第25話… 元気でね
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
「あのね、サトちん…」
「ごめんね、アミつん…
たくさん悩んだでしょ?(*´꒳`*)」
「……っ…」
私が言う前に
サトちんが先に口を開いた
「…まだあの事、気にしてるよね」
サトちんに 寂しそうな顔を
させたかった訳じゃない
今までモヤモヤしていた心の内を
すべて正直にさらけ出した
「いいんだよ…
我慢させてごめんね!
もう 悩まなくていいよ……」
小さなため息をついたサトちん
「僕たち、別れよう…」
。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆
→ 別れを切り出した
アミつんは 一生懸命な人だから
たくさん僕とのことを
考えてくれたんだと思う…
だけど 嫌なことを
いつまでも我慢させるのは
違うってことも わかっている
一緒に居ても
きっとこれから先も
お互いに あのことを引きずったまま
気を遣って 無理をしてしまう
自分のワガママに
優しいアミつんを 巻き込むのも…
間違っている
僕がしっかりしていれば
こんなことに ならなかったのに…
この先 一緒に 居られないのなら…
「色んなところで 美味しいものを
一緒に食べに行けて楽しかった…
短い間だったけど
アミつんと付き合えて…嬉しかった…」
「…サトちん」
その優しい声で 僕を呼ばないで…
迷いが出てしまうから…
「置いてた荷物も 持って帰るよ…
寝室、開けるね」
リビングを出て
寝室のドアノブに手をかける
ダメだ…我慢…
何か言おうとすると
涙が溢れそうになる…見せたくない
寝室に入ってドアを閉めたら
大好きなアミつんの甘い香りが
鼻をくすぐった
「・・・・っ・・・ぅ・・」
器用じゃない僕には
この方法しか思いつかない
もう解放してあげなきゃ…
ピリオドを打つのは
僕の役目
。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆
→ リビングに 取り残されたアミ
「……」
もう どうすることも出来ない…
このまま 付き合っていても
きっと 私の中の霧は晴れない
別れることが 最善なのか
遠距離でも 距離を取れば
気持ちも落ち着いて
付き合っていけるのかもしれない
迷いもある…
だけど…もう…
私の気持ちは…
。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆
ガチャ…
リビングのドアから
顔を覗かせたサトちん
「…じゃあ、帰るね」
そう言うと
玄関に向かっていく
「サトちんっ!!」
後を追った
靴を履き終わったサトちんは
私に背中を向けたまま
立ち尽くしていた
「気持ちに応えられなくてごめんね!」
「アミつんは謝らないで…僕が悪いから」
「……」
こういう時、なんて声を掛けるのが
正解なのか…
サトちんは もう 私を見ない
ずっと背を向けたままだ
「アミつん、元気でね…」
「サトちんも 身体に…気をつけて…」
彼は 出て行き
ドアが静かに閉まった
バタンっ…
久しぶりの恋愛だった…
私にとって サトちんは 可愛くて
もったいない人だった…
楽しかったよ…
ごめんね、サトちん…
大好きだったよ…
相手を追いやる恋愛ばかりだ
もう しなくてもいいや……
*・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:
→ 玄関を出て 歩き出す智
「うっ…グスン…っ…」
別れるって
こんなに つらかったっけ?
大好きなまんま 離れるのは
こんなに 苦しいの?
もし 最後に振り返って
アミつんを もう一度 抱きしめたら
何か変わったのかな
「………」
"身体に…気をつけて…"
離れていく僕に
アミつんは 最後まで 優しい人だった
「大好きだよ…っ…」
*・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:
サトちんが出て行ったあとも
しばらく玄関ドアを見つめていた
「…こんなことで冷めちゃうなんて
全然成長してないんだ 私」
ブーっ、ブーっ…
リビングに戻って
震えているスマホの画面を見る
"着信中 0X0-XXXX-・・・・・・"
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
→ 自室でスマホのディスプレイを
穴が空くほど見つめる
きっと 番号は削除してるはず
俺が…全部忘れろって言ったんだから
呼出音を恐る恐る聴いてみる
──「…あ、
「…エッ…!!!!!」
で、で、出たぁ( ゚∀ ゚)ハッ!
──「あれ?聞こえてる?お〜い!」
「ぉ…俺の番号、削除してなかったの?」
──「削除したよ…」
「・・・・・・」
──「……でも覚えてた、下4桁 0141」
「……ハハッ!」
。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆
アミと知り合って まもなく
ちょうど 一緒にいる時に
手を滑らせてスマホを落として水没…
ショップに付き合ってもらって
リカバリーとか面倒くさいから
新機種を新しい番号で 契約し直した
"この番号 いいな…
0141…"おいしい"って読めるよな?"
"あー!ホントだ!。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ
覚えやすくて いいんじゃない?"
思い出した…懐かしい…
。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆
電話をかけた理由
「さっき…喫茶店で
キツイ言葉吐いちゃったから
謝ろうと思って電話した…ごめん…」
──「そんな 気にしなくていいのに…
相変わらずだね〜アハハ!」
口喧嘩っぽくなったら
俺が折れて謝る
仲良かった当時から
アミには 嫌われたくなかったんだろう
実は今も…
「…大丈夫か?」
──「何が?」
「さっき喫茶店で話してた 色々…」
──「あぁ〜!うん…大丈夫!」
喫茶店の時より 声が明るいような
「そっか…」
──「お誕生会の本番、よろしくね!」
「…おぅ!」
──「それじゃ!」
プーっ、プーっ
「はぁ(。´-д-)…電話に出てくれた…」
ただそれだけなのに
こんなに嬉しいなんて
やばいな、オレ…。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
→
毎回 司会は先生方が交代でやる
今回は
マイクを持って 第一声…
「
王子・王女の皆さん、元気ですかぁ〜?」
「「「ハ━━━ヾ(。´囗`)ノ━━━イっ!!!!」」」
「今日のお誕生会も みんなで楽しもうッ!!!!
せ〜のっ…」
「「「(*´□`)/" ダァ───────っっ!!!!!」」」
高く拳を突き上げながら
大きくて元気な声が お遊戯ホールに響く
物品庫に隠れて待機してる
「緊張しすぎて 吐きそうです( ´^`° )ウッ」
「大丈夫だよ マサ先生!
あんなに上手に踊れるんだから!
アハハッ!!(ノ∀≦。)っ))*`Д゚) バシバシ」
「アミ先生、痛いですっ!(/ω\*)テレッ♡」
「ぶはっ!
喜んでる!もしや マサ先生 マゾか!」
「…そうかもしれないです!」
「え〜ちょっと可愛いかも!」
「えへっ(///ω///)」
「アミ、俺は どっちでも…」
「別に
聞いてないし。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ」
出番を待つ間
緊張を解すように
舞台では 誕生月の園児たちが並び
園長先生がお祝いの言葉を述べる
他のクラスの先生方からも
お祝いメッセージが書き込まれ
当人の好きな色で手形が押された
記念の色紙ノートが
一人一人に手渡されていた
そろそろ出番か…
さすがに私も緊張してきた
…ポンポン
私の頭を触る
「練習通りやれば大丈夫(*´꒳`*)」
安心できる
昔から そうだったから…
「そうだね、頑張る!(ง `ω´)ง」
「顔 引きつってるぞ!笑って!(´∀`*)」
そうこうしているうちに
司会の 俊先生の声が聞こえた
「次は みんなの大好きな先生方による
プレゼントコーナーですっ!
今日の先生は 誰かな〜?」
園児たちは キョロキョロと
ホールに居ない先生を探す…
「あれ?アミてんてぇが いない!!」
「きゃー!マサせんせも いない♡」
「うそ!マサてんてぇ〜♡(*」´□`)」!!!」
幕が閉じられた舞台
幕越しの園児たちの声が
騒がしく聞こえる
"いよいよか…"
( ´o`)スー( ˙ロ˙ )ハー
3人の衣装は
マサ先生が考えたコーディネート
"なんちゃってヒップホッパー"
キャップを被り
サイズオーバーのダブダブの服…
男2人は黒、私は白…着せられてます
(⇒ご想像におまかせ)
自然と円陣を組んだ私たち
「楽しもうね(*´꒳`*)」
「「はい!」」
3人が横一列に並んだ
少しずつ幕が上がっていく
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