第277話 新たな帝国には、この者たちが必要 ⑤

 終了の花火が空に打ちあがっている間。

 フュンが皆に対して声をかける。


 「皆さん、ここまでですよ。試験は終了です。次は一週間後くらいに第一段階の合否をお知らせします。なので、一週間後にどこにいるか。試験官の人たちに言ってから、お家に帰ってください。ここで第一段階の試験は終了です。皆さんお疲れさまでした」


 さようならと、手を振るフュンを皆が呆気にとられながら見る。

 本番さながらの激しい模擬戦争での試験だったので、こんなところで終了なのかと思っていたのだ。


 大体の受験者が帰ると、フュンは攻撃を止めた相手デュランダルに話しかけた。


 「それじゃあ、あなたとですね」


 フュンはデュランダルを指名した後。背後にいる女性二人にも話しかける。


 「あなた方。お二人は僕についてきて下さい」

 「え? あたし?」「私もですか」

 「はい。リースレットさんに、アイスさん。それにこちらのデュランダルさんの三人ですね。あ、でもお疲れですかね。朝から試験だったので、明日にでもしますか。延期しましょうかね」

 「いえ。俺はまだまだ動けますよ」

 「お。本当ですか。じゃあ、デュランダルさんは今日で」


 デュランダルは返事をしていながらも、この人の態度が軽すぎて、本当に大元帥なのかを疑っていた。


 「私も大丈夫です」「あたしは元気です。まだ戦えます」

 「ハハハ。まだ戦いたいのですか?」

 「はい! 楽しかったので」

 「そうですか。それはよかった。では三人は僕についてきて下さい」


 フュンは三人を帝都にある自分の仕事場に案内した。


 ◇


 帝都ヴィセニアの居城には、皇帝の自室が存在し、現在はエイナルフが住んでいるのだが、次からはシルヴィア夫婦が住まないといけない。

 だからその準備の一環として、まず執務室兼彼の仮の寝所が出来上がった。

 メイドらがいる西棟に完備されているので、兵士たちはあまりこちらにいない。


 「それじゃあ、一人ずつがいいかな。それとも三人同時かな。あなたたち。プライベートの話を他の方が聞いてもいいですか?」

 「あたしは平気です」

 「私は・・・どんな話でしょうか」

 「俺は聞かれてもいいです。俺の人生に恥ずべき点はないですから」


 三者三様の答えの中に疑問が一点あるので、フュンは答える。


 「そうですか。じゃあ、アイスさん。あなただと、サナさんとの兼ね合いですけど。大丈夫ですか?」

 「サナとのですか!?」

 「はい。まあ、聞かれても嫌な話じゃないと思いますけど。どうします? 嫌ならお一人にしますよ」

 「・・・いえ。大元帥殿にお手間をかけさせるのは忍びないので、このままで」

 「わかりました。じゃあ、僕の仕事場にどうぞ! そうだ。クリス、ヒスイさんをお願いします。彼女にこちらに来るようにと」

 「はっ。お伝えしにいきます」

 

 フュンはクリスに指示を出した。


 ◇


 フュンは、自分の職場のテーブルの前には三人を連れて行かずに、応接用のソファーの方に呼び込んだ。

 三人は席に座る。

 アイスとリースレットが三人席を二人で。

 デュランダルが三人席を一人で。

 フュンが一人用のソファー席である。

 四人がテーブルを囲んだ。


 「それでは、説明しますね。今回の試験、あなたたちが最初の合格者です」

 「「「え!?」」」

 

 三人がもれなく驚く。

 合格も何も、これからまだ試験があるとあの場では言っていたからだ。


 「何故かはですね。三人とも僕の直属の部下にしたいからです。よろしいでしょうか」

 「は!? 俺をですか。俺は一般人で・・・」

 「ええ。知ってますよ。でもそんなこと関係ないです。あなたの才能が欲しいけど、どんな人かを知りたくてね。こうして人となりを知りたくて、こちらの職場に来てもらったんですよ」

 「そ、そうなんですか・・俺を・・・なぜ・・・」


 いくら何でも、こればかりは想像できない。

 出世どころの話じゃないぞと、焦ることがあまりないデュランダルは、頭が上手く回らなかった。


 「はい。僕はあなたの答案用紙を見ました。あれは百点です」

 「え、百点!?」

 「そうです。僕の想定では満点を出す人なんていないと思ったんですけどね。あれを満点に導けるのは、元帥クラスのあの四人しかいない。なのにあなたは、見事に僕の問題を解いてくれましたよ。本当なら百二十点あげたいくらいでしたね。ハハハ」


 この場でフュンだけが笑っていた。

 三人は緊張感もあって、フュンの冗談に反応できなかった。


 「まあ、そんなに緊張なさらずとも、デュランダルさん。まあまあ」


 と緊張感をほぐそうとしても無駄だったところに、ヒスイがやって来た。

 頑丈そうなトレイの上には、食べ物と飲み物がある。

 

 「おお。さすがだ。僕が何も言わずともお菓子とお茶を持って来てくれたんですね」

 「は、はい。でも私じゃなくて、クリス様が、フュン様に必要なものはこちらだと・・・」

 「ええ。さすがはクリスだ。でもやってくれたのはヒスイさんですよ。誇っていんですよ。ありがとうございますね」

 「はい! こちらをどうぞ。四つ分持ってきました」


 褒められてウキウキなヒスイは、四人の前にお茶とお茶菓子を並べた。


 「そうだ。ヒスイさん。メイドの皆さん、化粧品とか買えてます」

 「はい。今は商品が充実してますからね。メイドら全員に行き渡ってますよ」


 軽く雑談が始まった。いつもの会話である。


 「そうですか。それはよかった・・・あ、ヒスイさん。最近ですね。新しいのを開発しようと思ってて、実験に付き合ってもらえると嬉しいですね。あと少しで安全性が確認できるので、あとでお願いできます?」

 「はい。もちろんです。お願いします」

 「よかった。それじゃあ、ヒスイさん。こちらありがとうございますね」


 フュンはお茶のコップを持ち上げてお礼を言った。


 「はい。失礼しました。フュン様。それとお客様もですね」

 「あ、ヒスイさん。この人たちはですね。お客様じゃないんです。これから僕の部下になってもらおうと思ってますからね。顔を覚えてください。ヒスイさん、彼らの事もよろしくお願いしますね」

 「そうなんですね。それは大変喜ばしい事で、皆さん。これからよろしくお願いします」


 とヒスイが丁寧に頭を下げると三人はたどたどしくお辞儀した。

 


 ヒスイが部屋を去ると。

 

 「か・・・閣下。閣下はあのような方にもそのような態度で・・・」


 緊張しているアイスは、疑問をぶつけてみた。

 今まで見た主君系統の人間の中で、最も優しい人間なのがフュンであると思ったのだ。

 他の者ならあんな風に、優し気な会話なんてしない。


 「そうですね。基本。僕は誰にでもあんな感じです。アイスさん。サナさんだってそんな感じでは?」

 「サナは・・・いいえ。サナは厳しいですよ」


 優しい面を思い出そうとしたが、やっぱり無理だった。

 思い出す場面は厳しい顔つきの彼女である。


 「そうですか。ではリエスタ様は? リースレットさん」

 「リティ様は、鬼です!」


 元気な返事のように答えた。正直者である。


 「鬼ですか」

 「はい! キツイ言葉で来ますよ。それに耐えられるものだけが生き残っていきます」

 「あなたも生き残った側で?」

 「いいえ。気にしてない側です」

 「ふっ・・・面白いですね。リースレットさんはとても面白い」


 リエスタは、リティと呼ばれている。

 リティ様と呼べるのは極少数で認められている者のみが使用できる愛称である。

 だからリースレットは認められている部類の人間であるのだ。


 「そ、それで。私もなのですか。採用の件・・・」


 次に切り込んだのはアイスであった。

 採用の件を気にしていた。


 「そうですよ。あなたも僕の所に欲しいです」

 「あ、ありがたい話ではありますが・・私は・・・」

 「ええ。分かっています。心残りのように気になっているのは、この推薦状ですよね」


 フュンが胸のポケットから出したのはサナからの手紙であった。


 「な!? それが・・・サナが勝手に送った推薦状ですか」


 アイスは、彼女が書いた推薦状を初めて見る。


 「はい。それで、ここに書かれているんですよ」

 「な、なにを?」

 「もしアイスを採用したくなったら、私の事は気にするな。バッチリ採用してくれってね」

 「さ、サナが。あなた様にそんなことを!?」

 「はい。あなたはサナさんの供回りなのでしょ? ですが僕と一緒に仕事をするとなると、彼女のそばに居られない。それが嫌なのでしょう。どうです?」

 「それは・・・そうなのですが」

 「でもこの手紙にはですね。あなたは真の力を発揮する時が来ていると書いてあります」

 「真の力???」


 フュンは、サナからの手紙を彼女に渡した。

 これは推薦状とセットであった手紙である。


 『アイス。お前の才は、私のそばでは発揮できない。なぜならお前は、指揮官としての才がずば抜けている。私のそばにいれば、お前は出世しない。私は、リティ様の指南役で、のちには彼女の副将となる。なのでお前が、その副将の供回りでは実績を積むことが出来ん。お前は確実に私の才を越えている。それは戦う才ではなく、人を動かす才があるのだ。だから勿体ない。お前の力は、私や私の父を超えているからな。帝国の為に働け。それで、私の親友である辺境伯ならば、お前の力を持てあますことなく使ってくれるだろう。大丈夫だ。心配するな。彼は、お前が思う程。優しいからって軽い男ではない。立派な武人なのだ。ターク家自体が彼を信じているからな』


 「閣下・・・これは・・・」

 「ええ。あなたの事を頼むと。僕に手紙を書いてきてたんですね。だからサナさんは、あなたが受かることを信じてましたよ」

 「そんな・・・サナが・・・私の力を信じてた!?」

 「はい。あなたの才を信じていたのですよ。そして僕もあなたの力を信じています。あなたの成績は彼の次でした。筆記試験もほぼ満点でした」

 「私が!? 次席ですか!?」

 「はい。そうです。ですから、あなたとデュランダルさん。お二人を大将に任命したい。僕が作る帝国の大将は八名。フラム。ゼファー。ヒザルス。ザンカ。ハルク。ミシェル。この六名に加えて、あなたたち二人がここに入って欲しい」


 自分たちの想像の上をいく。フュンの言葉。

 まさか帝国の中でもトップクラスの位置にまで一気に出世するのかと二人が同時に焦る。


 「なに!? 大将」「わ、私がハルク様と同列!?」


 目をぱちくりさせてフュンを見る二人は、体が硬直する寸前だった。


 「はい。大将にしたいんです。おそらくあの試験をあの成績でいけるのは、この六名とあなたたちだけだ。まあでも成績に関してはまだ上になれる人物が、あと四人はいますから。あなたたちよりも強い方はまだいると思ってもらって、まだまだ成長段階だと知ってほしいですけどね。でも、この六名と同列の成績を出すならば、中将クラスの待遇ではいけません。大将でなくてはね。うんうん。それにあなたたちならば僕の期待に応えてくれるでしょう。大丈夫!」

 「だ、大丈夫って言われてもな。俺は平民だし・・」

 「そうです。私も貴族の中でも・・・あまりにも弱い。弱小です」


 二人の意見はフュンの想定通り。切り返してくる言葉はそれだと思っていた。

 

 「それは関係ないです。いいですか。お二人とも。身分なんてものはどうでもいいんです。あなたたちだから。僕は欲しいのです。あなたたちの生まれが良いので欲しいんです。なんて身分の話をしていません。それにね。生まれが悪いからなんて言葉はですね。犬にでも食わしておきなさい。それと、そんなことで咎めようとしてくる人間も犬にでも食わしてしまいなさい。誰かがあなたたちの事で文句を言って来たら、僕に言いなさい。僕が全力で守ります。ですから、一緒に帝国の為に働きませんか? お二人がいれば、僕はもっと強くなれます」

 「俺たちが・・・」

 「私がいるとですか」

 「ええ、そうです」


 デュランダルとアイスは互いの顔を見てから、フュンに顔を向ける。

 真剣な表情の言葉から、急な笑顔。

 それも満面の笑みだったので、二人を迎え入れてくれているようだ。

 

 「お。俺は。閣下がそこまで言ってくれるなら、やってみたいですね。平民だろうが、やってみたいです」

 「・・・そうですね。私も・・・閣下の言葉と、サナの手紙。これで勇気が持てました。やってみます。よろしくお願いします」


 二人が了承すると。


 「本当ですか。いや~。ありがたいですね。助かりますよ。本当に貴重な戦力ですもん。うんうん。お二人クラスの将は、なかなか育たたないですからね」


 フュンは高い評価をしていた。


 「あのぉ」


 ここで、二人がよくても、もう一人。

 呼ばれたのに何もなかった女性が手を挙げた。


 「あのぉ。あたしは? なんで呼ばれたんでしょう???」

 「あ。忘れてましたね。あなたも将にしたいんですよ」

 「え。あたしも」

 「はい。僕の考える帝国の役職。それを上から順に言うと」


 大元帥。

 元帥。

 大将。

 中将。

 少将。

 部隊長。

 一般兵。


 この順である。

 厳密にすると、元帥の中にミランダの軍師などの細かい役職があって。

 部隊長の中に十人長。百人長。千人長との単位がある。

 

 「それで、あなたは少将になってほしい。特にアイスさんの部下になって補佐官をしてほしいですね」

 「え? 補佐官?」

 「はい。あなたは補佐官兼アイスさんの副将です」

 「あたしが・・・そんなに偉くなるの・・・うっそ~~~ん」


 と思うのは何も彼女だけじゃなく、隣に座っているアイスもだった。


 「私の部下にこの子ですか!? 閣下なぜですか」

 「はい。あなたたちの連携。あれは素晴らしいものでした。アイスさん。彼女に指示は? 与えていましたか?」

 「い。いいえ。彼女は理解力がなく、複雑な戦術行動を取ることが不可能だったので、単純な戦術行動だけを覚えてもらい、自由にさせていました」

 「ああ。失礼だよ。アイス様ぁ。あたしだって出来るもん。ちゃんとやってたもん」

 「じゃあ、なぜ。第一陣と第三陣の戦いの際に、相手の右翼を叩いたのですか。あれの場合は中央から押さないと危険なんですよ」


 アイスは全ての戦場を記憶している。

 彼女は軍の動きすら、細かく覚えているのだ。


 「ええ。だってぇ。相手の人たちの顔が困ってたんですよ。だからそっちが嫌なのかなって思いましてね」

 「顔!?」

 「はい。相手の偉そうな人が、チラチラ右翼を気にして見ていたんですよ。だからあたしがそっちをちょちょいと叩けば楽勝かなって思ったんですぅ」

 「そんな。曖昧な事で・・・」


 アイスはがっくり来ていたが、デュランダルは違った。


 「いや、お嬢さん。それは正しい勘だぜ」

 「ん。ほんとですか!」

 「ああ。相手の顔を見るのもまた正しい戦いの方法だ。あんた。戦いに余裕があって好きだぜ。その戦略よ」

 「やったー。デュラさん、ありがと!」


 さっき会ったばかりの人に対してすでに馴れ馴れしい彼女は、万歳と両手を挙げる。

 そんな彼女に対して、フュンも援護する。


 「そうです。アイスさん。彼女は直感型の補佐官です。僕の仲間で言うと中将にする予定のシュガに近いんですね。ナチュラルに主の攻撃を補完するのですよ」

 「え。直感型?」

 「はい。相手の雰囲気を見て、相手の弱点が見える。そんな将であります。そしてあなたは、思考型の将です。大将の器を持っています」


 フュンはアイスの事を見つめた。


 「私が? そ、そうなのですか」

 「はい。なので、お二人はとびっきり相性がいいです。あなたの足りない部分を彼女が補いますし、彼女が出来ない部分をあなたがこなします。だからお二人で最強クラスの戦術を取れます」

 

 思考型のアイスに、直感型のリースレットがそばで支える。

 この二人の相性が抜群なのだ。


 「そうですね。俺もそう思いますよ。戦ってみるとよく分かるしな」

 「デュランダルさんもそう思うでしょう」

 「はい。閣下。でもさんはやめませんか。俺は、あなたの部下になりますから。どうか呼び捨てでお願いしたいです」

 「わかりました。デュランダル」

 

 フュンは彼の気持ちを汲んで言い方を変えた。

 そして話の続きへ。

 

 「あなたもね。直感型ですからね。彼女の気持ちが分かるのでしょう」

 「俺が? 勘で動くタイプだと。俺は結構考えてますけど」

 「そうですよ。だから素晴らしいんです。あなたの性格診断と、あなたの戦略戦術から導き出される答えは。直感で動くタイプの人間の考え方です。それにあの戦場でもそういう印象を受けましたね。あなたは物事に対して、大まかな道筋を作ってから、細かく事を考えています。そしてその際、臨機応変に作戦を変える柔軟性があって、そこに勘が加わっている。だから素晴らしい大将となるでしょうね。僕の部下に欲しいと言ったのはそこです。僕の仲間の中に、あなたのようなタイプの人間はほぼいない。あえて言うと、スクナロ様に近いですね。彼の方がもう少し直感寄りかな」

 「お、俺がスクナロ様!?」


 デュランダルは、自分の評価があまりにも高く、嬉しい気持ちと恐縮する気持ちが同時に沸いてきていた。

 

 「はい。それで、僕としては三人を仲間に加えたいのですが。お二人は良いと返事をもらえましたが、あなたはどうしますか。リースレットさん」

 「あたしは・・・リティ様に聞かないと・・・」

 「とあなたが僕に言ってくるのも、織り込み済みなのですよ。それで僕は彼女に会いたいのですが、今。リエスタ様はどちらに?」

 「え。閣下が? リティ様と」

 「はい。会いたくてですね。どちらにいますか」

 「それは・・・アイス様。いいんでしょうか。あれはお忍びなんじゃ・・・」

 

 リースレットは何故か返事をアイスに任せた。


 「いえ。これは閣下にお伝えした方がいいでしょう。閣下。私どもは、こちらの試験を受ける際にですね。連れてこられたのです」

 「連れてこられた?」

 「はい。リエスタ様とサナ。この二人に強引に馬車で運ばれたのです」

 「違いますよ。それはアイス様だけ。あたしは好きで乗り込んでいましたよ」

 「まあ。いいでしょ。ここは話の腰を折らないで頂戴」

 「は~い」


 アイスは気を取り直して、話の続きを言う。


 「それで、彼女らは、私たちを置いた後、こちらでは宿を取らずに、ここからさらに出かけました」

 「そうですか。帝都にいないということですね。ではどちらに?」

 「・・・それが、サナリアに行くと」

 「サナリアに!?」

 「はい。そうなんです 『私はこのまま見学に行く! 私にとって見たことのない都市はあそこくらいだからな。見学せねばならんわ。我が父が可愛がっているという男の故郷だ。ここまで来ておいて、行かぬ選択肢はないであろう』と私たちは馬車から降ろされる寸前でこう言われましたから。今頃はサナリアに向かっている途中かと・・・」

 

 豪快な女性は誰にも知らせずに勝手にサナリアの地に乗り込んでいたのだった。

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