第29話
「隼くん、よく鈍感って言われない?」
「いや、言われたことないな」
なんで突然そんなこと聞いてくるんだろう。残念ながら俺はラブコメ主人公みたいなに難聴鈍感系主人公ではない。
それにたまーにいる謎に自信満々な主人公でもない。そもそも俺は主人公ではないし、どちらかといえば久遠さんの方が主人公に向いている。
でもまあ誰しも自分が主人公、みたいな言葉も一応あるし主人公ではあってもジャンルはラブコメではないということにしておこう。
そうだな、あえて例をあげるとするならば日常系だな。日常系にしては男女に違和感を覚えないこともないが別にいいか。
誰も俺のラブコメ展開を求めてねぇよ。母さんくらいだ。新しい父さんも久遠さんも求めてくれているかな。
「うっそー、告白されたことはないの?」
「ないよ。告白に夢中だったし」
ないから彼女もいないわけで、初恋も青水さんなんだよな。今考えたらなぜ中学校では好きな人が出来なかったのか分からない。
中学にも高校みたいに二つ名持ちの美少女たちが数人いた。霧も入っていた…と思う。
流石は幼馴染だな。霧の可愛さは良い意味で異常だ。
「確かにねぇ。同じ人に百回も告白する人に告白する人なんて普通いないか」
「煽ってる…?」
「ううん…!」
彼女はわざとらしい笑みを浮かべて俺のことを見つめる。
完全にやってるなこの人。最後に!マークついてるような話し方だったし。やっぱり俺は察しがいいんだよ。
コレダイジ。コレダイジ。
大事なことだから二回言わせてもらった。
朝になり、朝食を久遠さんに振舞ってから俺たちは学校へとやってきていた。もちろん一緒に登校はしていない。
理由は単純で、周りに勘違いされないためである。既に昨日一緒に行っているし意味ない気がしないこともないが念のためにね。
久遠さんは好きな人がいるとも言っていた。だというのに俺と一緒に歩いていたらその男子君に勘違いされてしまったら彼女に恋の成就の妨げになるだろう。
家族の恋は応援したい。
そういえば学校に来たということはテイラーさんと会うことになるんだよなぁ。気まずいなぁ。
出来ることなら会いたくないんだが。
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