第20話… 謝罪

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 → のぞむのダンススタジオにて



「……はぁ〜」



 マサ先生のため息、これで何回目だ?



「どうしたの、マサ先生…

 ため息ばっかりついてると

 幸せが逃げてくぞ?(´▽`*)アハハ」


「別にいいです…( ´・ω・`)」


「いや、良くないだろ…」


「…なんか、痛いんですよね ココがっ!!」



 そう言って 着ているTシャツの

 胸の辺りをクシャッと掴んだ



「なになに…恋の病?(´▽`*)アハハ」


「・・・・・・(・_・、)スンッ」


「え、図星?!( ゚∀ ゚)ハッ!」



 こっちに向かう時

 幼稚園前で待っていたお迎え彼氏と

 アミの様子を

 ぽつりぽつりと話し出すマサ先生



「彼氏さんを見つけて

 駆け寄ってくアミ先生を

 何度も見てるんですけど

 最近は 目を伏せたくなるというか…

 …いや、わかってるんですよ!

 別に元々 告るつもりもないですし…」


「お!とうとう認めたな、マサ先生…」


のぞむ先生はアミ先生のだから

 話したんですよ!」


「…確かに 想いを寄せてる人が

 他のオトコといるところは

 なるべく 見たくないよなぁ〜」


「…のぞむせんせぇ〜‪スンッ( ˙꒳​˙ )‬」


「(〃゚艸゚)プッ…そんな目で見ないで!

 マサ先生のこと 助けることできないよ?

 俺は 元親友だし(´∀`*)ヶラヶラ」





 どうにもならないこと…

 わかるよ、俺も経験してるから



 前に進めば つまずくこともあるし

 盛大に転んで動けなくなる時だって…



「………」


「そういえば お迎え彼氏さん…

 顔にたくさん

 絆創膏つけていたんですよね〜

 何かあったのかな〜」


「そうなの?」





 …ガチャ



 スタジオの扉が開いた



「ごめんね、遅くなった!」


「…アミ先生!彼氏さんは?」


「あぁ、大丈夫!帰ってもらったから!

 着替えてくるね!(*´꒳`*)」



 スタスタ(((((*´・ω・)



「…アミ先生、何だか普通でしたね」


「…うん」




 ……親友の期間が長かった


 あぁやって…普通にしていても

 俺には わかる




 *・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:



 通しの練習が終わると



「もう大丈夫そうだね!

 動きは2人とも完璧だ!d('∀'*)」


 と のんが言った



「うわ、やった!頑張って良かった!」


 マサ先生が 喜んでいるのに

 心も身体も 疲労困憊の私は


「マサ先生、この人ね…

 あまり褒める人じゃないから!

 ここまで言うってことは

 上出来ってことよ!」


「おい!人を鬼みたいに言うなよ(´▽`*)アハハ」


「どこからどう見ても鬼でしょう!?

 いつも動けなくなるくらい

 踊らせるくせにっ!

 素人に対して 全然優しくないんだって!」


「はぁ?少しダンスかじってたのに

 アミの動きが鈍ってるからだろ!…」


「なんだとぉー!私のせいなの?!(`-´)」



 …こんな言葉を吐くなんて

 ホント 大人げない



「ふふ…喧嘩するほど仲が良いって

 言いますよね〜」


「「仲良くないしっ!!」」


「「あ!」」


「さて、僕は電池切れそうなので

 先に帰りますね!

 喧嘩の続きは おふたりでどうぞ(´∀`*)フフッ」



 マサ先生は帰って行った



「………」


「・・・・・・」



 *・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:




 帰り支度をしながら アミが言った



「さっきは ごめん…」


「いや、俺も ごめん…」




 アミがピリピリしている雰囲気が伝わる




「…何かあったんだろ?」


「ふふっ…やっぱりお見通しか」


「話、聞こうか?」


「……いや、大丈夫」



 "ちょっと、聞いてよ!"って

 こっちが聞かなくても

 あの頃は 話してくれてたのに


 もう 気軽に相談してくることは

 無いんだな…




「1人で抱えられなくなった時は 言えよ?」



 今は これが精一杯



「…じゃあ、また明日」


 アミは帰って行った



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → スタジオから出たアミ



 ……危なっ!!!

 のんに話しそうになったぁぁ(||゚Д゚)



 


 不調ド真ん中の私の心情を

 何も言わずに汲み取る


 "アミのことは

 何でも分かっちゃうんだよなぁ"

 "出た、エスパーのん!ヒィ(゚ロ゚;ノ)ノ"


 なんてふざけてた



 わかってくれる人が居ると思ったら

 嬉しくて つい何でも話してしまう



 行き詰まった心を解放してくれる…

 一緒にいると自然体で居られる…

 のんは そういう人だった



 今はもう…

 親友じゃないから…




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → アミの部屋でキッチンに立つさとし



 ここに泊まりに来ると言った日に

 ユマ先輩に食事に行こうと誘われた


 食事を終えて店を出たところで

 酔ったユマ先輩にキスをされて

 偶然 通りかかったアミつんに見られた…



 走っていくアミつんの後ろ姿を

 追いかけた僕は

 運悪く酔っ払いとぶつかり ボコられる



 泊まる予定だった その日

 ココに来れなかったことを謝るために

 幼稚園前で

 顔中 絆創膏だらけで待ってた僕に

 アミつんは 優しかった…心配してくれた



 "練習が終わったら すぐ帰るから"



 そう言って アミつんは 行ってしまった


 弁解の余地は…無い

 嘘は つかない



 忙しい中

 こうやって 謝罪の機会を作ってくれた



 帰ってくるアミつんのために

 ご飯を作ろうと

 近くのスーパーで買い物をして

 ここに来た




「………」



 今日は 朝の挨拶を交わしただけで

 先輩とは口を聞いていない



 兄さんの忠告…

 "あの先輩には気をつけろ"・・・


 このことだったのかって

 今更 理解出来ても遅い




 アミつんが好きだという

 僕の気持ちは 全くブレてない


 でも、あの出来事を

 目の前で見てしまったアミつんは…



「痛っ…ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙…クソォ…」



 包丁で切ってしまった指先から血が滲む



「…僕が悪い」



 どうやって 謝れば良いんだろう…




「はぁ…(-_-;)」





 ガチャ…



「ただいまぁ!(*´꒳`*)」


「ぉ …おかえり!」




 アミつんは いつもの笑顔だ…




 *・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:




 食事を振舞って

 いざ 謝罪



 その日あったことを全部、話した



「ごめんなさい…」


「私も先輩が男性だって

 勝手に勘違いしてたし…(*´꒳`*)」


「あの先輩は 僕が入社した頃から

 お世話になってて…」


「うん、もう大丈夫だから…」


「……泊まっていってもいい?」


「うん…」




 良かった…誤解は解けたみたいだ…




 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆




 → さとしの話を聞いたあと

 お風呂に入ったアミ



 ブクブクっ…

 ぬるめの湯船に沈んでみる



 悪気はない…わかってる

 突発的な事故だということもわかった



 実際の私は

 キスの場面を目の当たりにして

 ショックを受けた


 それでも サトちんのことは

 変わらず好き



 "大丈夫…"

 そう言い聞かせてる自分



 心のモヤモヤが

 いつまでも 取れなくて



 

 勢いよく 水面から顔を出す



 ブクブク…ぶはぁっ!

「苦しいっ!」



 どうも…スッキリしない…



 お世話になってる先輩



「・・・・・・・・・」




 もう話は聞きたくない




 *・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:




「はぁ…っ、っあ…」



 まだ酔っ払いに殴られた

 頬も腹も痛い

 だけど 抱きしめずに居られなかった


 申し訳なさも愛しさも混ざる気持ちを

 抑えられずに


 アミつんの

 優しくて温かな腕の中に身を委ねた




 カノジョの柔らかい唇で



 僕の全部を…



 清めて欲しい





 このまま2人で…溶けてしまいたい





「うっ…ぁっ…アミつん、大丈夫?」

「はぁ…ぅん、平気…はぁ…」





 ずっと…繋がっていたい…




 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆




 ねぇ、サトちん…




「あっ…っんぁ」




 もし、あの時

 私があの場に いなかったら




「サトちん、もっとぉ…」




 何食わぬ顔で部屋に来て




「っん…はぁ」




 何も知らない私を

 こうやって抱いたの?




「はぁ…はぁ…サトっ、んっ!」




 先輩というのは女性だったことも

 キスをされたことも


 私に事実を伏せたまま…




「あっ…ぃゃぁ…」




 私には 内緒にしたままっ…

 こうやって…




「………っ…ぁっ!」




 ドクンッ…ドクッ…



「っう、アミつんっ…はぁ はぁ…っ」


「ぁ…んっ はぁっ」




 私を抱きしめる

 サトちんの温もり…

 今日は 居心地が良くなくて

 余韻に浸る気持ちにもなれない




 飲み物を取りに行くフリをして

 寝室を出た




 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆




 → 賢者 さとし



 バタンッ…





 喉が渇いたと言って

 アミつんは 僕の腕の中から

 すり抜けていった



 呼吸を整えながら

 ゴロンと体勢を変えて 天井を仰ぐ



 何となくアミつんの様子が

 おかしい



「…まだ許してもらえてないのかな」


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