第3話


五郎は自宅でYouTube用にスマホをセッティングしていた。


この為に買ったドン・キホーテで売っている「本日の主役」と書かれたタスキをしている。




「さー始まりました、五郎でnight!五郎こと小松原五郎です。いやー最近暑いですよね~」




誰も見なそうなチャンネルが開設された夜だった。








翌日喫煙所で遥と五郎はしゃべっていた。




「おれ、YouTube始めたのよ」




「そうなんですか」




「五郎でnightで出てくるからよろしくねー」




「五郎さん漫画家ですよね?」




「うん、漫画家志望ね」




「好きな漫画とかあるんですか?」






「プロゴルファー猿とクッキングパパ」






「知らなーい」




五郎はタバコを消すと遥も消した。






「さてさて仕事だ!」








五郎はレジに入っていた。




相変わらず速い。




ちゃんと腰で打っている。




それに比べると遥が遅く見えてしまう。




ただ五郎が速すぎるだけなのだ。




しかし五郎のレジ打ちは慣れてる人でないと笑ってしまう。




強烈なインパクトなのだ。














この日も万引き犯は現れなかった。五郎は欠かさず目を光らせているのに。悟が「お疲れ様です」と言って原付バイクで帰って行った。それに続いて遥も帰って行く。五郎は「お疲れ様」と言ってタバコに火を点けて、大きく吸い込んだ。もう季節は夏を迎えていた。

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