スーパーヒーロー
『SAW』みたいな脱出ゲームをやらせたら面白いかと思い、けっこうな予算を使って廃ビルにガキを閉じ込めて撮影していると連絡が飛んできた。
「
衝撃的な知らせだった。何でも
噂をすれば影。廃ビル各所に仕掛けた監視カメラにサラリーマン風のスーツ姿の男が映った。厳重に封鎖したドアをぶち破って入ってきやがった。せっかく用意した撮影場所が荒らされる。
「ちょっと
「承知しました監督」
スタッフ三名が銃を手に走る。
俺たちスタッフは廃ビルの地下で監視カメラの映像を見ている。
直ぐに監視カメラの映像にスタッフとサラリーマン風の男が映った。
スタッフは瞬殺された。銃を構えるよりも先に手裏剣を喉に投げられた。
男はカメラに気づき、目線を向ける。俺が殺すしかないか。自動車のエンジンをぶちぬけるようなリボルバーを握って地上階に上がる。
上がって直ぐに俺たちは出会った。お互いの距離は飛び道具の間合い。片手で銃を構え、相手に見える面積を減らす。
「お前がここの責任者か?」
サラリーマン風の男はよく見るとドナルド・トランプのマスクを被っている。監視カメラ、画質もっと良い奴にした方が良かったな。第二弾撮影するときはもっと機材の質上げるか。
男は手ぶらに見えるが、たぶん袖の中に手裏剣を隠しているんだろう。
「監督と呼んで欲しい」
「もう二度とお前を呼ぶものはいない」
「酷いこと言うな」
ドナルド・トランプが投げてきた手裏剣をリボルバーの銃身で弾く。撃ち返す。走って間合いを詰めてくるドナルド・トランプの肩に当たった。ドナルド・トランプは止まらない。腰背部のホルスターから短銃身の水平二連散弾銃を取り出す。ダブルタップ。俺は吹き飛ばされる。胸部に激しい痛みを感じる。床の冷たさ。ドナルド・トランプは俺の上に飛びかかりナイフで刺そうとしてくる。それを切り払う。
「仕込み義手か」
ドナルド・トランプは俺の一撃を耐えていた。ジャケットとシャツは裂けているがさほど出血は見られない。肩も同じだ。気功で身体を硬化させて耐えたな。走りながらよくやるものだ。
「聖ゲオルギウスの剣はどうだ?俺もこれを実戦で使うのは初めてなんだ」
ドナルド・トランプを切り払った刃は俺のリボルバーを持ってない方の腕から生えている。組織の一員だと福利厚生として機械化手術が割引されるので導入した。
ちなみに刃の商品名はマジで聖ゲオルギウスの剣だ。『からくりサーカス』に登場する同名の武装から取ったらしい。
「拙者はドナルド・トランプ!正義の忍者!悪に負けぬ!」
更なるドナルド・トランプの一撃を聖ゲオルギウスの剣で弾き、リボルバーを密着させて残弾全て叩き込む。
ドナルド・トランプがよろめく。気功で身体を硬化させるには精神集中が必要だ。今ならその肉を裂き、骨を断てるだろう。
「さよならトランプ」
聖ゲオルギウスの剣はドナルド・トランプを自称する者の首を刎ねた。
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