第11話(一部改編)
月曜日、全ての人類がため息を吐くことになるのであろう悪魔の月曜日。社会人は出社が始まり、学生は登校しなければいけない。
こんな時、ドラえも〇の秘密道〇があればいいなぁと思う。俺がまだ小学生だったころは毎週欠かさず見てたな。久しぶりに見たくなった来た。
今度見ようかな。
そうして姉さんが用意してくれていた朝食を満足に平らげて、さっそく学校へとやってきた。
今日も今日とて教室に入ると水餅が話しかけてきた。相変わらずの男である。まあ水餅のおかげでまだ学校に行く気力を保てているわけだし、言葉にはしないけど感謝していたりする。
「おう藍木」
「なんだ、さっそく」
「嫌そうな顔してんな。もう話しかけないぞ」
「ああ、ごめんって。冗談だよ冗談。ほんとっ、ごめんって」
俺がそう言うと、水餅はニヤリと口角を上げて薄気味悪い声で笑う。…くそ、はめられた。こいつにだけは負けたくなかったのに。
「そうだよなぁ、藍木は俺が必要だもんなぁ」
くそ、めんどくさいモードに入りやがったこの野郎。
俺たち以外のクラスメイト達は皆そろって水餅に注目している。きっと変な奴だなぁ、なんて考えてるのではなかろうか。だが水餅はこのような姿を周りに晒しても問題ないから羨ましい。
「そうだな、そうですね、はい」
「うわ、珍しく藍木が認めたぞ。記念日だな」
「うるさいっ」
調子狂わされるな、いい意味で。ちなみに俺は水餅のように周りを沸かせるような特技は持ち合わせていない。
百回告白をしたという点を持ち出せば、皆を黙らせることはできると思う。自虐ネタだからあんまり好きじゃないけど。
「それで桜花はどうだった?」
「桜花って、ああ初音さんのことか」
「そうそう、あいつは楽しかったって言ってたけど。ただあいつの性格上自分だけ楽しんだんじゃないかって心配だったんだけど…その様子なら心配なさそうだな」
「その様子?」
「ああ、藍木。お前、今めちゃ楽しそうな顔してたから」
「え、まじ?」
慌てて顔を触るも自分がどんな表情をしているのかは分からない。
「連絡先交換したらしいな」
「まあ一応」
あの後まだお互いに連絡は取りあっていない。…男として家に帰ってから感想の一つや二つ送るべきだったかな。
「初めて?」
「ん?」
「女子の連絡先」
「あ~、まあ、そういうことになるな」
実は昨日、家に帰った後俺は女子と連絡先交換できたことが嬉しすぎてベッドの上で小一時間暴れてしまった。母さんでも姉さんでもない異性の連絡先。
俺の夢の一つが達成できたことに興奮が冷めやまず、結果…暴れてしまった。その姿を姉さんに見られてしまって地獄の空気になったのは秘密。
「良かったじゃないか。青水さんのことは忘れられそうか?」
「うーん、まだ自分の気持ちが整理できてないな。でも…まだ好きなんだと思う」
「そうか…そうだよな。、百回も告白した相手をすぐに忘れろってのも無理は話だ」
その時、始業を意味するチャイムが鳴り響いた。
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