第2話
後日、無事熱も引きだいぶ頭が軽くなったので前世の記憶を整理しようと思う。
ここは恐らく童話を舞台とした乙女ゲーム、「童話の世界で愛されています!」の世界だろう。このゲーム、バットエンドしか無いことで有名だし、何よりガバガバな設定と課金をしないと進めないとかいうクソゲーである。
「なぜ私がこの世界に……?」
考えられる可能性は2つ、1つ目は死ぬ直前までこのゲームをプレイしていたから。2つ目は神様の気分。
「……分からんな」
とりあえずそれは置いておいて、先に対処しないといけない問題が存在する。
この世界での私はヒロインを虐める悪役令嬢。悪役令嬢と言えば溺愛ルートに入るのが当然だと思うのだ。つまり私勝ち組。
「いえーい!!!」
おっと嬉しすぎて叫んでしまった。
勝ち組なのはいいがルートを変更しなければならない。その為にはほぼ攻略不可能と言われた攻略対象達を攻略しなければいけないのだ。あれ……もしや負け組か…?
「お嬢様!ゼウナ様がお見えです。」
「あ、はい今行きます!」
ゼウナ・ドードナー。私と同い年にして私の婚約者である。容姿端麗で成績優秀。美しい金髪は彼の特徴だ。
が、実際はヒロインに愛されないなら死んでやる系のメンヘラである。言葉を間違えると直ぐに死ぬので扱いがなんとも難しい。
「ヘラ、大丈夫ですか?」
「えぇ…大丈夫ですよ」
ヒロインと出会うまでは婚約者であるヘラに依存しきりであり、我儘なヘラのことが大好きであったがヒロインに一目惚れし、最終的に私はこいつに殺される。
「また高熱が出たそうですね…本当に大丈夫なんですか?」
「今は落ち着いているので問題ないかと」
「それなら良かったです!」
こいつの思考は大方理解出来るが、時にヤンデレも見せてくるのが厄介だ。
「そ、それじゃあ私は帰りますので…」
「え…なんでですか!?もしかして僕の事が嫌いなんですか…?違いますよね?そうですよね?」
ほら、でた。これぞ厄介なメンヘラ系男子。
「ゼウナ様は嫌いでは無いですよ…はは。」
「なら良かったです!」
「じゃ、私は体調の事もありますので…」
「お大事にしてくださいね。僕の大事なヘラ。」
「えぇ、では。」
はぁ〜疲れた。
部屋に戻りベッドに飛び込む。ふかふかなお布団が気持ちいい…なんだかこのまま眠ってしまいそう……
「おい!ヘラ!出てこーい」
なっこいつは…!?
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