、保有量以上に魔力を与えて魔力容量がどれくらいあるか測ったりとか……。

 

まぁ、そんな最初じゃないとできないこととかを理論的な解説と、実際にやってみる方法を交えながら解説している。

あとは覚えた魔法を改造するにも魔法の発動の際に魔力がどう動いているかを感覚的に理解する必要があるから意識しておけ~、とか喋った。

 

画面に映ってる理知的で親切で丁寧な骨がステキだろ?

俺だけど。


実際に喋ったら誰も理解してくれないから、全部にテロップつけたり、途中で解説資料を映したり、結構手間がかかったんだぞ?

みんな理解できたかな?


凛:魔力ってそんなに自由がきくものだったんですね。

:うんうん。画面の中に映ってる骨は頭おかしいから走り回る可愛い炎のネズミとか生み出しちゃってるけども……。

:エルダードラゴンを倒したあの魔法も魔改造されてたんだな。

:あれ、えぐかったもんね。

:明らかに身動き取れなくされた中で魔力に囲まれ、雷撃みたいなやつに少しづつ焼かれて消えてったもんな……。

:前にリッチ様の魔法が詩織ちゃんを追っかけてたように見えたけど、これだったんだな。

:倉木って人がレイピアでスキル生み出したのもこれなんだろ?魔力を知覚して纏わせて放った。

:探索者向けには出てた情報だけど、これだけ丁寧に整理してもらったら一般人の俺でもわかるな。

凛:とってもわかりやすいと思います。私は召喚呪文を魔改造してリッチさんを呼べるように頑張ります。

:wwwwwwwwww

塔ちゃん:いや、もうモンスターカードで召喚受入不可に設定したから、俺が行くことはないぞ?

:酷いリッチ様!

:こんなに可愛い子が懇願してるのに!?

塔ちゃん:だって、受入可にしたらいつだれに召喚されるかわからんから。

凛:そうだったんですね。じゃあ、召喚を魔改造して受入設定を無視できるように……

塔ちゃん:やめろwwwwww

:凛ちゃんならいつか生み出しそうだね

凛:うん!頑張る!

:かわいい――――――♡

塔ちゃん:まじでやめろwwww


また脱線してる。

賑やかなのはいいことだけど、話が進まないだろ!?

 

塔ちゃん:いや、まじで進まんから、次行くぞ?

凛:はーい。

:はーい。

塔ちゃん:次は魔力を使った探知の方法だ。これがあれば周囲を警戒してモンスターからの急襲はなくせるからな。

:おぉ……



そんな感じで俺は準備していた動画を順番に見せて意見を貰ったが、概ね好意的な内容だったのでほっと一息ついた。


塔ちゃん:ちなみに、他の動画は、練習に最適なモンスターたちを多く出会えるダンジョンについてとか、称号獲得の方法とかだ。あと、ボス部屋の仕様とかな。

:!?!?称号とは???

塔ちゃん:やっぱり誰も称号知らない?それならちゃんと動画作るかな。

::::お願いします!!!!!!

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