第5話

「いいんだぜ、オヤジのコトバなんて

無視しちゃって」

町嶋くんがドトールで放課後そう、話してくれたの。

「うん」

「オヤジ、最近ちょっとボケちゃってさ。カワイイ子と

ウメボシの区別もつかないんだ」

うん?なんじゃ、それは。ききずてならん。

つまりわたしはウメボシのようだってことか?

「でも、わたし町嶋くんのことキライじゃないよ」

わたしは、少しづつ、少しづつ、恋人くんに惹かれて

いる自分に気づいていたの。

「そういう、気をもたせるような言い方するもんじゃ

ないよ」

「でも」

「キライならキライといってくれ」

町嶋くんが荒々しく席を立って、その場を

離れようとしたの。

「スキよ」

「えっ?」

「恋人くんのことが,スキ」

「生恋」

わたしは町嶋くんと見つめ合ったの。

時がとまったような気がしたわ。

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