第3話 一家虐殺事件3

「そもそも、なぜこの一家を犯人は狙ったんだ?」

未来真琴は、言った。

「ここは、金持ちでも、企業で優秀な功績を持っているわけでもない。

金や宝石など盗むために一家を殺すのはわかるが…」

そう言えば…と紘世刑事は言う。

『確かに、そうですね。ここの一家は何かの功績だなんて持ってないですもの』

考え込むような仕草をし出した。無理もない。動機なんてよくわからないのだ。

そして、冥王刑事は、真琴に聞いた。

『他にも色々凶器があるとおっしゃっていましたが…どうなんでしょうか?』

「そうだったね。他にもたくさんの凶器が使用されているね。

例えば…この息子らしき人物は口に何かに塞がっているって言ってたけど、

あれは、青酸カリを布に浸したものだったんだ。」

『なっ…あの青酸カリだと?』

冥王刑事は、驚いていた。なんせ、布に浸したものなんて初めて聞いたからだ。

「液体か、固体かはまだわからないけど…可能性が高いのが、液体だね。

そのまま詰めて液体が垂れるようにしたのなら、じっくり殺すことができるから」

刑事は、黙って聞いていた。怖いことを言う探偵をじっと見つめて。






『はぁ…疲れたよぉ〜』

ポツリと響いた空の上での独り言。そこはかつて栄えていたはずのホテルの屋上。

物影湊ものかげみなとは柵に腰掛けながら空に話しかけていた。

『なんか面白いことないかなぁ…』彼は、暇なのだ。

ずっとここにいるため、最近では廃墟に入り込んでいる。

『うーん』と唸っていたとき、



プルルルプルルルプルルルプルルル


乾いた着信音が屋上に響き渡った。それと同時に、湊は顔が明るくなった。

『もしもし〜真琴!!なんか面白いことあったの???』

【はぁ…お前にとっちゃぁ、面白いことだな。】

『マジでっ!?じゃあ俺も加勢したい!!』

【わかったわかった…じゃ、いつもの場所で会おう。】

『オッケー、わかったぜ!!じゃ!』

【おう。またな】

ガチャっと切る音と共に、湊の足はホテルを出ていた。

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