「神話が生まれた時のように」
黒塚多聞
神話が生まれた時のように
世界よどうか変わらないでくれないだろうか 夜明けを迎え朝陽に包まれる
毎日が植物的に進みゆく
朝凪の静まっている汀にてきみが来るのを待ちわびている
現れたきみは女神のように神々しい光を纏って微笑んでいる
いつものように何気ない会話をしつつ静止した汀を共に歩く
この瞬間が続いて欲しいとただ願う汀はまるで楽園のようだ
幾度も夜を越えて朝を迎え朝が来ればまだ乗り越えられる
僕たちの今日も明日も塗り替えて世界を彩ろう指先で
未来がなくても何も要らないきみが待っていればそれだけで何も要らない
特別なものは要らないただ今日をきみと二人で共に過ごそう
永遠が幻なことに気づいたよ君の瞳をじっと見つめる
海鳴りが微かに聞こゆ海岸の空には鷗が飛び群れをなす
凪のごとく静かな時を過ごしおり幼き闇を抱きつつ眠る
夕陽とともに落下していく天使たちの微かな記憶を夕は運ぶ
眠ったきみを横目で見やる夢か現かわからぬ夜の只中にいる
ほくたちの闇の中にはうつくしきひかりなどない欠片のみ在る
あなたから射せるオーラとわたくしのさまようたましいが通ひ合って
はつなつの雨に降られて傘はなく犀はこころの果てまで歩む
夏の雨Phosphorescence濡れていて時折ひかりの雫かがやく
造花の咲く曠野に風が吹き荒れる神話が生まれた時のように
「神話が生まれた時のように」 黒塚多聞 @tamonnkuro
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