第5話 ゲボクとすんでる(2)
俺の位置からだと、木の枝葉が邪魔で視界が悪い。道路の状況が分からないので、改めて、綺華に人や車が来ていない事を確認してもらう。
綺華は左右を確認した後、手で丸を作った。大丈夫らしい。
俺は木の上からアスファルトへ向かって
(成功だ……)
それから、仔猫を右手へ持ち替えると、守るように
まずは
着地の
爪先が地面へ
最後に仔猫を抱えていない方の左手を地面に突く。やや倒れるような体勢を取りながら、足と同様に
この際、同時に曲げた片手と両足を使って地面を押すのがコツだ。
手足をバネのように使うイメージである。
ただ、俺の場合は『
ポンプを押すとピョンピョン
不格好だったためか、綺華たちへ余計な心配を掛けてしまったらしい。
「
と声を
『あー、ビックリした!』
と仔猫。実際には「ニャー」と鳴いただけである。
取り
(まあ、大した高さではないので問題ないだろう……)
ゆっくりと立ち上がる俺に対し「大丈夫ですか?」と綺華は心配する。
俺は手の汚れを払いながら「問題ない」と答えた。
足も痛くはないし、骨にも異常はない。「走れ」と言われたのなら、問題なく
「仔猫の方はどうだ?」
俺が質問すると『オモシロかった♪』と仔猫。
また、その様子を見て「大丈夫みたいです」と綺華の友人が答えた。
俺は「そうか」と短く答えた後、協力してくれた家の住人である主婦にお礼を言うため、3人で庭の方へと向かった。
「あら、大丈夫だった?」
と主婦。俺が飛び降りるとは想定していなかったのだろう。
少し
仔猫は無事です――と俺が告げると「やだ、
『ラクショーだったよ☆』
ニャーと仔猫が鳴く。【呪い】のお陰で俺の言葉は理解できているかもしれないが、主婦の言葉は伝わっていないハズだ。思った事を口にしただけなのだろう。
先程まで木の上で
黒い
甘えん坊でやんちゃな性格からオスなのだろう。
無邪気な仔猫の様子に女性陣が
俺はその間に「片付けますね」と言って、木へ登る際に使用した
「ありがとうございます。助かりました」
と俺が礼を言うと、
理解のあるご婦人で助かる。
(俺は猫と会話が出来るので問題はないのだが……)
面式も無く、
木や屋根など、高い場所へ登る技能を持った人間を頼ることをお
また、地域にある保護団体や動物病院に連絡するのもいいだろう。
結局はペットを飼うのも、人間同士の助け合いである。
周囲に迷惑を掛けない――という考え方よりも「コミュニケーションを取って、周りの人々にも理解してもらう」という事の方が大切だ。
(さて、次は仔猫の飼い主を探さないとな……)
行動範囲から考えるに半径50メートルといった所だろうか?
お世話になった主婦から、近所で猫を飼っている家を教えてもらう。
近い場所から一件ずつ
とはいえ――
(
最後にもう一度、主婦に頭を下げてから出発する。
まずは
庭付きで木々が
裏を返せば、猫が遊びに来そうな家だ。
(早速、当たりっぽいな……)
ここがお前の家か?――と仔猫の鼻を指で
『ココだよ、ココ! ゲボクとすんでる』
と言うので、俺はチャイムを押す。玄関は引き戸で奥から「はーい」と女性の声が聞こえた。俺は「仔猫を
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ฅ^>ω<^ฅ♪ 無事に仔猫を助けること
が出来ました。めでたし、めでたし……
と行きたい所ですが、まだ問題は残って
いるようです。
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