第45話 配信回①教育用動画の作成
□新宿ダンジョン100層(リッチ)
う~ん、こんなものだろう。
:リッチ様、今日も素敵~♡
:珍しく動き回ってたけど、なにしてたんだろうな?たまに魔法使ってたように見えたけど。
:能力確認とかかな?前回、首を落とされてたからきっとリポップしたんだろうし。
:なるほど。そういった細やかな努力がリッチ様の強さの秘密なのね
:自分の戦闘の場合明らかに適当感漂ってるし、それはないんじゃ……。
:なによ。リッチ様を貶める気?
:まぁまぁ。新宿の英雄がやることだし、何か意味はあるんじゃないか?聞いてみればいいじゃん。
配信を回したままにしてたら、なんか会話が進んでた。
塔ちゃん:悪い悪い。今日は動画を作ってたんだ。
:動画?
:えっ?リッチ様。映ってないけどどこかに可愛い子でもいたんですか?
:なにぃ?そういうことか?前にダンジョンでAV撮ろうとして湊会長がBANしたのってリッチ様ですか?
:いやいやいや。時系列おかしいだろ?あれだいぶ前の話よ?
:そもそも骨がどうやってAVやるんだよ。
:リッチ様なら無から生み出せそうな……
相変わらず視聴者たちは元気だな。
どうだ?探索者になってその元気を有効活用してみないか?
塔ちゃん:違うから。100層のボスになって暇だから前に考えてた教育用動画を撮ってたんだ。
:なにぃぃいいぃぃいいいいい!!!?
:って、なんの話だっけ?
:あれだよ。リッチ様の教えをまとめた動画を作って初心者とか教育機関に配布したらとかそんな話じゃなかった?
:思い出せん。
:なんにしても素敵よ♡
:ほんとアンチいなくなったよな。平和だ。
:新宿でえげつない魔法でエルダードラゴンを抹殺する姿と、自らの腕を犠牲にして新宿中のけが人治した英雄ムーブがあったからな。
:あれカッコよかったよな。
:ダンジョンに帰っていくリッチ様見て涙が止まらなかったよ
:私も指がとまらなかったわ♡
:ここにも出たな?消えろ変態!!!?
なにしてんだよ。
塔ちゃん:まぁいいや。今日はそれをみんなに見てもらって意見を貰おうかと思ってな。
:なんですと~~~~!?
:見たい見たい見たい見たい見たい!!!!
塔ちゃん:探索者学校の生徒とかでも理解できるかどうかっていう視点で頼みたい。それなら自衛隊が募集する新人にも当然使えるだろ。
:おぉおおぉぉおおおお
:さすがリッチ様。邪魔が入っても黙々と探索者育成に励んでますね
塔ちゃん:それで、今日はゲストを呼んであるから、彼女と一緒に見てほしい。じゃぁ流すぞ。
:誰?ゲスト誰?
:今までの流れだと、詩織ちゃんか、レファちゃんか、会長とか早紀さん。あとは海堂さんとか?
塔ちゃん:ゲストの紹介いる?
??:リッチさん。私、自己紹介してるので、動画の再生準備お願いしますね。
塔ちゃん:わかった。
小っちゃいのにやっぱりしっかりしてるよな。
なんか敬語使えるようになってるし。
レファとかより頭いいんじゃないか?
:おぉ?誰だ?
:ゲストって言ってもこっち側にいるんだな。
??:さすがに新宿の100層に辿り着く実力はなくてですね。
:そりゃそっか。100層だもんな。行けるのはAランク以上だもんな?
:しれっと『??』にしてるの手が込んでるwww
??:ありがとうございます。そうですね。前みたいにリッチ様を召喚できれば可能性はあると思いますが、もう無理ですね。
:召喚?今召喚って言った?
:まさか……
:竜也?
:誰だよwwwwwwwww
??:えっ?あっ、自己紹介するんでした。私は湯野凛です。10歳になりました。
:あぁぁあああぁああぁぁぁああああ、凛ちゃんだ!!!!!????
:どういうこと?なんで凛ちゃん?いや、あの、元気だったかい?
:お前が誰だよwwww
凛の登場で賑やかになったな。
事件は無事解決したとはいえ、世間がどう捉えているのか気になってたけど、問題はなさそうだな。
凛:私、この春から特別枠で自衛隊の低層警備隊に入ることになったんです。あと、飛び級で探索者学校にも。
:情報が多いけど、えぇと、きっと良いことだよな?
:おめでとう!
凛:ありがとうございます!リッチさんのおかげです。今はお母さんと一緒に東京に引っ越してきました。
:おぉ~。良かったなぁ。
うん。話を進められないからそろそろ動画流していいかな?
凛:あっ、ごめんなさい。リッチさんの準備は整ったみたいなので、動画を見せてもらいましょう。
塔ちゃん:あぁ。じゃあ、始めるぞ。
:どんな動画なんだろうな?
:いきなりエンシェントドラゴン倒してる動画だったらウケる(笑)
:全くもって初心者用じゃねぇだろwwwwwwwww
□千葉県柏市のとある場所(蛇沢玲奈)
一方その頃、新宿ダンジョン1層から撤退した玲奈は上司である黒田と一緒にとある場所を訪れていた。
もちろん組織のお偉いさんのところで、失態の釈明のためだ。
「工場の遺物回収に失敗しただと?」
「はい、申し訳ありません」
私は目の前にいる肉塊……すみません、上司を肉塊なんて呼んでしまうとは。
でっぷり太った恥ずかしい体、脂ぎった額に、血走った目。
……あぁ、面倒くさい。
なんであのアホの失態を私が報告しなきゃならないのよ。
怒りながらおしり触ってくるし、胸元凝視だし、まじで気持ち悪いわ。
「すぐに部隊を編成して、再度向かえ!このままでは権田元大臣にも賛同してくれていた企業にも話ができん」
「部隊ですか?ニュースを見られたと思いますが、ラガリアスというモンスターが出現させた1層ボスとやらが出現しています。映像及び特徴をまとめています。アレを倒せる探索者は思い当たりません」
「お前レベルでは考えも及ばんだろうが、ただ敗走するなどできるわけがないわ!」
くそ、お尻を叩くなよ気色悪い。
それなら自分で行けよクソ野郎。
元S級探索者なんだろ?
世界で最もみっともない探索者のくせに、よく偉そうに文句言えるわね。
「いいな、黒田」
「はい、総帥。白鳥も連れて行って参ります」
「わかったらさっさと行け!失敗したらただでは置かんからな!」
「はい。ではこれで失礼します。行くぞ、玲奈」
ずっと黙っていたのに急に話しかけられたのが面倒だったのか、さっさと話をまとめた黒田は私を促して退室する。
八咫烏のトップである四鳳院竜司の元を。
こいつも上司だが、最低野郎だ。
退室を促すふりをして尻に触るな。
***
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