やりきれないヤングマン
ムスコが珍しく体育祭の委員の一人になった。
何とか係・何とか委員・何とか長というものを避けて生きてきた彼に何があったのかは知らないがいい傾向だ。
進学校の体育祭・文化祭なので普段の勉強の抑圧の反動かとても盛り上がる。その装置として毎年クラスTシャツなぞを作るのだが、彼はその担当となった。
「ねえ、これダサい?」「これええんちゃう」「後々も着れる柄がええよな」
友人と電話で何度も相談し、ムスメに意見を求めたりしてやっと決まり、洋々と学校に案を持って行った。
これで一段落、と思っていたら、帰宅した彼はおかんむりだった。
「柄を決めるアンケートに全然協力しやんかったくせに、俺らが決めたら女子が反対して好きなヤツにしたんやで!ムカつくわ!!」
ふむふむ。
しかしこんなのよくある。彼が感じたやりきれなさを今まで他の人が感じていたが、それに気が付いていなかっただけだ。
「あんたが今まで避けてきた面倒臭いことがどんなんかわかったんやでよかったやん」
私がそう言うと、『そういえば心当たりが…』という顔をしていた。
誰もが人の善意を踏みにじって生きていたりする。無意識でも意識的にも。
学校というシステムが嫌いな私だが、社会に出る前にそういった経験ができる学校はやはりありがたいと思う今日この頃だ。
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