音村奏のエピソード5(7) 小学校入学!


小学生になった。

入学した小学校は私立で、小学校から大学までエスカレーター式の由緒正しき名門校だ。

ちなみに、俺はともかく舞は入学試験の心配をしていたが、所詮6歳の子供が受ける難易度だ。

落ちる訳がない。


タワーマンションに住んでることから分かると思うが、俺たちの家庭は経済的な余裕がかなりあるように思える。

転生してから、6年が過ぎたが未だに美優や凛の職業が分からない。

家では仕事の話を一切しないし、俺たちが保育園に行ってから仕事に行くし、保育園から帰ってくるまでには仕事から帰ってきている。

試しになんの仕事しているの?と来てみても、濁される。


まぁ、親の職業何てどうでもいいか。

いやどうでもよくはないが。


そんな事より、今日が登校初日だ。


「奏。舞よろしく頼むね?舞が先生の話をあまり聞かないタイプだから、しっかり頼んだよ。」

「しっかり頼んだよー、奏。」

「いや、先生の話位は自分で聞けよ」


「舞。奏は独りで突っ走っちゃうことがあるから、もしかしたらいじめられたり、独りになるかもしれない。

その時は助けてあげてね?」

すると、舞は俺をちらちら見ながら、

「心配しないでー、ママ。奏はそういうとこあるよねー。うんうん。

でも、何かあったら私がしっかり守ってあげるからー」

、なんて言っていた。


でも、幼稚園では友達は一人も作らなかった。

俺があえて作らなかったから。

でも舞がずっと俺に引っ付くんなら、舞も友達ができないままだ。

それに、そのことを美優や凛も少し心配していた。

小学校は何人か、仲のいい友人を作ってもいいかもしれない。

 

「よし、ハンカチ持った?水筒持った?帽子被った?って、きゃーー!超かわいいんですけどー」

「ふふん! なんてったって私、『ママの子』ですから!!!」

「やっぱりかー! 私の血かー!このあまりにもかわいい生物を生んでしまった私の血は罪深いー!」


俺たちは玄関で、写真を撮り、二人で学校に向かった。


家から学校までは徒歩で15分ほど。

6歳の足でそれくらいだから、かなり近所にあると言える。


「が、学校かー。緊張するー!」

家を出たとたん、舞はそんなことを言い出した。

「緊張するか?」

「するよー! 入学試験の時思ったけど周り、みんなお嬢様、お坊ちゃまじゃん?

絶対私、仲間外れにされるよー!」


「別に、幼稚園でも友達なんていなかったけどな。」


「いや、それは奏がい一緒に居たから大丈夫だったんだよ。

小学校は奏とは違うクラスになるかもしれないし、

何より変にプライドと知性を持った6歳はきっと私のこと馬鹿にs・・・・」


「大丈夫だって。 そんないじめられたりしないし、俺の方でも友達くらい作っておくから友達出来中なかったらそいつらと友達になればいい」

「えーん、あったけぇよー!奏、私は見捨てないでおくれ―。 ・・・でも奏、あんた友達作れるの?」

「と、友達くらい、つ、作れるし!」


結果、俺たちは同じクラスになることができた。

俺たちは一年a組。


どうやら、入学試験の出来栄えで、クラスは分けられているらしい。

つまりa組は最も点数が高かった者たち、g組は最も低かった者たち、と言ったところだ。

ちなみに、毎年クラス替えが行われ、成績が落ちるとクラスも落ち、成績が上がると、上のクラスに行ける、という仕組みになっているらしい。


「あ、よ、よかった」

小声で舞が言った。

舞はいつも人がたくさん集まる場所に来ると、緊張している。

前世で何かあるのだろう。


「舞! a組はこっちだ!」

「う、うん」

俺は舞の手を引っ張り、教室に向かう。


席は隣同士だった。

出席番号中に机が並んでいるからだ。


席に着き、しばらく経つとチャイムの音が校内に響いた。

それと同時に、ガラガラと引き戸が開けられ先生が入ってきた。


「はい、こんにちはー。 えー私がこのクラスを担当することになった八木トオルです」

そう言いながら、黒板にチョークを走らせ、自分の名前を書いた。

なんだか懐かしい音だ。


「えー、早速ですが、皆さん一人ずつ自己紹介をして頂きたいと思っております。」


あーあったなそういうの。

隣を見ると、あからさまに嫌そうな顔をしている舞がいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生したなら恋がしたい ポロ @12140406

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ