音村奏のエピソード3(4) 家族
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星澄あみ。
年齢は20代前半。
狭い界隈だと、割と有名。
歌唱力、ルックスは抜群。
作詞、作曲のセンスも抜群。
これが俺の中の星澄あみ。
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ママ(星澄あみ)
年齢は・・・ ん?
そういえば考えたことなかったけど、私のママってことは歳はそれなりにいってるはずだけど、
どう見ても20歳くらいだ。
まぁ、どうでもいっか!
ママは、まだ有名じゃないけど将来は絶対有名になる歌手だよ!
歌も、ギターもめちゃくちゃうまい。
顔はかわいいよ。
でも、私には似てなかったな・・・
私はママにも父さんにもどっちにもあんまり似てなかったからなぁ・・・
まぁ、とにかくこれが私のママ、星澄あみ。
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三歳になった。
言葉も話せるし、二足歩行もできる歳だ。
「おめでとー! 奏ー! 舞ちゃーん!」
「二人ともおめでとー!」
「ママ―! ミユママー! ありがとー!」
「んーーー!かわいい!賢い!うちの子天才!」
「だってー、私ママの子だもん!」
「うひゃー! そうだよねー!」
舞はこの三年間の内、一年くらいは鏡を見て過ごしたんじゃないかというほど、自分の顔が好きらしい。
今も、幼稚園の校庭の水溜まりに映る自分の事を眺めている。
「そんに鏡見てて楽しいか?」
「楽しいよー。 奏君だって感謝しなきゃダメだよ?こんな顔に生まれてこれたんだから―。
舞君が前世でどういう顔だったか知らないけど、こんな恵まれた顔じゃなかったでしょ?」
うっ。
し、失礼な。
まぁ、そうだけど。
「そういう舞は前世では何してたんだ?」
「なにって・・・まぁ色々?かな。 てへへ・・・奏君こそ前世は何してたの?」
「ん? まぁ学生。」
「へー。まぁ、一応・・・私も学生。」
舞は前世の話をするとあからさまに顔をしかめる。
悲しそうな、悔しそうな顔だ。
前世を思い出して泣いたこともあった。
この話は一応やめておこう。
「てか奏君って・・・ロリコン?幼稚園であんなに沢山の女子をさぁ・・・」
「ロ、ロリコンって。なんでそうなるんだよ!。」
と、話していると、一人の少女がやってきた。
「そ、奏君。 す、好きです! ちゅき合ってください!」
何だよ、ちゅき合って、って・・・
「ごめんなさい。」
俺は丁寧お断りする。
「エ―――ン!ヒック!」
彼女は泣きながら走り去っていった。
「あーあ。また振っちゃって・・・」
「仕方ないだろ! 中身は高校生だぜ?恋愛対象なわけないだろ。」
「へー?」
舞は俺をからかうような目で見ている。
ロ、ロリコンじゃねぇし。
「あ、奏君。舞ちゃん。 お迎え来たよー」
「はーい。先生!」
「って、奏君! 幼稚園にこんな読めもしない本、持ち込んだらダメって何回も言ってるでしょー」
「はーい・・・」
またバレたか・・・
今日の迎えは凛だ。
家に帰ると、美優が夕飯を作っていた。
この二人は俺たちが生まれてから、料理の勉強を始めたようだ。
最初の内は、食べるたびにおっぱいを吸っている頃に戻りたくなるような味だったけど、最近はかなり上達してきている。
「ミユママー! 今日も奏君女の子に告白されてたよー!」
「えー! 今日もー? ほんとなの?奏。」
「うん。まぁ。」
「まぁ、って・・ 女の子には優しくしなさいよー。」
「そうだぞー! 奏君! この短いモテ期を楽しまなきゃ―」
舞が茶々を入れてくる。
「舞ちゃんの言う通りだよ。奏。 せっかくモテモテなんだったら楽しまないと!」
「うるさいなぁ・・・」
「わー! 怒った!怒った!」
「はぁ・・・三歳にしてこの語彙力! やっぱり二人は天才ねー!」
「やっぱり、血には逆らえないのねー!」
何言ってんだか・・・
「みんなご飯できたよー!」
俺たちはガラス張りのあからさまに高そうな机を囲って、夕飯を食べた。
舞たちは保育園の話で盛り上がっている。
俺はその話声を聴きながら、テレビに目を向けた。
『今日のゲストは、現在話題沸騰中のシンガーソングライター! 星澄あみさんでーす!』
テレビから聞こえてきたアナウンサーの声。
俺は誰かを思い切り抱きしめたくなるほど嬉しかった。
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