幕間
もう少しだ。
携帯電話を握り締める手が震えていた。本当にもうすこしなのかどうかは知らない。本当にゴールがあるのかどうかもわからない。けれど、もしあるなら、きっとこの先だということはわかる。
あとすこし。あとちょっと。
それできっとたどりつく。
「はー……」
無意識に息を吐いていた。肺の底から絞り出された空気が、じんわりと部屋の中に溜まっていく。ぎゅっと目を瞑って、おねがいします、と何度も神様に祈った。おねがいします。どうかおねがいします。
「きっと、」
きっと大丈夫。きっとたどりつく。
あと、たったすこしで。
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