第24話… 決断

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 アミが話してくれた

 ため息の元凶…胸の内…



 聞いてると 何だか腹が立ってきて



「フラフラしてたら彼氏に悪いだろ!

 俺は だし 何も言えない…

 自分で答えを出すしかない…

 昔と違うんだぞ!腹、決めろよ」




 こんな言葉を置いて

 喫茶店から出てきてしまった




 アミは悩んでいたから

 俺に話してくれたのに



 どうして もっと寄り添えなかった?


 俺は 何に対して苛立ってるんだ?



 SNSの投稿、彼の転勤、プロポーズ…

 ワードが渋滞していて

 考えが まとまらなくて

 頭を冷やしたくなった



 何を迷うことある?

 好きなら 行けばいい…



 そうなると

 紗蘭さらん幼稚園は辞めるんだろ?




 昔よく 話していた夢の話


 俺は プロのダンサー

 アミは 今居る場所で 幼児教育を極める



 必ず叶えようって 2人で誓った




 複雑だった


 あれほど 楽しそうに話してた夢を

 …諦めるのか?



 答えを出すのは アミ自身…




 "行くなよ…

 迷ってるなら 俺のそばに…"



 なんて

 言えるはずもない


 そもそも、俺の事なんて…




 結局は 俺の自己中な考えが先走り

 まともな判断さえも鈍らせる




「わかってんだよ、そんな事…っ…」




 ポケットからスマホを取り出し

 ある人に電話を入れる




「もしもし…」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜





 ──「のぞむ先生…?

 さっきぶりですね!」



 自分の気持ちを吐露してしまった

 マサ先生に電話をかけた




 *・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:




「……マサ センセィ」


 ──「声ちっさ!どこにいるんですか?」


「外にいる…」


 ──「でしょうね…

 すごく周りがザワザワしてますよ…

 んで、どうしました?」


「今まで アミと一緒に居た…」


 ──「…は?…じ、自慢ですかっっ?!」


「……傷つけたかも」


 ──「…はい?」


「…アミをまた…傷つけたかも

 どうしよう…!!」


 ──「何やってるんですか!?

 知りませんよ、そんなの!

 自分で 何とかしてくださいっ!」




 プチン…プーっ、プーっ




「…あ、きれた」



 何してんだ、俺…(。´-д-)ハァ-




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 → スマホの画面を眺めている柾國まさくに



「マサ、風呂ありがとう!」


「おぅ!」


「ん?電話か?」


「最強ライバルからね…」


「えっ!!」


「なんか動揺してた(〃゚艸゚)プッ…ウケる」




 余裕ありそうに見えるのに

 アミ先生のことになると

 テンパるんだなぁ…



 やっぱり…俺がセコンドにつくのは

 のぞむ先生かなぁ…




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → 従兄弟 じん兄さんの店




 閉店間際に飛び込んだ僕に

 まかないを作ってくれた



 あの先輩との事故から

 ここには来てなくて



「兄さん、ありがとう!美味いよ!」


「あれから音沙汰なくて

 心配してたんだぞ!

 …ちゃんと謝ることは出来たのか?」



 食べてる僕の向かい座り

 頬杖ついて 兄さんは 僕の顔色を伺う



「うん…」


「そうか…アミさんは 何て?」


「許してくれたとは思うけど

 何となく…距離が出来たような」


「当たり前だろ!目の前で接p…」


「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙…みなまで言わないで!」


「(´▽`*)アハハ!ごめんごめん…」


「あとね…僕、転勤することになって」


「どこに!!」


「S市だよ」


「それまた遠い…」


「アミつんに

 一緒に行こうって言ったんだ…」


「おぉ(o゚Д゚ノ)ノ 智にしては思い切ったな…」


「…正直、自信はないよ

 他にも 色々あったから…」


「………」


「でも僕は これからも

 アミつんと一緒に居たい…」


「ふふっ…惚れてんなぁ〜(。-∀-)ニヤリ」



 プロポーズは

 僕にとっては "賭け"みたいなもの…


 アミつんは

 どちらを 選ぶんだろうか






 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 のんに話を聞いてもらって

 スッキリするのかと思いきや



 あんな言い方しなくたって…ヽ(`Д´)ノ



「・・・・・・」



 喫茶店を出て 家に向かいながら

 自分の気持ちを整理してみる



 ・あの先輩とのキス現場 ⇒ すごく嫌だった

 ・そのことについて 許せた? ⇒ …モヤモヤ

 ・プロポーズは? ⇒ 嬉しかったけど…

 ・S市について行く? ⇒ ・・・・・・




 全然 解決できていない




 じゃあ…サトちんのことは 今も好き?


 ⇒⇒⇒⇒⇒

 サトちんは 優しくて可愛くて…

 ふわふわとしていて あったかくて…



「・・・・・・」




 こんな気持ちのまま

 いつまでも悩んで

 返事を待たせていても…




 のんに言われた言葉

 "自分で答えを出せ"

 "腹を決めろ"

 頭の中で グルグル回る




 "私は 大丈夫…"

 そんな暗示にすがっても

 どうしても 変えられなかった…


 ・・・・・・ やっぱり




 スマホを取り出し

 サトちんに 電話をした




「サトちん…これから会える?」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → 仁兄さんの店



 アミつんからの電話…




 "これから会える?"



「……うん、今から 行くね」




「…アミさんか?」


「うん」


「プロポーズの返事かもな(ˆωˆ )フフフ…」


「だといいなぁ〜(*´꒳`*)」




 声のトーンが

 少し暗かったんだ……




 …やっぱり



「・・・兄さん、また来るよ」


「おう!気をつけて行けよ!

 アミさんにヨロシク!」




 愛しい人に 会いに行こう




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → ダンススタジオに ポツンとのぞむ



「(。´-д-)ハァ-…」




 親友には

 やっぱり戻れない



 もうすでに

 この感情は 友情でも何でもない



 ── 好きだったんだ… ──





 アミの横には もう

 あの優しそうな彼が笑っているから




 夢は別に…叶えられなくたって



 予想もしてなかった大切なもの…


 きっと

 彼氏の方を選ぶだろう



 自分中心に

 話が進んでいくなんて思ってない


 だからって 見切りをつけて

 前に進むほど 俺は 強くない…



 この気持ちが もっと大きくなる前に

 区切りをつけよう



 近いうちに

 壮行会の日のことは 何がなんでも謝って



 それから 俺が忘れればいい



 たとえ時間がかかっても…



 全部 忘れればいい…




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → アミの部屋



 サトちんが やって来た



「呼び出してごめんね、忙しいのに…」


「ううん、大丈夫だよ!」



 ・・・・・・


 少し沈黙が続いたけど

 私は もう悩みたくない



「あのね、サトちん…」





「ごめんね、アミつん…

 たくさん悩んだでしょ?(*´꒳`*)」



 私が言う前に

 サトちんが先に口を開いた



「…まだあの事、気にしてるよね」



 サトちんに 寂しそうな顔を

 させたかった訳じゃない



 だけどやっぱり 私には無理だった

 あの出来事を 忘れられず

 サトちんへの気持ちも 懸命に

 冷まさないようにしてたのに



「気にしてないフリをしていたのは

 わかっていたよ…」



 サトちんがこぼす一言一言に

 涙腺が反応する



「アミつんは 優しいから…」


「ごめんなさい…」


「僕も 卑怯な賭けに出ちゃって…

 前に話してくれた

 アミつんの夢と僕を

 天秤にかけるような真似をしちゃって

 …無理させちゃったよね」


「SNSの投稿も怖かった…

 あの先輩とキスしてたのも 嫌だった…

 S市に一緒に行こうって

 言ってくれたことも嬉しかったけど…

 やっぱり こんな気持ちのままじゃ

 行けない…」


「いいんだよ…

 たくさん我慢させてごめんね…

 もう 悩まなくていいよ……」



 小さなため息をついたサトちん






「僕たち、別れよう…」







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