第15話 スキルの魔改造
「まぁ、そういうことなら仕方ない!せっかくここまで遠征してきたんだから噂のリッチ様に一勝負お願いするぜ!」
そう言うやいなや、倉木がレイピアを構えて突っ込んできた。
おぉ、無駄のない動き。
一直線に俺の胸部を狙っているか。
俺は周囲にまき散らしている魔力を前面に集めて厚い魔力の壁を作る。
こいつはBランクってことだから、フェイントの可能性もあるのでまだ魔法にはしない。
すると、俺まであと2mくらいのところで急に姿を消す。
やっぱりな。
俺は瞬時に伏せて展開していた魔力の壁を移動させて魔法を発動する。
「マジッククッション」
「おぉ!?」
それにレイピアを突き立てる倉木。
やっぱり上に飛んでいたか。
発動したまるでクッションのように弾力性のある魔法障壁にレイピアを突き立てるが貫通はしない。
しかしいいジャンプだな。スキルを使った形跡がないから、脚力か?やるな。
しかし、まだまだ甘いな。俺の魔法はただの壁じゃないぜ?
普通のマジッククッションに改良を加えていて、刺さるほど動かしづらくなるのと……
「ぐぅ、抜けねぇ。なんだこれ!?って、ぎゃーーーー」
刺さったとこから電気が流れるんだ。
もう遅いか。
「くっ、さすがリッチ様。ただの魔法障壁だと思ったのになんという理不尽な魔改造……」
:おぉ、立った!
:クラキが立った!
:うるせぇよwwwww
:どういうこと?魔法障壁にレイピアが刺さって抜けなくなるとか、そこから電気が流れるのとかが普通はありえないってこと?
:ありえないだろ。ただ弾力性のある魔法障壁が出て防いで終わりよ。
:なんであんなことできるんだろうな?
:スキルは改造できるぞ?こんな上層でやるやつはいないだろうけど、100層以上になったら通常スキルなんかじゃ逆立ちしても戦えない。
:と、S級探索者の方は申しており……
その通りだな。
こいつは深層に行ってるか、もしくは手をかけてるくらいの探索者だな。
普段、こういった情報は流れないからここで一度解説しておくか。
塔ちゃん:ダンジョンの設計的にはそうなんだろうな。100層以上でモンスターの化け物度合いが引き上がるときに、使ってるスキルや戦法、魔力の使い方とかいろんなものを見直していく必要にかられる。その辺りまではスキルって言うのは使い勝手のいいオートマ車みたいなもんだな。
:なるほど。たしかにスキルって決められた効果を発揮する感じですよね。
詩織:便利だけど相手にとって読みやすいですね
レファ:だからこそフェイントを入れたり、タイミングずらしたりして頭を使って行かないと攻撃をあてることもできなくなるって聞きました。
:おぉ、さすがここの将来有望な探索者は違うね~
:二人とも頑張って!
理解してくれてるのは嬉しいな。教えた甲斐がある。
:リッチ様のホーミングする魔法も同じように効果を足す改造をしてるってこと?
:なるほど。リッチ様が変態なのかと思ってたけど、やっぱり変態だったんだな
:結局、変態じゃね~か!
:リッチ様の魔力行使は凄いと思うぞ?俺は今、103層まで行った探索者だけどここに辿り着いて、画面にたまに移るリッチ様の魔力行使を見て勉強させてもらってる。
:おぉ、まじかよ!
:やっぱリッチ君はすごかったんだな
:ただのエッチなリッチじゃなかったんだな
:ふざけるな!神が与えたもうたスキルこそ至高!それを改変するなど身の程を知れ!
:なんか変なやつ来たな。ほい、通報っと、もういないや。
:なんだったんだ?
「すげぇな、リッチ様。だがまだ俺は力尽きてない。まだまだ付き合ってもらうぜ!」
「◆▽△★□◇☆○」
:相変わらずなに言ってるかわかんない
:倉木がんばるな。そりゃ名古屋から遠征したんだから当然か。
:きっとバトル終わったらリッチ様が張り切ってレポート書いて送りつけるパターンよねwww
塔ちゃん:ふむ。魔力行使の練習をさせてやるのもいいかもしれないな
:ちょっ、レイピアの連撃受けながらスマホ打ってんの草
:足からシャドウストライクとかどういう状況よwww
塔ちゃん:腕を失うこともあるだろうから、たまにはやっておかないと足が鈍るぞ?
:どんな状況を想定しているんだ(ごくり)
「くそっ、まいった。勝てるイメージがわかねぇ!」
その後も攻撃の主導権を渡してカウンターでダメージを与える戦法を見せていたら降参されてしまった。
まぁ頑張ったほうだな。
戦い方は安定して高レベルだし、戦闘中に対処もできる視野と思考を持っている。
実際、何度かレイピアの攻撃がマジッククッションのない部分を通って俺の腕を掠めて行った。
:ふむ、頑張ったな。
レファ:そこそこでしたね。Bランクならもうちょっと粘りが欲しかったですが。
:厳しい採点wwwwww
塔ちゃん:これはあれだな。せっかくだから魔力行使の実践でもさせるか。
:おぉ~~~レクチャーだ!
:対象は女の子限定じゃなかったんだな!?
:当たり前だろ?前に"
:本当だ……。ただのエッチなリッチかと……
俺はガヤを無視して、倉木にスマホを向ける。
「ん?配信を見ろってことか?」
塔ちゃん:そうだ。
「ここで見れるのか。わかった」
塔ちゃん:まずお前の良い点はぶれのない脚力と重心でそれによって動き回りながらでも安定して攻撃や回避ができるし、思考もできるから戦術変更などもできることだな。基礎鍛錬をちゃんとやってることがよくわかる。
「うぉ、なんかそんな風に言われると恥ずかしいな」
:さすがだな。その若さでソロでBランクになってるだけのことはある。
:ホントだ。
:そしてそれを見抜いているリッチ様、さすがだ。
塔ちゃん:それから、レイピアの特性を活かして一転集中の攻撃をしているが、普通なら弱点になりそうな周囲の防御は魔法でしっかり貼っているな。あとは脚力がしっかりしていることで回避性能も高い。
「あぁ、レイピアを使うにあたって優先的に鍛えたところだ!」
少しニヤニヤしているな。人間褒められれば誰しも嬉しいものだろう。
塔ちゃん:一方で、さらに上を目指そうと思った時に課題になるのが攻撃力と飛び道具に対する対処方法だな。
:なるほど。
:どういうこと?
:わからない。
:なんで『なるほど』って言ったんだよ!
「おっしゃる通り。課題なんだ。だから魔法を鍛えようと思ったんだが消費が激しくてな。それで魔力回復の指輪を探しに来たんだ」
:なるほど。
:これは俺でも分かった。
塔ちゃん:ふむふむ。しかし、普通に魔法攻撃なんかやったら足は止まるし、レイピアも止まるからあまり勧められんな。
「やっぱりか?う~ん……」
塔ちゃん:だから俺のお勧めはレイピアを魔法剣に変えてしまって、それを使って刺突に魔力を乗っけてしまうことだな。それなら飛び道具として使用しやすいだろう。
「なるほど。ただ、レイピアにはスキル体系がないからな~。前に魔法剣士の使ってたファイヤーソードってやつを真似してレイピアでやってみたんだけどなにも発動しなかったんだ」
:そうだったのか。
:たしかに剣技とか斧技とか刀技は聞いたことあるけど、レイピア技ってないな。
:マイナー武器の宿命……
:こら!レイピアに謝れ!
塔ちゃん;体系として整備されてないだけで、発動はもちろん可能だ。ただ、レイピアなりのやり方が必要になるだろうな。
:えっ?
「どうか教えてください」
そして倉木が俺に土下座していた。
***
ここまでお読みいただきありがとうございます!
それではキャラ紹介の第三弾!もしかしたらヒロインかも……痛い……殴られた……。
名前:綾瀬レファ<魔法使い>
外見:お人形さんみたいな金髪ロングに可愛らしいお顔。華奢な体。ハーフ。
リッチ:ただし好みではない。
レファ:突然出てこないでよこのくそリッチ!
役回り:意気込んだ恭一に誘われて探索に訪れたところリッチに酷い辱めを受けてしまい、それ以来打倒くそリッチを掲げて活動する探索者。普段は小悪魔だがたまに隠し切れない良い娘が顔を覗かせてしまう。そんな彼女は猫。
リッチ:いねーよ!桃太郎に猫いねーよ!
レファ:だれがあなたの仲間になんてなるものですか!
リッチ:……絶対ならない?
レファ:え?無理でしょ?だってモンスターだもんね……。
星に願いを:いつも読んでくれてありがとう、お兄ちゃん♡お姉ちゃん♡ぜひこれからもレファを応援してね。フォローや星評価、コメント、応援いっぱいちょうだいね♡
リッチ:あざとい……
作者:完璧じゃないか。
レファ:ふふん
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