第3話
帰りは慎太郎と二人で帰ることに。
「何であいつと一緒にいるんだよ」
「慎太郎には関係ないでしょ」
「関係あるんだよ!」
そう言って、腕を掴まれた。
慎太郎が真剣な顔をするから、私はドキッとしてしまった。
「離して…痛いよ…」
「ごめん…」
慎太郎はとても悲しそうな顔をして、何だか悪いことをした気分。
「慎太郎は高田さんのことが嫌い?」
「嫌いじゃないよ。でも、渚が高田さんの話をするのは嫌だ」
「何で?」
「そんなこと…言わせるなよ…」
「もしかして、慎太郎、嫉妬してる?」
「違うよ、バーカ」
そう言った慎太郎の顔は真っ赤。
可愛い…。
そう言ったら、慎太郎の顔はもっと真っ赤になった。
「おい、明日、俺とデートしろ」
「いきなり、どうしたの?」
「渚が俺をからかうからだ」
「からかってないよ。慎太郎こそ、私のことからかってない?」
「俺は本気だ」
真剣な顔で見つめられ、ドキドキしてしまった。
慎太郎もカッコイイんだよなぁ…。
昔は私の後ろで泣いていたのに…。
「俺とデートするのか、しないのか、どっちなんだ?」
「…するよ」
「じゃあ、明日9時に迎えに行くから、準備しとけよ」
「分かった」
「じゃあ、また明日」
そう言って、慎太郎は走って家の中に入っていった。
家に着き、今日のお礼をしようと思い、高田さんに電話をした。
「高田さん、今日はありがとうございました」
「どういたしまして。僕も楽しかったよ」
「それから、慎太郎が失礼しました」
「いいんだよ。彼は渚ちゃんが大好きなんだね」
「そうなんですかね」
「絶対そうだよ。僕には分かる。好きだから意地悪しちゃうんだよ」
「慎太郎は本当に子供なんだから…」
「男は子供だからねぇ」
「高田さんは好きな女の子がいても、その子にも優しそうですよね」
「そんなことないよ。僕も昔は好きな子に意地悪してたよ」
「えー、そんな高田さん、想像できない」
私が笑うと、高田さんも笑った。
高田さんの笑顔を見たくなった。
ああ、大好き…。
会いたいな…。
「高田さん…」
「ん、どうしたの?」
「ううん、何でもないです」
「何だよ、気になるじゃないか」
「本当に何でもないです。じゃあ、おやすみなさい」
そう言って、電話を切った。
その直後、涙があふれてきた。
何故だか分からないけど、すごく切ない。
胸がキュッと痛い。
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