第7話 大人たちの右往左往
□首相官邸にて
「では、緊急会議を開催する。忌憚のない意見をお願いする。それではまずダンジョン協会の見解を教えてほしい」
総理大臣が紅潮した顔でこの場に集まった者たちを順番に見つめながら会議を開始した。
この場にはすべての大臣が揃っている。
普段は事なかれ主義の総理大臣である大田が短期間で会議を招集したのには訳があり、全員がそれに気付いている。
「はい、総理。ありがとうございます。皆様、ダンジョン協会会長の湊です」
そんな総理大臣に促されて、湊が話を始める。
「今回の龍の発言は想定外のものであり、警告的なものでした。"計画"というのがどのようなものなのかは明らかではありませんが、間違いなく龍はダンジョン攻略を推奨しています。しかし前回までの発言に必ずあったダンジョン探索への労いが消えており、逆に『計画に達していない』と警告しています。新たな敵や罠を出してくると言っています。おそらくダンジョンの難易度は上がります。それも、これまでの変化よりも大きく」
湊は大臣たちへの牽制の意味を込めて、力強く断言した。
「なっ、ダンジョンの経済的利用はどうなる?すでに一部のダンジョンでは実験を開始しているのだぞ?」
発言したのは経済産業大臣の権田だ。
総理大臣が懸念していることはこれ……ダンジョンの経済活動への利用計画だった。
その推進者が権田であり、閣議決定され、国の方針としても発表されたこの計画に基づいて行動していた。
計画の内容としては、すでに星の数ほど探索されたダンジョンの上層のうちの一部、具体的には危険度の低いダンジョンの1~5層に企業や工場、農地を誘致しようというものだ。
「中断した方が良いでしょう。敵も変われば罠も増えると言うことになれば、設置している対策が機能しない可能性もあります」
しかし湊会長は当然のようにそれを蹴散らす発言をする。
そもそも上層だからと言って何が出てくるかはわからない。
そこに一般人を入れるなんて、湊からすれば正気の沙汰ではなかった。
が、ダンジョンに入らない一般人にはその感覚は理解できない。
「そんなことが今さらできるものか!どれだけの予算を投入したと思ってるんだ!」
権田は怒り心頭で唾をまき散らしながら怒鳴る。
「もともとダンジョン協会としては反対していた案です。ダンジョンは未知なのです。いつ変化するかわからないダンジョンを活用するとしたら、あくまでも資源やアイテム回収を行うべきで、生産活動を安定的に実施できるとは考えない方がよいと申し上げたはずです」
しかし湊は折れない。当初から反対していたからだ。
顔を赤くしている権田を逆に冷徹に睨み返した。
「まぁまぁ湊くん。そうは言うが、過去の変化はいずれも10層よりも深い層で起きたことで、上層の話ではない。今回のものだって上層が変化するかどうかはわからないのだ。様子見としつつ探索者を活用して調査や対処をすればいいのではないか?」
総理大臣が仲裁のような形で割って入るが、その意見は湊からすればお花畑で微睡んでいるかのような妄想的なものだった。
「それで一般人が亡くなるような事故が起こった場合、どう対応するのですか?そもそも上層に探索者を集めるようなことをすれば、ダンジョン探索はさらに遅れます。龍はあきらかにダンジョン探索を推奨していて、それが遅れていると言っているのにそのようなことをするのですか?」
ダンジョンに入らないものはわかっていない。
どれほどの危険がありうるのか、それらと探索者がどのように向き合っているのかを。
農作業している一般人を農地ごと守りながら探索者に戦えと言うのか?
自分の命すら守れる確証はないのに?
「どうしても継続すると仰るのであれば、上層の守りは自衛隊や警察組織にお任せする」
なので、湊会長はただただ冷静に発言した。相当な費用をかけて自分たちでやれと。
「さすがに自衛隊は出せないだろう。湊会長。いくら費用が掛かると思っているのだ?」
総理がそんなことを間抜けな顔で言いだしたので、すかさずカウンターを放つ。
「では、探索者を出すとしてどれほどの費用が必要か、試算しましょうか?例えば新宿の1層を警備するとして、入植者が1,000人と仮定すると、どこで事件が起きても対応するなら1分で移動可能な範囲に数名ずつの探索者が必要です。全体を覆うには300人程度の探索者が必要でしょう。建物や農地までまもるのであればそれを24時間なので、約1,000人は必要です。危険手当込みで1日5万円は必要なので、毎日5千万円。それが5層で2.5億円。さらに今の計画だと300ものダンジョンに配置する計画だったと思うので、1日750億円。年間だと27.4兆円ですな。そもそも30万人といえば日本の探索者人口の20%に当たるので、彼らが売却していたアイテムなどにかかっていた税収も失われますが……」
湊が話す横で財務大臣の大木が青を通り越して白い顔をしていた……。
「不可能ですな」
そう言い放ったのは内閣官房長官の三村だ。
「しっ、しかしそこまで手厚く守らなくても防衛機器を活用すれば……」
それでもまだ権田は食い下がろうとするが、さすがにその意見には違和感を持つ大臣が出てくる。
「ダンジョンに入るのに十分な守りを与えずに行けと言うのですか?すでに龍の発言はニュースにもなっており、不安も広がっています。入植に応募するものがいなくなりますよ?」
文部科学大臣の水崎が当然の懸念を表明する。
そしてそれ以上の意見は出なかった。
「ダンジョンの経済的活用計画は一時停止する」
珍しく総理がその場で結論を出し、会議を解散した。
会議が終わって全員が退出していく中で湊会長は柳原課長とともに厳しい顔のまま退出し、権田はそんな湊を睨みながらゆっくりと歩いて行った。
なんて話があったらしい……。
皇ちゃんに教えてもらったんだ。
だから言わんこっちゃない。
もっと頑張れ探索者!俺のところに来い!
ん?なんで世界崩壊させたいのに龍は探索を進めろって言ってるのかって?俺はむしろ計画というやつに注目したね。
進めることによってなにかができるようになるのは確定だ。それで龍はダンジョンを変化させてきた。
人間にとっては悪夢なのかもな。進んだら崩壊、進まなくても龍がなにかをやらかす。だったら強くなって龍を倒して崩壊阻止しようぜ!
って、思ってるだけじゃ探索者がやってこない。
もっと興味を惹かなくては……。
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