第5話… 希 VS アミ

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 週明け 月曜日

 ここは、おとぎの城



 王子・王女の賑やかな声が響きわたる




「しゅんせんせ〜!ダァーしよ〜!」


「マサせんせ、だいすき♡」


「わたしもスキだし〜!」


「ゆうてんてぇ!

 パンダうさぎコアラして!」


「おいでおいで〜パンダ!」


「えんちょうてんてぇ〜!」


「だぃじょぶだぁ〜」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 よりによって…

 今日は 年長組 リトミックの日…



「これからリトミックの時間です!

 ゼッケンつけて廊下に並んでね〜(*」´□`)」」



 キャーキャーと喜びながら

 園児たちは自分の名前が書かれた

 ゼッケンを身につけて

 お遊戯ホール(体育館)に

 さくら組の園児たちが集合した




 *・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:




 ステージに新任の先生が立つと



「あれ?おじちゃんせんせじゃないぞ!」

「おじちゃんせんせ

 こしいたいっていってたね」

「え?おじちゃんせんせ こいしたいの?」

「あのおにいさん、かみのいろ あかい!」

「キャー!イケメン♡」

「かっけー!」



 子どもたちは騒ぎ始めた




尾地おじ先生は 腰が痛くて

 お休みすることになりました!

 代わりに

 リトミックを教えてくれる

 細木ほそぎ のぞむ先生です」



 私が紹介すると

 続けて 彼が口を開く


「初めまして!

 今日からリトミックの担当をする

 細木ほそぎ のぞむです!

 みんな、よろしくね!」



(゚∀゚ノノ"☆パチパチパチ★


 盛大な拍手の中

 自己紹介が終わったところで

 早速 始まる



「今日は 早くみんなの お顔と

 お名前を覚えたいので

 リトミックというよりは ゲームをして

 楽しみたいと思います!」



「いえーい!」

「ゲームだって!やった!」



「リズム4(four)っていうゲーム知ってる?」



「しらなーい!」

「なにそれー!」




 ── リズム4…

 飲み仲間たちとよくやったゲーム



「そっかァ…知らないか〜( -ω- ) ンー

 じゃあ、説明するよ〜!」



 喜んで

 ぴょんぴょん跳ねていた園児たちを

 一度床に座らせた


「両手で床を1回叩いて〜(ドン)

 次に拍手を1回(パチン)

 親指を立てた右手の拳を右側に…d('∀'*)(ピッ)

 その後、同じく親指を立てた左手の拳を

 左側に… (・ω・)b(ピッ)」


 園児たちに

 動作に効果音を交えて説明



 ドン・パチン・ピッ・ピッ…♪♪


 何度か 希先生に合わせてやってみると

 園児たちは順応性があるので

 すぐ覚える…

 若いってすばらしい(´∀`*)



「アミ先生と一緒に

 ゆっくりお手本を見せるので

 みんな見ていてください!

 …俺が勝つ((ボソッ))」



 いきなりの宣戦布告…



 あん?上等!

 このゲーム、私は負け知らず…



「( *¬ω¬)…受けて立とう((ボソッ))

 …じゃあ、アミ先生からやるので

 みんな見ていてね!」



 *・゚・*:.。.*.。.:



 バトル開始…

(動作の効果音と共に…)



 .•♬.•♬.•♬

「アミ(ドン)から(パチン)はじ(ピッ)まる(ピッ)

 リズ(ドン)ムに(パチン)合わ(ピッ)せて(ピッ)

 ・(ドン)・(パチン)のん(ピッ)3(ピッ)」


「・(ドン)のん(パチン)のん(ピッ)のん(ピッ)」


「・(ドン)・(パチン)アミ(ピッ)2(ピッ)」


「・(ドン)・(パチン)アミ(ピッ)アミ(ピッ)」




 ・・・・・・



 両者一歩も譲らず白熱するリズム4…



「・(ドン)・(パチン)アミ!(ピッ)チェケ!(ピッ)」

「YO!(ドン)チェケ!!(パチン)

 ラッ!!(ピッ)チョ!!!(ピッ)」





 すると子どもたちが応援団に回る


「アミせんせ、がんばれぇ!」

「のぞむせんせ、まけるなぁ!」




 。゜⋆。゜⋆



 そろそろ決着を



「・・のんチェケ!」

「・の…ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」



「うわぁぁぁ!」

「アミせんせのかちー!」



( *¯ ꒳¯*)フッフッフッ…


「勝ったどぉ〜ぃ!!!!」

 ワァ───ヽ(*゚∀゚*)ノ───イ


「負けた…└( 'Д')┘ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」

( ´△`)アァ-



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 園庭では 年中組と年少組が

 仲良くお外遊び



「アミ先生の笑い声が聞こえるぅ〜( -ω- ) 」


「こら!マサ先生サボるな!」


「カナ先生〜

 アミ先生とお迎え彼氏さんって

 ほんとに付き合ってるんですか?」


「どうして私に聞くの?」


「カナ先生とアミ先生は仲良しだから

 知ってるかと思ったんですけど?」


「仲が良くても、知らないことは あるよ」


「…そうですかぁ」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 園児たちの心を

 グイッと掴んだのぞむ先生


 最後の方は "園児と先生"というより

 お友達のように仲良くなっていた





 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 リトミックが終わり

 保育室に戻る廊下で

 ひまわり組さんを率いる俊先生と遭遇



「アミ先生 楽しそうだったね!

 みんなの笑い声 聞こえてたよ!」


「子どもたち、大喜び!!期待して!(´∀`*)」


「マジ?…それは楽しみだ」



 さくら組と 入れ替わりで

 次は ひまわり組さんのリトミックの時間




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 本日も無事に 保育終了

 園児が降園し

 職員室で翌日の準備をしながら

 同僚と雑談



「いや〜リトミック!楽しかったって!

 ひまわり組に大好評だった!」


「さくら組もお祭り騒ぎだったよ」


「笑い声、凄かったですよ…

 特にアミ先生。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ」


「あれ、笑い声って言うより

 雄叫びみたいな?」


「は、恥ずかしい!(´∀`*)」



 懐かしくて楽しかった…

 昔よく やってたから…

 のんが私に負けて悔しがる顔が

 見たくて何度も…



「……フフッ…」


「アミ先生?思い出し笑い?」


「え?何思い出したの?」


「いや、なんでもない(・∀・)」




 そこへ


「アミ先生!

 卒園生の泰本やすもと てつくんが来てますよ!」


 事務長の 佐藤 先生に

 声をかけられた



「あ!今行きます!」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 玄関に向かうと



「アミ先生!」


てつくん!おかえり!」


「ただいま!」



 先日、相談があると言っていた哲くんを

 応接室に案内した




 *・゚・*:.。.*.。.:



 → 職員室



「卒園生のてつくんって

 さくら組のユカちゃんの

 お兄ちゃんでしたよね?」


「うん、そうだよ!アミ先生が

 新任時代に受け持った子だって」


おぉっちくなったなぁ…てづくん」


「園長先生も覚えてらっしゃるんですか?」


「覚えてるど…

 当時はよぉ…お誕生会の時に

 対象の子がステージさ上がって

 マイク片手に将来の夢をいうっていうのが

 あってよ…

 …はい、そこで問題です

 てづくんが言い放った将来の夢は

 いったい何でしょうか?」



 園長先生が 突然出した問題に

 職員全員が 考え込んだ



「男の子だから…警察官とか?」


「ブー!」


「あ!アイドルだ!」


「ブー!」


「YooTuber!?」


「わかるかな〜わかんねぇだろうなぁ〜…」


てつくんは、なんて言ったんですか?」


てづくんはよぉ…」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 → 応接室



「これ、哲くんが来た時に一緒に

 食べようと思って買っておいたよ!」


「あ!たべっ〇どうぶつだ!」


「好きだったよね、このお菓子(´∀`*)」


「今は、食べないよ(´∀`*)ヶラヶラ」


「えー!そうなのか〜」


「でも、懐かし!ありがとう先生!」



 お菓子食べながら近況報告

 学校のこと、部活のこと

 年の離れた妹のユカちゃんのことも…



 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆



 てつくんのお母さんは

 若くして結婚

 まもなくご主人が事故で亡くなり

 哲くんを女手一つで育てた

 ご縁があって 今のご主人と再婚して

 ユカちゃんが生まれた



 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆




 ひと通り、近況を聞いたあと


「相談があるって言ってたね?」


「あ…うん、あのね先生…

 ずっと考えてたんだけど、なかなか

 言い出せなくて…」


「うん…」


「実は…」





 【バンッ!!!!!】


 突然、応接室の扉が開いた!




「ちょっと待った──っっ!!!!!」



 応接室に入ってきたのは

 マサ先生だった

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