第13話 フレンチレストランの悲劇 ④

香織と涼介は、ピエールとレオにも再調査を行ったが、二人ともそのレシピについては知らないと言い張った。調査が行き詰まりかけたその時、香織は一つの重要な手がかりを思い出した。


「涼介、レシピが書かれたメモにあった味の評価と、ジャン・ルイが試していたサンプルの味が一致していないのが気になっていたのよ。」香織が言った。


「それが何を意味するのか?」涼介が尋ねた。


「誰かがそのレシピを改ざんしたか、ジャン・ルイが意図的にサンプルを変えたのか…そのどちらかしかないわ。」香織が答えた。


二人はその可能性を考慮し、再度サンプルを詳しく分析した。その結果、ある一つのサンプルだけが異常な成分を含んでいることが分かった。成分を調べた結果、それがレオがデザートに使おうとしていた特別なスパイスであることが判明した。


「これは…ジャン・ルイが使っていたものとは違う成分ね。」香織が眉をひそめた。


「レオがデザートに使おうとしていた特別なスパイスか。これがジャン・ルイのブレンドに混入していたのか?」涼介が推測した。


「つまり、レオが彼のレシピを盗み、デザートに利用しようとしたが、うまくいかずにジャン・ルイに罪をなすりつけようとした可能性があるわね。」香織が結論付けた。


香織と涼介は、レオに再度尋問を行うことにした。彼らはレストランの厨房でレオを見つけ、直球で質問を投げかけた。


「レオさん、あなたがジャン・ルイのレシピを盗み、デザートに利用しようとしていたことを知っています。」香織が鋭く言った。


レオは驚いた表情を浮かべたが、すぐに冷静を取り戻した。「何を言っているんだ?そんなことはしていない。」


「でも、サンプルの成分を調べたところ、あなたが使っていたスパイスが混入していることが判明しました。」涼介が続けた。


レオの顔が一瞬青ざめた。「それは…ただの偶然だ。」


「本当にそうですか?あなたがジャン・ルイのレシピを盗んだ証拠はここにあります。」香織はメモを取り出し、レシピの一部が改ざんされていることを示した。


レオはしばらく黙っていたが、やがて深いため息をついた。「分かった。認めるよ。確かにジャン・ルイのレシピを使おうとした。でも、それがうまくいかなくて、彼に罪をなすりつけようとしたんだ。」


「なぜそんなことを?」涼介が尋ねた。


「彼はいつも俺を見下していたんだ。俺のアイデアを無視し、自分だけの功績にしようとしていた。だから、彼に一泡吹かせてやりたかったんだ。」レオが悔しそうに答えた。


香織は冷静に、「真実の光が、全てを暴く。あなたの行為は許されるべきではありません。警察に全てを話すべきです。」と言った。


レオはうなだれながら、「分かった。全て話すよ。」と答えた。


こうして、ジャン・ルイの死の真相が明らかになり、事件は解決した。


事件が解決し、香織と涼介は再び「ル・グラン・シュバリエ」を訪れた。スタッフたちは少しずつ日常を取り戻し、新しいメニューの準備をしていた。


「ジャン・ルイのレシピが再び生きることになって、本当に感謝しています。」アリスが涙ながらに語った。


「これからも素晴らしい料理を作り続けてくださいね。」香織が微笑んだ。


「もちろんです。これからも一緒にがんばりましょう。」涼介が付け加えた。


二人は鴨のコンフィを味わいながら、新たな事件に挑むためのエネルギーを蓄えていた。

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