第5話

「私、告白されたの!」


「告白?!」


 まさか彼女から告白という言葉を聞くとは思わなくてびっくりしてしまう。加えてつい最近俺は好きな人を諦めたばっかりだから敏感になっていたのもあるだろう。


 タイミングよすぎて図られていたんじゃないかって思ってしまう。彼女に限ってそんなことはないんだけどさ。

 

「学校の奴にか?」


「うん、私今まで告白されたことなくてさ」


「そうなんだ、意外だな」


 友達贔屓なしで蜜璃は結構可愛いと思う。まあ青水さんには遠く及ばないけど世間一般的に見れば彼女は美少女に分類されるタイプだ。

 清潔感だってあるし、生粋の陽キャ性格だし告白されてないといわれたら信じられない。


「意外ってなんで?私あんまりモテないんだヨ?」


「嘘だろ。蜜璃って結構可愛いじゃん。学校でも絶対男子たちから引っ張りだこだと思ってたわ」


「可愛いって…そんなことないよ」


 蜜璃は顔を手で隠して俯いている。でも耳が凄く赤くなっているし、照れているみたいだ。

 周りから言われ慣れているだろうし、俺は特別意識しない。普通のチョロい男なら恋に落ちてしまうのだろうけど、俺の恋する心は依然青水さんは握っている。


 新しい恋を探せって水餅から言われたし、きっぱり心を整理しないとだよな。今度蜜璃でも誘って遊園地にでも行こう。デートじゃないけど、それをきっかけに立ち直れるんじゃないかな。


「それで告白の返事はどうしたんだ?」


 あのテンションの昂り具合から多分受けたのだろう。…ということはこれから蜜璃はここに来なくなるのだろうか。

 

 そういえば蜜璃に彼氏が出来たのであれば遊園地に誘うのはだめだな。もし彼氏に見られたりでもしたら彼女が浮気したと思われちゃうかもしれないし。

 

 そんなのだめだ。蜜璃には今までここで楽しく過ごしてきた思い出があるし、幸せになってもらいたい。

 でももし彼氏というやつがクズだったら彼女から離してあげたい。


「断ったよ」


「そうだよな、じゃあ元気で…って、え?今なんて?」


「断ったよって言ったの。別に私その人のこと好きじゃなかったし、好きじゃなかったら普通断るでしょ」


「そ、そうだな。確かにその通りだ」


「でしょ?」


 そりゃそうだ。告白されても自分がその人のことを好きじゃなかったら受けるわけがない。

 俺が毎日のように告白していた青水さん、彼女が俺のことを好きなわけがないんだから告白を受け入れてくれるわけがない。


 迷惑だっただろうな。想像するだけで彼女の気持ちが手に取るように分かる。今度謝りたい…けど、もう2度と話しかけないって言っちゃったし…諦めよう。


 あ、でも神藤さんが今度青水さんを連れてあーだこーだって言ってたし話す機会もないわけではなさそう。


「あ、なんか今他のこと考えてたでしょ。今は私に集中してよ」


「ち、近いぞ蜜璃」


「私は気にしない。それとも隼は嫌なの?」


「そんなわけないだろ。蜜璃は友達なんだからさ」


「友達って…ねぇ隼。男女の友情は成立すると思う?」

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