ヤングマンの残念な文化祭

 高校の文化祭へ遊びに行ってきた。


 生徒の安全の為、家族のみの事前申し込みしか認められていないので一般客はまばらである。

 自分も通った高校だけに感慨が深い。学年は違うが同じ高校に通った友人と共に訪れた文化祭は若者パワーが溢れていた。


 

 入ってすぐにたこ焼きの屋台があり、女子はばっちりメイクでキラキラしている。

少し歩くとある焼きそばの屋台では、男子生徒が黒執事的なメイド服を着て接待している。

 髪型も比較的自由なので、まとめ髪のロン毛の男子もいて時代を感じる。

 ちなみに屋台は三年生のみに許されるの特権である。

 

 クラスの出し物で『ポケ〇ン』の謎解きゲームをしてるクラスではポケモンの被り物、『マリ〇ブラザーズ』の被り物をしている軍団は手押しのマリオカートの出し物をしている。

 料理部のカフェではクッキーとブラウニーと飲み物のセット、手作りパフェ屋では抹茶パフェを選んだ。

 抹茶パフェに入っている白玉が堅くてそれも楽しかった。友人はチョコパフェで、これまた美味しそうに作れていた。


 体育館では軽音部のバンドで盛り上がっていた。

 これは私の時代から同じだが、生徒の数が圧倒的に少ないので体育館が広い。

 今は一学年7クラスだが、私の時は14クラスあったのだ。

 昔を思い出して私のテンションはマックスである。ムスコの友人はイケメンで歌も上手いので軽音部のトリを飾っていた。正直カッコいい。マジでカッコいいのだ。

 隣の友人もぽうっとしていた。

 40代女二人で何やってんだと思うが、それも文化祭マジックだろう。


 今の若者は覇気がないとかいろいろ言われるが、実りが得られることや好きな事には一生懸命になれる。

 要は無駄が徹底的に嫌いなのだと思う。

 そこを理解して付き合わないと一緒に働くは難しいかな、と思うことが仕事上で多くなってきたところだ。


 さて、このように若者がキラキラしている中うちのムスコはどうしているかって?


「ねー、あんたのクラスの出し物何なん?」と聞いた私。

「え、俺大会やでおらんで」

「……」


 なんと彼は空手の大会に出ていたのだ。

 彼の高校は 勉強→部活→行事 の順で優先なので、強制で文化祭は欠席であった。


 組手の試合で早々に負けた為文化祭が終わってから(!)

学校に戻って片付だけ楽しんだようだ。

 なんとも残念な文化祭であったが、母は十分に楽しませてもらった。


 ムスコは飲食物のチケットを事前にゲットする為に、お昼ご飯も食べずに列に並んでくれた。(きっちり代金は請求された)


 これぞ親孝行、これまで育ててきた甲斐があったと思う。この先一つも親孝行らしきものがないかもしれないが、これですべて賄える気がする、そんな出来事だった。

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