第6話… 卒園生の悩み

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 相談があるという

 卒園生の泰本やすもと てつくんと

 応接室で話をしていた




「あのね 先生…

 ずっと考えてたんだけど、なかなか

 言い出せなくて…」


「うん…」


「実は…」





 【バンッ!!!!!】


 突然、応接室の扉が開いた!




「ちょっと待ったぁ──っっ!!!!!」



 応接室に入ってきたのは

 マサ先生だった





てつくん、もしかして

 アミ先生に告白しに来たの?!」


「はぇ?こ、告白?(⊙_⊙)」

 キョトンとしてる哲くん



「ちょっと、マサ先生!

 急に入ってきて 何言い出すの?!」


「だ!だって、てつくんの将来の夢は

 アミ先生をお嫁さんにすること

 …なんでしょ!」


「え──っ!Σ(゚ロ゚;)

 それぇ!僕が幼稚園の頃のぉ!」


「(*°∀°)・∴ブハッ!!wマサ先生!落ち着いて!」


「ぼ、僕は落ち着いてますよ!

 でもダメだよ、哲くん!

 アミ先生には

 お迎え彼氏がいるからね!( ̄^ ̄*)ツーン」


「ぎゃ───っ!ちょっと、マサ先生!

 何言ってるのよ!

 違うよ、哲くん!違う違う

 彼氏じゃないよ!」


「…(*゚∀゚)アハハアハハハ!!!!

 アミ先生の慌てぶり!!

 あ、マサ先生、告白じゃないです!

 アミ先生とは

 進路のことで相談したくて…」


「し……進路……?( ・∇・)…」



 マサ先生、急にトーンダウン



 *・゚・*:.。.*.。.:




 正気を取り直したマサ先生にも

 同席してもらい

 哲くんの話を聞く




 小学生からサッカーで汗を流してる哲くん

 今回 志望校で悩んでいた時に

 担任からサッカーの強豪校への

 推薦を勧められた



 先に述べた通り

 哲くんとお父さんとは

 血の繋がりがないけど

 とても良くしてもらっている上に

 私立高校に行きたいと言う事で

 困らせるんじゃないか…と

 ずっと悩んでいたという



「きっと 部員のレベルも高くて

 ベンチ入りも厳しいかもしれない…

 その中でも僕が

 どれだけチームに貢献できるか…

 どれだけチームに必要とされるのかを

 試してみたくて…」



「哲くん、すごいなぁ…(๑°О°๑)

 将来のビジョン、しっかりしてる!」


 マサ先生が感心している



「お父さんには

 哲くんの思いは伝えた方が良いと思う!

 自分の夢に向かって

 一歩踏み出すことと一緒だもん!

 もし反対されたとしても

 必ず良い方向に行くと思うよ」


「そうかなぁ…( -ω- ) ん〜」


「お母さんには?」


「まだ言えてない…」


「じゃあ、まずはお母さんに話してみよう」


「うん…母さんに話してみる!

 はぁ〜少しスッキリしたぁ( ´△`)」


「良かった!」


「マサ先生には びっくりしたけど!」


「ごめんなさい、哲くん…(;_;)」


「お嫁さんにするって言ったのは

 お誕生会の話だもんね!

 初めて園児に言われたから覚えてるよ!」


「クラスの男の子たちは

 みんな先生のことが好きだったから

 抜け駆けして

 先に言ったんだよ!(´∀`*)ヶラヶラ

 そうかぁ…お迎え彼氏…

 アミ先生、やりおる( *¬ω¬)」


「ちょ、!違うって!

 もう勘弁してぇ(>人<;)」


「照れなくていいよ〜(´∀`*)ヶラヶラ」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → 噂の (仮)お迎え彼氏のさとし




『今日は、早めに迎えに来れたから

 アミつんをびっくりさせよう(*¯ᵕ¯*)』



 幼稚園前の電柱に隠れていた




 "あっ…出てきた!"



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




「暗いけど 帰りは大丈夫かな?」


「うん!近いから大丈夫!

 今日はありがとう、話が出来て良かった」


「こちらこそ!

 会いに来てくれてありがとうね」


「家に帰ったら 話してみる…

 …勇気が出るように ギュッてして!」


「えー!恥ずかしくないのぉ?」


「だって、"僕のお嫁さん"だもん!」


「そうだった!アハハハッ!」




 帰りの会が終わったあと

 園児を見送る時 必ずしている

〚明日も待ってるよ〛…の儀式



 ハイタッチ(*´∀`)人(´∀`*)


 からの〜


 :。(*-ω-)-ω -*)。:゚ギューッ!



「気をつけて帰るんだよォ〜またね!」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 → サトシデス…サトシデス…サトシデスゥ…|ω•˘ )チラッ



 "な、何…?お嫁さん…だと?

 あんな若い子とハグしてる…っ…"



 電柱の影に隠れてた僕は

 ガックリと肩を落とした…


 あの子と付き合ってるってこと

 …ないよね?


 見たくなかったァ

 僕もハグしたことないのにィ(´^`*)ンー



「あれ?サトちん?」


「げっ!隠れてたのに見つかった!( ゚∀ ゚)」


「幼稚園の先生だからね!

 かくれんぼのオニは 得意だし…(*´꒳`*)」


「(´▽`*)アハハ〜だよね!」



 アミつんの笑顔、いいよなぁ〜



( ゚∀ ゚)ハッ!


「あ、もう仕事終わった?一緒に帰ろ!」


「何だか、申し訳ないね…

 毎日来なくてもいいのに…」


「いいのいいの、気にしないで」


「ありがとう( *´꒳`* )

 じゃあ、帰る準備してくるね!」



 アミつんは、幼稚園の中に入っていった




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → 夕飯を買いに外に出ていたのぞむ

 


 壁一面 鏡張りのダンスフロア…

 お気に入りのビルの一室で

 日中はシニアや主婦、夕方は学生たちの

 ダンスレッスンをしている


 今日は午前中に紗蘭さらん幼稚園、

 日中のマダムたちのレッスンが終わり

 夕方のレッスンは入っていない…



「アミは…全然変わってなかったなぁ」



 午前中のリトミックでの

 アミの様子を思い浮かべていた




 *・゚・*:.。.*.。.:



 俺とアミは

 5年以上も前の合コンで知り合う


 お互いに人数集めのコマとして

 飲み会に参加していたことや

 夢に向かって一生懸命頑張ってること…

 境遇が似たりよったりで意気投合


 異性の友達も有り得るんだ?!


 それぐらい一緒にいて

 気遣い無用の"親友"となった




 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆



 "プロのダンサーになるために

 留学しようと思う"



 "難しいんじゃないか?"

 "世の中、そんなに甘くないよ!"

 友人達は 口々に そう言った



 ただ一人…

 俺の可能性を信じてくれたアミ



 "すごいじゃん!のんなら出来るよ!"



 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆



 なにかあったらお互いを頼りにして

 …愚痴を言ったり、聞いたり

 …励ましたり、励まされたり

 …恋愛の相談もしたり、されたり



 俺たちは そんな仲だったんだ



 でも 2年前の あの日…

 俺が……その仲を壊した……



「・・・・・・」



 本当は すぐにでも謝りたかったのに

 何も言えないまま

 連絡をする勇気もなくて

 俺はダンス留学のためアメリカに飛んだ


 帰国後

 有名人のバックダンサーをしながら

 ダンスインストラクターとして勤める中

 元々知り合いだった尾地おじさんから

 リトミックの話が舞い込む


 見せられた書類に複数の団体名…

 アミが勤めているであろう

 紗蘭さらん幼稚園の名前…


 即決だった



 今後 仕事していく上でも

 ぎこちない関係は解消したい…



 "やっぱり謝りたい"



 そう考えながら歩いていたら

 幼稚園の前まで来ていた



 正門前から 建物を見ると

 明かりが灯っている



 "まだアミは居るのかな…"



 ぼんやりしていると

 後ろから声をかけられた



「こんばんは!」


 振り返ると

 若くて可愛らしい男性が

 ニッコリ笑っている


「あ、こんばんは…」


「どなたか 待っているんですか?(*´꒳`*)」


「え?…あ、まぁ…」

 有耶無耶な返事をしてしまう



「僕も待っているんです!(*´꒳`*)」


 嬉しそうに微笑む男性



 この時間に園児のお迎えかな?

 そう思っていたら

 幼稚園から小走りに

 こちらに向かってくる足音が…




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → 職員室



「さっきのマサ先生に慌てぶりったら

 職員室で大爆笑だったよ!」


「"待て!"も聞こえないワンコのように

 走ってっちゃって!」


「は、はずかし…(/ω\*)

 てっきり 告白しに来たんだと思って」


「"おおきくなったら、アミせんせいを

 およめさんにします!"って みんなの前で

 なかなか言えることじゃないよな〜」


「それくらいアミ先生は 園児に

 愛されてたってことよぉ〜

 私も 愛されてるかな〜((( *´꒳`* )))ポワワーン」


「僕で良ければ 今すぐにでも

 お嫁さんにしてあげますよ!

 マスミ先生♡」


「(」゚Д゚)」ギェェェェェェエエエエエ」


郷布ごぉふ、はよ帰れ〜っ!!!!!」


「カナ先生、ヾ(・ェ・ヾ)どうどう…」


「今日もお迎え彼氏

 来てるんでしょうか〜

 今日こそ お顔 拝見したいなぁ〜!」


「マサ先生!もう首を突っ込むな!」


「気になるじゃないですか〜(´^`*)ムー」


「…あれ?そしたら あの人が

 お迎え彼氏さんなのかな?」


「え?郷布先生、見たんですか?」


「髪色が赤くてイケメンでしたよ?

 …たぶん…」


「髪色、赤って…それ…」


「知らんけど…」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → 幼稚園正門前




「ごめんね!お待たせ!…っ…!!!!」



「アミっ!」

「アミつん!」


( ゚д゚) Σ(゚д゚;)

「「えっっ!」」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙…( ´△`)

 これは、修羅場ってやつですかね?」


「マサ先生!覗きはダメだって!

 って、なんで俺まで駆り出されるわけ?」


ゆう先生も共犯です(*ФωФ)フフフ…」



 建物の影から こっそりと

 マサ先生と優先生が覗いていた

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