第48話 裏サイト(1)


 俺の方としては、明日も学校があるので付き合ってもいられない。

 それにスマホの長時間利用は、心身共にいい影響はないだろう。


 取りえず、綺華あやかという少女の食いつきは良かった。

 八月朔日ほずみの読み通りとなったワケだ。


なにやら、どっと疲れてしまったが……)


 この調子なら仲良くなるのもスグだろう。ただ、相手が「女子中学生である」ということを考慮するのなら、警戒心が薄い気もする。


 まあ、親と不仲な子供など、こんなモノかもしれない。

 俺としては好都合だが、同時に心配にもなった。


(後でそれとなく注意しておくか……)


 いや、今はそれよりも新たに発生した問題への対処法を考えよう。

 ちなみに問題とは、猫の知識と写真が無いことだ。


 思った以上に会話が盛り上がり、今日撮った分の写真を使ってしまった。

 中学生といえば多感な時期でもある。


 家に引きこもっているということは、家族以外と真面まともに会話すらしていないハズだ。

 他人ひととの会話にえているのだろう。


 そう考えると可哀そうな気がしてくる。


(もう少し相手をしてあげれば良かっただろうか……)


 どの道、ネタを仕入れなければならない。連続で行きたくはないが、また明日、猫の写真をりに猫カフェ『マッスルキャット』へ行くことにしよう。


 折角せっかくなので、店長から猫の知識も教えてもらった方が良さそうだ。

 益々ますますもって『無類の猫好き』とうわさされそうだが、そこはあきらめよう。


 色々と考えることがあったため、その日は風呂で少しのぼせてしまった。

 その翌々日――


 綺華もだいぶれたのか、猫以外のことも話すようになった。

 まあ、猫の会話ばかりも続かないのだろう


 俺も猫文字を理解できるようになったので、初日よりもスムーズに会話できている。しかし、順調ではあるが懸念けねんもあった。


 綺華が俺に依存するようになってしまっては「良い傾向けいこう」とは言えない。

 【呪い】が解呪できた際のアフターケアも考えた方がいいだろう。


 明日は白鷺しらさぎ女史と再び、綺華の家へ行く予定だ。

 その後、アプリのことを説明し、アフターケアの件も相談しよう。


 解呪することが出来たとしても、その影響は残るだろうから、しばらくは母親と別居させた方がいい。


 経済的な問題もあるので、所長へは俺よりも白鷺女史の口から報告してもらった方が良さそうだ。


(しかし……)


 たった数日で随分ずいぶんと猫の知識も増えてしまった。

 あまり勉強は得意な方ではない。


 猫に使った時間を勉学に当てるべきだった気もする。

 果たして、この知識が役に立つ時は来るのだろうか?


 まあ、もともと猫神の【呪い】を受けているので、多少の知識は付けていた。

 もう少しだけ勉強を続けることにしよう。


 約束の時間になったので、俺はアプリを起動する。いつも通り、綺華の猫トークに付き合った後、頃合いを見て本題に入ることにした。


(吉と出るか凶と出るか……)


 まずは【今、学校で『呪術』が流行はやっているみたいで怖いです】といった感じのメッセージを送ってみる。


 実際にはガクガクブルブルと震えている猫の絵文字が表示されているので、本気で怖がっている感じはしない。


 ただ、明日は彼女の家へ行く予定なので、その前に「少しでも情報を増やしておきい」というねらいがあった。


 八月朔日ほずみへ結果を報告するにしても、ただ「仲良く会話しました」だけではあきれられてしまうだろう。


 いつもならスグに綺華からメッセージが返ってくるハズだが、沈黙が続いた。


(失敗だったか?)


 俺が話題を変えようとすると【呪術サイトがありますからね】といった内容のメッセージが返ってくる。詳しく聞きたいところだが――


(ここはワンクッション置いて……)


 【そんなサイトがあるのですか? 気を付けないといけませんね】と返す。

 どうやら、学校の裏サイトで相手の個人情報を書き込むと、その相手を呪ってくれるそうだ。


 ただ、その際、呪う理由を書き込む必要がある。

 これは俺の推測だが【呪い】というよりは――


(その書き込みを見た生徒たちによる、特定の生徒へ対する集団リンチなのでは?)


 といった気がする。正義の名のもとに実行される暴力というヤツだ。

 名前の書かれた生徒になにかあれば「呪いだ!」という事になる。


(とんだマッチポンプだな……)


 当然、裏サイトが原因の出来事なので、学校側も「イジメがあったなんて知りませんでした」と言いそうだ。


 実際のところ「イジメがあることを知ろうとしませんでした」と言うのが正解のような気もする。


 まあ、学校は子供を預かり教育する場である。


なにを言っても「なぁんだ、そっか~」と世間が許すことはなさそうだ……)


 学校側が出来ることは、裏サイトを見付けるための専用検索サイトの利用やリテラシー教育の徹底てってい。中学生なら『ペアレンタルコントロール』のお願いなどだ。


 またイジメ事件では、被害者の顏や氏名がさらされることはあっても、加害者の情報は少年法や未成年であることを理由に報じられることがない。


 しかし、ネットでは違う。イジメ加害者がネット住民のターゲットにされ、正義の名のもとに自宅や家族をターゲットに攻撃される事件も起きている。


 イジメ加害者の個人情報がネットにさらされ、見覚えのない連中が加害者の自宅に集まってくるようになるのだ。


 玄関や壁に誹謗中傷の張り紙や落書きがされ、興味本位のいたずら電話や「この人殺し!」といった罵声の電話が自宅や両親の職場へとかかってくる。


 警察に通報しても「パトロールを強化するようにします」と言われるがオチだろう。加害者側も真面まともな生活を送れなくなる危険があることを伝えるべきだ。




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 ฅ^>ω<^ฅ やったね! 綺華ちゃんと

 仲良くなりました。この調子で色々と

 聞いてしまいましょう。


 Σฅ(º ロ º ฅ) おや、学校の裏サイトなる

 モノがあるようです。直接は関係なさ

 そうですが、もう少し詳しく聞く必要

 がありそうです。

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 ※土日は投稿をお休みします。

  次の投稿は8/26(月)です。

  (ฅ¯ω¯ฅ )ニャ~ ᗦ↞◃ ᗦ↞◃ ᗦ↞◃ ᗦ↞◃

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