第4話 高級レストランでの殺人 ④

香織と涼介は、佐藤の話を裏付ける証拠を集めるため、再びレストラン「ラ・ベルエポック」に戻った。そこで、彼らは厨房の隅にあるトリュフの保存瓶を詳しく調べることにした。


涼介が瓶を慎重に開け、中身を確認すると、「ここに小さな穴が開いている。誰かがここから毒を注入した可能性が高い。」


香織もその瓶をじっくりと見つめ、「佐藤が言っていたことが本当なら、彼以外にも毒を仕込む機会があった人物がいるはず。」


その時、香織のスマートフォンが鳴った。電話の相手は、レストランの常連客であり、小林の友人でもあった吉田という人物だった。「三田村さん、重要な情報がある。昨夜、キッチンに入る前に見かけたのは、中村シェフでした。彼が何かを瓶に注いでいたように見えたんだ。」


涼介が驚いた表情で、「まさか、中村シェフが…。」


香織は冷静に、「中村シェフにもう一度話を聞いてみましょう。」


二人は中村シェフに対面し、彼に直接問いただした。「中村シェフ、昨夜、トリュフの保存瓶に何かを注入しているところを目撃されたようですが、それについて説明していただけますか?」


中村は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静さを取り戻した。「それは誤解だ。私はただ、トリュフの保存状態を確認していただけだ。」


香織は鋭い目つきで彼を見つめ、「本当にそれだけですか?」


中村はしばらく沈黙し、その後深いため息をついた。「実は…小林太一との確執があった。彼のレビューが原因で、多くの苦しみを味わった。だが、殺意はなかった。ただ、彼に一矢報いるために…少量の毒を使っただけなんだ。あの量では致命的ではないと考えていた。」


涼介が驚いた表情で、「それでも、結果的に彼は亡くなった。」


香織は静かに頷き、「中村シェフ、あなたの行動が小林太一の命を奪ったのです。」


中村は深い後悔の表情を浮かべ、「すべては私の責任だ。法の裁きを受ける覚悟はできている。」


香織は中村を見つめ、「中村シェフ、あなたは料理の腕前は一流かもしれない。でも、人の命を軽んじるその行動は、絶対に許されない。チェックメイトです。」


中村は肩を落とし、観念した様子で警察に連行されていった。


エピローグ


事件が解決し、香織と涼介は再び「ラ・ベルエポック」でディナーを楽しむことにした。静かな店内で、二人はトリュフリゾットを味わいながら、事件の余韻に浸っていた。


「やっぱり、このトリュフリゾットは絶品ね。」香織が微笑みながら言った。


「そうだな。この料理には、多くの人々の情熱と努力が詰まっている。」涼介も同意した。


香織はグラスを持ち上げ、「これからも美味しい料理と共に、たくさんの事件を解決しよう。」


涼介もグラスを持ち上げ、「そうだな。これからも一緒に頑張ろう。」


二人の探偵の旅は、まだ始まったばかりだ。美食とミステリーが交錯するスリリングな物語は、これからも続いていく。

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