第15話… 憧れの先生

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → 紗蘭さらん✿︎幼稚園



 無事に園児が降園

 スタジオに行く準備をしていると



「アミ先生、体の方はどうですか?」


「うん、少しまだ痛いけど大丈夫!」


「今日も友人が部屋に泊まるので

 早めに帰りたいんですけど」


「うん、私も今日は予定あるから

 早く帰りたい!」


「じゃあ、のぞむ先生に

 その旨話しましょう」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → ダンススタジオ



 ひと通り練習が終わって


「じゃあ、今日はこれで終わろう!」


「今日も早めに切り上げていただいて

 すみません、のぞむ先生…

 友人は明日帰るので

 来週からは何時まででも大丈夫です」


「友人とやら…やっぱ オンナだろ…( *¯ ꒳¯*)」


「いや、男ですって!」


「何回目よ、そのやり取り(´▽`*)アハハ

 2人 すっかり仲良くなったね!」


「まぁな!…あ、アミも もう帰る?

 そこの自販機…

 いちごミルク復活したぞ!」


「えっ!ホント?!買ってくるっ!」



 ε=ε=٩(๑・∀・)۶



 バタンっ…



 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆



「アミ先生、

 いちごミルクが好きなんですか?」


「うん…たくさん

 買い占めするぐらい好きらしい(ノ∀`笑)

 アミが買わなくなってから

 違う種類に変わっちゃったんだけど

 この前 業者に言ってみたら

 入れてくれたんだよね〜」


「へぇ〜…( *¬ω¬)」


「あ、別に深い意味はなくて…」


のぞむ先生…

 アミ先生と何かあったんですか?

 本人に聞いても"親友"って

 過去形で言うし…

 仲良かったんですよね?」


「あ〜…まぁ、色々とね…」



 バタン…



「とりあえず、7本買ってきた!」


「えー!そんなに?!」


「騙されたと思ってマサ先生も飲んでみて!

 すごく美味しいから!はい!」


「ありがとうございます!

 って、のぞむ先生は 飲まないんですか?」


「この人は ドデカピタJ…はい!」


「お、サンキュ!」



 …俺の好きなやつ

 覚えていてくれた


 キンキンに冷えた ドデカピタJを眺めて

 少し喜ぶ…



「・・・・・・」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → 家に戻った柾國まさくに



「お!おかえりマサ!」

 高校の同級生、あずま 敏也としや


「敏也の方が早かったな(´▽`*)アハハ

 あぁ腹減った!」


「もうすぐウーパー来るよ」


「お、いいねぇ!」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 届いた食事に舌づつみ

 腹が満たされ 酒を酌み交わす



「今日は 結構歩いたから脚がパンパンだ…」


「視察って言ってたもんな…」


「あそこの複合施設

 めっちゃデカいだろ?

 端から端のテナントを

 一つ一つ視察って…キツっ_(:0」∠)_パタリ」


「それはそれは お疲れ様。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ」


「心がこもってない言い方だな。゚(゚ノ∀`゚)」



 先日 課長に昇格した敏也…

 大手 建物の管理会社勤め

 スーツを着こなし

 イケメンスマイルとナンパ慣れの話術

 何やっても器用な親友ダチ

 課長昇格も 同期入社のヤツよりも

 早かったんだとか



「そういえば 憧れの先生とは どう?」


「え?」


「昨日は 話題に出なかったからさ…

 寿退社でもしたのか?その先生…」


「さっきまで一緒に居たよ」


「うわぁ〜その言い方!アハハヾ(≧∀≦*)」


「ホント すごい先生だよ…」


「…そのすごい先生に一目惚れだもんな」


「いや、違うって!…」


「…ただの憧れじゃないんだろ?」



 こいつには やっぱり隠せないか…

 昔から 結構鋭いからなぁ…



「…憧れ止まりだよ

 気持ちを伝えることはしないよ」


「ふ〜ん…まぁ、振られたとしても

 同じ職場だったら気まずいよなぁ…」


「うわっ!振られる前提。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ」


「近いうちに また

 仕事でこっちに来るから

 その時 話聞かせろよ!d(˙꒳​˙* )」


「うん…」


「何か自信無さそうだな。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ

 先に ひと泣きしとくか?」


「…な、泣かねぇよ!」


「(*つ▽`)っ)))アハハハ!だよな、泣かないよな!」



 わかってるんだ 自分でも

 叶うわけないって

 欲しがっても 手に入らないことも



「これ、美味いな!全部飲んでいい?」


「ああぁ!俺のいちごミルクッ!!!」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 将来どんな職業に就いたらいいか

 悩んでいた高校生の頃…


 学校に職業体験の案内が来て

 申し込むことにした


 色んな職種がある中で


 元々子ども好きだったっていう理由で

 男性教諭もいる珍しい幼稚園…

 漠然と【紗蘭さらん✿︎幼稚園】での

 実習を選んだ




 。゜⋆。゜⋆




 数名の女子と 男は 俺一人



 俊先生の

 今も変わらない"ダ──ッ"…

 笑顔の子供たちが楽しそうに拳をあげる



 園長先生が

 園庭で園児たちと一緒に ボールを蹴る



 ゆう先生を追いかける

 女の子の集団…



 実際に男の先生が

 子どもたちとたわむれている現場を

 目の当たりにして


 うわ!すごい!.。゚+.(・∀・)゚+.゚



 すごく感動したのを

 今でも鮮明に覚えている




 園内に戻って お遊戯ホールに行くと

 一際ひときわキラキラ輝く先生に

 釘付けになる



 チューリップの形をした名札には

 "うづき アミ"



 どの先生も 魅力的だったけど

 アミ先生から目が離せなかった



 一通り、見学して

 園児と一緒に遊ぶ時間もあった



 俺の周りを

 目を輝かせた園児たちがぐるりと囲む


 どうして良いかわからなくて

 あたふたしてたら


「子どもは好き?」

 アミ先生に話しかけられた


「は、はい…」


「キミのことを見て

 "自分のことを

 無条件に愛してくれる人だ"って

 わかったから集まってきたんだよ!」


「えっ!そうなんですか?」


「キミは 幼稚園の先生に向いてるかもね!

 大変なことも たくさんあるけど

 子どもからも それ以上の

 パワーをもらえるし 楽しいよ!

 "教育"は"共育"…

 私も子どもたちに

 育ててもらってるの(*´꒳`*)」


 妙に刺さった"教育は共育"…の言葉



 幼児教育とは

 ・生涯にわたる「生きる力」の

 基礎を作ること

 ・思考力や判断力、表現力の基礎を

 養うこと

 ・社会性や健康な身体を育てること



 子どもたちの未来をつくる

 手伝いがしたい…

 そして 自分も成長したい…



 腹が決まった




 *・゚・*:.。.*.。.:




 教育学部を経て、念願の

 紗蘭さらん✿︎幼稚園への就職を勝ち取った



「待ってたよ!柾國まさくに先生(*´罒`*)」


 迎えてくれた

 アミ先生の あの笑顔は 一生忘れない




 嬉しいことに 最初の教育係がアミ先生…

 たくさんのことを学んだ


 近くにいると アミ先生の

 いい香りが漂ってくる


 毎日ギュッってされる園児たちが

 羨ましくて仕方ない (´^`*)ムー



 俺の憧れの先生…

 こんな先生に俺もなりたい




 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆




 月日が流れると



 "憧れ"から 気持ちが移り変わる



 自分でも何となく わかってた



 子どもたちに向ける優しい視線を

 俺にも向けてくれるから



 俺は…ふざけて

 子どもみたいにアミ先生の気を

 引くことしか出来ないから




 元親友と言ってたのぞむ先生も

 アミ先生と絶対何かあると睨んでいる


 元親友って何?って…


 絶対怪しい!!


 異性の親友ってあるの?俺は無理だね…


 一度 意識しちゃったら

 気持ちが暴走するもんじゃないの?



 なのに お互い普通に話してるし…


 のぞむ先生も

 良い人なんだよなぁ〜




(*´-ω-)ん〜…すごく気になる




 "ちょっと カマ掛けてみるかな…"




「どうした?

 告白するシミュレーションでも

 してるのか?(*°∀°)・∴ブハッ!!w」


「ま、まさか!」



 コイツといると

 楽しかった学生の頃に戻る



 敏也からの冷やかしを全面に承けて

 夜が更けていった

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