第16話 レクチャー開始

バシーーーン!!!!!!!!


新宿ダンジョン40層のボス部屋おれのへやで清々しい音が鳴り響く。


大丈夫だよな?俺のほっぺついてるよな?

凄まじい威力のビンタだったけど、なくなってないよな?



ふぅ、ある。ちゃんとあるな。

俺は自分でほっぺを触って確認した。


「リッチ様~~~(怒)」

あっ、やべ。キレてる。


「リッチ様さすがにそれは……俺知~らね」

スススッと俺たちから離れる倉木……てめぇ、覚えとけよ?


「▲★◇■◆▼△※□彡」

なお、俺も同じようにスススッと逃げようとしたらローブ掴まれて引き寄せられて首元をぎゅってされた。

これ、オラオラ系に強引に告白される気弱系ヒロインのシチュエーションじゃないか?

やってるのは可愛い女の子と俺ことリッチだが……。


「なに言ってるのかわからないですよ!(怒)」

あっ、はい。


俺はスマホを打った。


塔ちゃん:すみませんでした。

しおりん:心配してたんですよ?

塔ちゃん:そっから?いや、はい、ごめんなさい。

 

『そっから?』って打った時の詩織の顔がやばかった。可愛い顔を歪ませて睨まれるとなかなか怖いもんだな。


しおりん:心配してたんですよ?

塔ちゃん:すまなかった。

そう書きながら、俺は詩織の頭に手をやってなでる。


しおりん:そんなんじゃ私もう許さないんですからね

塔ちゃん:ごめんよ。

しおりん:勝ったと思ったら出て来なくなったから、なにかしちゃったのかと思って……

 

いや、泣くなよ。

っていうかモンスター倒して出て来なくなったらそれはラッキーなのではないか?

こんなこと言ったら絶対怒るから言わないけど。


塔ちゃん:俺だってやりたくてやったわけじゃないんだよ

しおりん:!?なにかトラブルですか?

塔ちゃん:いや、倒されたら後なんか前世の夢を見てた。それで新宿ダンジョン40層のボス部屋おれのへやにポップするまで2日空いててな。

しおりん:そうだったんですか。わかりました。よかったです、また出てきてくれて。

 

おい、抱き着くな。美女が死霊に抱き着くとか、どんなホラーだよ。

ほら、倉木君が引いてるぞ?

これはロゼリアが出さないようにしてたとか言わんほうがいいなきっと。


しおりん:で、心配してやってきた私の胸をレイピアでつっついたのはなぜですか?

塔ちゃん;あっ、忘れてなかったんですね……

しおりん:リッチ様のエッチ!!!!!!

 

いてぇ!!!

抱きかかえたところにボディーブローはきつい……。


ぐはぁっ!

しかも蹲ったところを顔面キック……容赦なくなってきたな……俺のせいか……。


「うぉ、すげぇ……流れるような連撃で、しかもパンチにもキックにも聖属性魔力乗ってるだと?すっげぇな」


:倉木君、解説乙

:さすが我らのしおりんだ。ますます強くなってる。

:リッチ君はどうしてあんなしょうもない悪戯をするんだろうね?

:男の子は永遠に子供です

塔ちゃん;ぐぅ、ちょっ、ちょっと待って、詩織。これには深いわけが。


「問答無用です!覚悟!!!」

詩織は聖属性魔力をのっけた拳と脚で俺に連撃を叩きこみ、さらに剣まで……


「セイクリッドスラッシュ!!!」

「◆■□▲▼※☆▽〇◇」

うぉ、まさか負けた……。


:まじか。40層のリッチ様をそのままラッシュで仕留めた~~~wwwwwwww

:あれぞまさに恋人プレス

:どういうことだよwwwwww

:いや、まるで恋人かのように抱えてもらってるところからのボディーブロー、顔面キック、かかと落とし、放り投げ、正拳付き、蹴り上げ、ラストはセイクリッドスラッシュ……リッチ様になにもさせずに削り切ったすさまじい攻撃だった。

:ダウン!リッチ君がダウン!

:まぁ、他人もいて配信もされてるところで好きな人でかつ数日間音信不通で心配してた相手からエッチな悪戯されたらキレるわ

:あれはリッチ君が悪い


「ドロップ品が出ましたね。ってなんですかこれ~~~~~!!!!!!」

「凄まじいラッシュだった。勉強になったよ。で、なにが出たんだ?」

顔を赤くしながら叫ぶ詩織に戦い方が勉強になったと声をかける倉木。

その倉木が詩織が手に持ったものを覗き込むと、そこには抱き合うリッチと詩織……ただの写真だった。


「ウケる。せっかくボス倒したのにファンサービスみたいなツーショット写真1枚とかウケるwwwwww」


:なんじゃそりゃwwwwwww

:これはアレですな。恋人モードで倒したからドロップ品がファンサになったんじゃないか?

:そんなことあるの??????wwwwwwwww

:私も欲しいから明日新宿ダンジョンに挑みますわ♡

:私も欲しいわ!

:私も!

:魔力回復の指輪よりも食いつきが凄くて草

:詩織ちゃん目を覚まして!それはただのボスモンスターリッチだよ!

:あの写真見てちょっとニヤけたのを僕は見逃さなかったぞ!

:見逃すも何も照れてくねくねしてるじゃね~かよ!もうありゃ無理だ。

:詩織ちゃんなら仕方ないわ。私許せるよ!

:あれだけ猛アタックしてるものね。祝福するわ♡


こうしてリッチである俺にとって良かったのか悪かったのか分からない普通の一日が終わった。

もう前世の記憶を見るようなことはなく、普通に夜になってリポップし、詩織に鬼メッセージを送りまくって許してもらった。



あと、倉木は詩織の戦い方を見て魔力の展開方法のヒントを得たようで、後日レイピアに魔力を乗っけて放ったりできるようになったと報告が来た。

うんうん、今回も育成成功だな。

結果オーライだ!


そして使えるようになったスキルに名前を付けたらなぜかスキル名が付いたらしい。

新しいスキルが生まれた瞬間だな。

おめでとう。



***

ここまでお読みいただきありがとうございます!

それでは早速、キャラ紹介の第四弾です!今回こそはヒロインかもしれないよ!?


名前:ロゼリア、始祖バンパイア<エロテロリスト>


外見:銀髪ロングの大人の美しい女性風。豊満なボディ(を隠すつもりはないため、きっと配信に映り込んだだけでリッチのチャンネルがBANされる危険がある)


役回り:新宿ダンジョン100層のボス、かつこのダンジョンの管理者マスターである始祖バンパイア。たいてい服は着ていない。こんなのをお伽噺に出すわけにはいかないので退場済み。


星に願いを:もしこの物語が続けば私が登場することもあるかもだから、しっかり応援しなさい。いいわね。フォロー、星評価、コメント、応援よ?わかったわね!


   リッチ:お前、全裸でなにやってんだ?

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