第23話
座っていたのだが…もちろん俺と言葉を交わすことはなく、クラスの陽キャたちに囲まれていた。
お陰様ですぐ後ろがものすごくうるさい。キャーキャー、ギャーギャー本当にうるさい。
転校生に興味を持つなとは言わない、というか興味を持たない方が無理だろう。俺だって少しは気になるところがある。
でも周りのことも考えて欲しいものだ。最近クラスの陽キャが真ん中で踊っている動画などが流行っているが、正直あれも俺たち陰キャ側からしたらただの地獄である。
もちろん久遠さんの方にも沢山集まっている。簡単に今の状況を説明するならば、クラスの陽キャ約12、13人くらいの奴らが半分になってクラスの端と端に集っている感じだ。
久遠さんの方はとてもダルそうな感じで皆の相手をしているように見える。
彼らの話を軽く受け流しながら、クラス中をキョロキョロと見渡している。
多分、青水さんを探してるんだろうなぁ。一応、青水さんの名前は教えていないはずだからまだバレることは無いだろうけど。
バレるのも時間の問題だな。
最近ふと察してきたものがある。
それは…青水さんが俺に構ってきているということだ。
100回も振った相手である俺に構う理由まではまだ分からないが、そのことは本当だ。
ずうーっとずうーっと、ずうーっと俺が告白し続けていた時にはまったく見向きもしてくれなかったのに今更何をしたいんだろう。
俺の事が好きになった……はありえないしなぁ。もし好きになってくれていたのならばめちゃくちゃ嬉しい。
けど付き合うのか…と聞かれればNOである。
だって100回も俺を振り、傷つけられたのだ。相手からしたらなんてことの無い告白だったのだろうが、俺のあの告白はガチのやつだった。
今更向こうから告白されたからといって、直ぐにOKは出さないだろう。
再び彼女との関係を再構築する所から始めるのが普通である。
「なぁなぁ、リリさん。なんで日本に来たんだ?親の都合ってなんだ?」
早速デリカシーのない質問をテイラーさんに浴びせている陽キャ達。主に男子。
それに加えてもう下の名前で読んでいる。がめつすぎるだろ。
でもまあ尊敬はする。出会って数分の相手に下の名前で親しげに話しかけるのは俺にはできない。
「特別なことはありません。父が
「なるほどなぁー」
おい、興味ねぇなら最初からその質問するなよ。
「それで突然だけど、テイラーさんって彼氏とかいるの?」
またまたデリカシーの欠けらも無い質問だな。初対面の人にかける2つ目の質問がそれか?!
「残念ながら、まだそのように呼べる方は出来たことがありません」
「そうかぁ、確かに残念だなぁ。俺とかどう?……なんちゃって」
まったく面白くないぞお前。
テイラーさんも苦笑いしているじゃないか。
「冗談きついって竹内」
「冗談だって言っただろ。リリさんとはこれから仲良くなるんだよ」
「あんたを好きになるわけないじゃん!」
「なんだって?!」
その通りだよ、女子生徒さん。名前は存じ上げないけど、陽キャの中でも話が分かりそうだから名前を覚えるとしよう。
うん、何様俺?
◇
「ねぇねぇ、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
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