第7話 生徒会室の話し合い
「
生徒会長の
それに対して、風紀委員長のゴツい3年男子、
腕を組んだまま、上座の鈴音に言う。
「ずいぶんと、こいつらの肩を持つんだな? ギリギリまで人を殺傷しなかったわけだし。俺も、疑心暗鬼になっていた新入生に厳罰を科す気はないが……」
「ないが?」
「何もペナルティを与えないと、逆にこいつらが困るぞ? 教職員はともかく、他の生徒が納得しない」
呼吸を整えた鈴音は、その理由を告げる。
「秘密にできる規模じゃないし……。御神刀を持っているから、と言われちゃうわね? うーん」
悩み始めた生徒会長に、悠史が話を続ける。
「この場しかないようだから、聞いておくが……。風紀委員会に従う気はあるんだな?」
俺は、すぐに答える。
「そのつもりです! さっきは、タイミングが悪かっただけなんで」
「うん」
隣に座っている
悠史は、首肯した。
「なら、いい」
すると、生徒会長の鈴音が明るい声。
「生徒会から2人に、荒神退治の仕事を出すわ! そのうち連絡するから」
「……大丈夫なのか?」
言い出した悠史が、突っ込んだ。
笑顔の鈴音は、チッチッと指を振る。
「問題ないわよ! 御神刀としての凄みは、櫛田くん達も分かったでしょ? それに、コンビで行かせるわけだし」
「お前が責任を持つから、別にいいが……。見たところ、2人とも刀剣解放をしているし。相手によるか」
ため息をついた悠史。
いっぽう、鈴音が俺を見た。
「そうそう! ずーっと、生徒会に呼んでいたんだけど?」
「すいません。気づかなくて――」
「ボクが呼びに行ったよね? 毎日、毎日……」
裏切ったな、睦実!?
そう思っていたら、鈴音は悩ましい顔に。
「ううっ……。もっと早く来てくれれば、良かったのに!」
用事が終わり、落ち着いた悠史も、それに同意する。
「そうだな……。今となっては、こいつらをスカウトするのも難しい」
相手が札付きの悪とはいえ、校内で抜刀しての戦闘。
おまけに、風紀委員会と警備にも攻撃だ。
何事もなかったように生徒会や風紀委員会に加えると、示しがつかない。
現場に出向いた生徒会メンバー、1年の
「少し良いでしょうか? ……御二人については、ペナルティのお役目を済ませるまで保留にするしかないと思います」
この場の代表である男女が、それに頷く。
「まあ、そうだな……」
「最低限の話し合いは、終わったものね?」
生徒会の事務局員として、まだ新人。
そのわりに、度胸がある。
感心していたら、生徒会長の声。
「じゃあ、櫛田くん? 暫定的に、生徒会で預かるから……」
「仕方あるまい」
トップ同士の話し合いで、俺たちの処遇は決まった。
けれど――
「納得できません! どうして、こいつらが無罪放免に!?」
風紀委員会の腕章をつけている男子が、叫んだ。
全員が注目する中で、そいつは主張する。
「これだけ好き放題に暴れた新入生に
疲れた様子の風紀委員長が、問いかける。
「お前はどうすればいいと思うんだ、
「刀を折られた不良5人は、どいつも刀剣解放できない底辺ばかり! 僕らが戦い、その実力を示さなければ!」
「具体的には?」
「刀剣解放をした状態で、優劣をつけましょう!」
考え始めた悠史に、生徒会長の鈴音はパンと手を叩いた。
「御神刀の戦いは、見たことなかったし! ちょうどいいわ! ね、櫛田くん?」
「お前、他人事だと思って……」
けれど、今のうちに実力を見ておくことは、色々な意味で必要だ。
考え直した悠史は、俺たちを見る。
「どうだ?」
「迷惑かけたのは事実ですし、構いませんが……」
「ボクは警備を相手に戦ったから、パスしていいですか?」
思い出した悠史が、頷く。
「いいぞ! お前の実力は見せてもらったし、そもそも氷室の喧嘩だった。藤林は……そうか」
藤林くんは、睦実に勝つ自信がないらしい。
まあ、新入生のトップ成績で、閃光のようなスピードだし。
逆に言えば、刀身が伸びるだけの高枝切りバサミには勝てると……。
(気に食わない話だ)
――武道場
専用の結界が張られた、御刀を振るうための場所。
霊的な守護だかで、現世と
再び和装になった俺は、言い出した男子と向き合う。
「風紀委員会の2年、藤林
「1年の氷室
勝敗を決める風紀委員長が、ルールを説明する。
「ここは、現世とは違う場所だ! 刀剣解放を含む、全ての攻撃を許す! なお、降参による敗北も認める!」
言い終わった風紀委員長は、俺たちを見たまま、摺り足で後ろへ。
四角で囲われたエリアから出た時に、号令。
「抜刀!」
俺は左腰の脇差を抜き、正面にいる信二は抜刀のジェスチャーで出現した刀を握った。
「始めっ!」
その合図と共に、お互いが動き出した。
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