第19話… 裏工作

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 目の前で起こった出来事を

 引き摺っている


 先輩とご飯を食べてから

 家に来ると言った

 サトちんを待つ その時間を

 有効利用しようと考えて…


 調子に乗って

 新しい下着を買った帰り道




 サトちんが女性と…

 キスをしてる現場に遭遇




 …私は、その場から逃げた




 その日、彼が

 泊まり来ることも無く…




 ── "ごめんね…アミつん

 ちょっと怪我しちゃって

 今日は行けなくなっちゃった" ──



 メッセージだけが届いた




 "怪我…大丈夫かな?"


 心配もするんだけど



 怪我っていうのは口実で

 "そのまま、あの女性と…どこかに?"

 

 なんて 疑う気持ちも出てきたり


 サトちんは

 そんな人じゃないのに



「ε-( - - `)ハァ…」



 土日は 何も考えないようにして過ごした




 家に置いてあるサトちんの私物も

 なるべく視野に入れないように…




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 週明け



 → 顔中、あちこちに絆創膏をつけて

 黙々と仕事をする智



 殴られて口の中が切れたせいか

 口内炎が酷くなったように痛い


 電話応対も ままならず

 ひたすら事務処理をしていた



 先輩には、朝に挨拶されただけ


 話しかけられても

 必要最低限の言葉で あしらう


 あの場に先輩を置き去りにした僕を

 どう思おうが 気にしない


 今後は先輩と距離を置くと決めた




羽玖井はくいくん、これも頼む」


「……はい」



 パワハラ課長から

 今日も 仕事を押し付けられる



 …必ず 定時に上がり

 アミつんに逢いに行く


 ダンスの練習に行く前に

 謝るんだ…




 自分の仕事は

 いつものように後回し…

 頼まれたものを 先に処理する




 *・゚・*:.。.*.。.:




 → 休憩フロアで 雑談するユマ



「課長〜!足りなくない?

 もう少し頼んでくれないと

 私の出番が ないんですけど(´^`*)ムー」


「頼みたいんだけど

 このところ 部長の目が怖くてねぇ…」


「…えー!もしかして

 部長のこと怖いんですか〜(。-∀-)」


「地方に飛ばされたら 敵わんからな…

 とりあえず、さっき 羽玖井はくいくんには

 別件頼んでおいたから…

 悪いな、これぐらいしか出来なくて…」

 スタスタ(((((*´・ω・)





「……チッ」


 私のことを頼りにして欲しくて

 課長から智くんに

 仕事を回すように頼んでたけど


 何をビビってるのか

 最近は 課長の回す仕事量も少なくなった


 あの飲み会の日も

 くじ引きで課長の隣に座った智くんに

 たくさん飲ませるように言っておいた


 そして あの日は

 いい感じに酔った智くんと

 2人きりっていう手筈だったのに



 全然 上手くいかない



「……使えない課長だなぁ

 はぁ〜…何か別の方法考えるか」





 それにしても この前は

 タイミング 良かったよね〜



 智くんの唇、めっちゃ柔らかくてぇ♡




 あの時の…カノジョの顔…


「(*´艸`)ブハッ♪笑えるんだけどっ!!!」



 別れちゃえばいいのに…



 そして 落ち込んだ智くんを

 私が慰めてあげるんだ…



 "そうだ!また再投稿しちゃおうかな!"




 *・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:




 → 黙々と仕事をする智



 "どうしよう…"


 この量なら大丈夫だと思ったけど

 定時に帰れるか 心配になってきた



 パソコンに向かい

 ひたすら手を動かす



 すると



羽玖井はくいくん…

 おっ!どうしたその顔!大丈夫か?」


「この前 酔っ払いに

 絡まれちゃいまして(;´∀`)…ァハハ…」


「それは災難だったな…

 今、ちょっといいかな…」



 部長に声を掛けられる



「はい!」



 何だろう…僕、何か しちゃったかな…



 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆




 → 会議室に部長とさとし



「悪いな、忙しいのに( ˆ∀ˆ )」


「いえ、大丈夫です…」




 部長は 温厚な人…


 課の飲み会に たまに参加すると

 一人一人の所にお酌して回り

 日頃の務めを労ってくれて

 社員の士気を高めてくれる




「先程 打ち込んでいた書類は

 誰から回された?」


「え…」


「匿名で、羽玖井くんが普段から

 担当外の仕事を回されているという

 告発があってね…」




 誰か…見てくれてる人がいたんだ…



 今までの事を 正直に部長へ報告した




「話してくれてありがとう!

 対応が遅くなって申し訳ない…

 こちらで処理するから

 今 打ち込んでいる資料は

 そのまま こっちに持ってきてくれるか?」



「わかりました…ありがとうございます」



 救世主、現る…クゥーッ!!”(*>∀<)o

 これで 定時で帰れる!!!




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → 紗蘭さらん✿︎幼稚園



 園児降園後の事務処理

 そして 翌週の保育計画表を仕上げた


 デスクの上を整理して

 練習に行く準備をしていると



「…アミ先生、何かあったんですか?」

「え!何かって?」



 突然 お向かいに座ってるゆう先生に

 声を掛けられた



 周りには 同僚の姿はなく


「私、なんか おかしかった?」


「俺は気づかなかったんですけど

 マサ先生が気にしていて…」


「マサ先生が?」


「今日のアミ先生は

 元気がないみたいだって…」


「いや〜たまげたぁ!

 実は 寝不足だったの!(´∀`*)ヶラヶラ」


「アミ先生は マサ先生の"憧れ"ですから

 よ〜く見てますよ(*´艸`)」



 そうだよね…

 プライベートのこと引き摺ってたら

 ダメだわ…気をつけないと




 ガラガラ…



 ダンスの練習着に着替えたマサ先生が

 職員室に入ってきた



「マサ先生、心配かけてごめんね!

 今日は寝不足だったの(*´꒳`*)」


「え?…あ!いや!ゆう先生!

 話したんですか?( ゚∀ ゚)ハッ!」


「何も話してないです…( *¬ω¬)」


「ちょ、ちょっとぉ!敬語怖いっ(/ω\*)」


「照れるなよ、マサ先生!

 アミ先生 寝不足だったって

(*°∀°)・∴ブハッ!!w」


「わ、わかりました!

 自分で聞きたかったのに…(ボソッ)」


「今晩、添い寝してあげたら?」


「し、しゅん先生まで何言ってるんですか!」




 楽しそうにしている同僚たちを見ていると

 こっちまで楽しくなる…



 元気出さなきゃ!



「マサ先生、行こうか!(*´꒳`*)」


「はい!」



 *・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:



 → 笑顔のアミを見て嬉しくなった柾國まさくに



 あの 謎のSNS投稿から

 結構 日にちも経っているし

 そろそろ…



「最近、何も異変もないですし

 今日は 一緒に行きませんか?」


 勇気をだして言ってみた…



「あの道は通らないで行こう( ˆ∀ˆ )アハハ」


「もう通れないですね!(´∀`*)ヶラヶラ」



 そう話しながら

 一緒に外へと出たところで



「アミつんっ!!!!」


「サトちん??!! どうしたの、その顔っ!!!!」




 隣に居たアミ先生は

 例によって

 彼のもとへ駆け寄っていく




 チクっ…


 まただ…この痛み…




「…アミ先生、先に行ってますね!(*´꒳`*)」


「ごめんね!マサ先生…」



 俺の声に振り向いたアミ先生は

 余裕のない笑顔だった…



 今日一日、元気がなかったのは…

 彼氏さんが原因だったのかな



 ・・・・・・




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → アミに 謝りに来たさとし



「サトちん??!! どうしたの、その顔っ!!!!」


 そう言って 駆け寄ってきたアミつんに


 僕は今にも抱きつきそうだったけど



 "ここは外…おとぎの城の前だ!"


 一瞬で正気を取り戻す


「この前はごめんね…ホントにごめん!

 ちゃんと話がしたいんだ!」



 必死に頭を下げて謝る



「ここじゃ なんだから場所変えよう…ね!」


 アミつんの言葉に 一度落ち着く



 ゆっくり話すにも アミつんは今

 ダンスの練習に行かないといけない



「アミつん、家で…待っててもいい?」


「うん、練習が終わったら すぐ帰るから!」



 そう言って 僕に手を振ったアミつんの

 背中を見送った



 アミつんは優しいから…

 きっと誤解していても

 笑って許してくれるんだろう



 誠心誠意

 先輩とは何も無いこと

 恋愛対象でもないことを

 しっかり言うんだ



 僕には アミつんしか…いないんだから…

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