ヤングマンの三者懇談

「いらんこと言わんとってな」


 そうムスコに釘を刺されて望んだ高校の三者懇談。

 彼はゲームクリエイターになりたいと言っている。進路もこだわらないそうだ。


 担任の先生は若かった。小島よしおに似ている、眼力のある方だ。

 その先生の軽みがすごい。伝統ある進学校であることを誇りにしている高校なのだが、専門学校の話まで先生の口から出てきて時代を感じた。

 親身になって話を聞いてくれた1年生の厳しい担任の先生が懐かしい。どうしても『経験豊かなA先生ならなんて言うだろう』と思ってしまう。わがままな親である。すいません。


 数年前までは『専門学校なんて論外だ!』と厳しく指導されたであろう、ムスコの進路。自由な時代になったと思う。その分自己責任が重くなるので、帰宅してからムスコと話し合った。


 結果、この夏休みから一年間精一杯勉強をし、3年の夏休みの成績によって大学か専門学校か決めることになった。


 親としてはゲーム業界に入りたい人が多すぎて飽和状態であることと、5%以下と言われる狭き門に入ってからも40代でクリエイターとしてのピークを迎えるであろうことを考えてしまう。とにかく心配だ。


「めっちゃ勉強していい大学に入って、ゲーム系の会社に新入社員で入る。偏差値的に無理やったら専門学校で勉強して自分でゲームを作る」


(うん、無理ゲー)


と思うが、仕方ない。

 本音は大学に入って好きな分野を突き詰めて欲しい。就職の際にゲーム会社に落ちても方向転換が効きそうだからだ。

 ちなみにゲーム系の専門学校からゲーム会社に入れる確率はとても低い。生徒全員が入れる程度の求人を用意できない専門学校は詐欺だと思う。ここ重要。


「応援しとるで頑張ってね」


 苦い気持ちを抱えながら笑顔で応援する母親である。

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