第十一話

キャンプを終えて帰宅すると樋口くんから連絡があった。



『キャンプではなかなか話せなくてごめんね』



『そんなことないよ!

大丈夫だよ』




今までではなかったやりとりが心地よかった。



樋口くんから突然、


『この間ゆっくり話せなかったから、今度ご飯でも行かない?』



一瞬戸惑ったが、断る理由がなかったので快諾した。




樋口くんの出張の関係と私の仕事の関係で2週間後の土曜日の夜、ご飯を食べに行くことになった。



これはもしやデートなのでは?

と思う気持ちと急に変な緊張が襲ってきた。



約束の場所はお酒は飲まないことにしようと言う約束になったので、近くのファミレスで会うことになった。



ファミレスだったらカジュアルな服装でもオッケーだよね?



と内心思って服を決める楽しみができた。



と言うかその日仕事なので必然的にカジュアルな服装になってしまうのだが。




時が過ぎるのは早いもので2週間はあっという間に過ぎた。





土曜日

私は普通に仕事をこなした。

心の中はドキドキして、仕事が終わりメイクを簡単に直した。



「なになに?デート?

いつも疲れましたあーって顔して帰るのにメイク直していくとは」



「デートかはわからないんですけど、これからご飯行く約束していて」




「また聞かせてよ!楽しんできてね」



と手短に話を終えると目的地まで急いだ。




ファミレスの前で呼吸を整える。




ファミレス前での待ち合わせなので、樋口くんはまだ来てない模様。









「お待たせ!ちょっと仕事が押して遅くなった」



と相変わらず優しい口調の樋口くんが作業着のまま現れた。




「待ったってほど待ってないから大丈夫だよ!」





と私は答えて中に入っていく。




「いらっしゃいませ。お二人様ですか?」



と空いてる席に通される。





席に座ってメニューを見て、食べたいものを決める。




「なににしようかな?チーズハンバーグにしようかな?」



「樋口くん決まった?」





「うん!決まったよ」




「じゃあ私はチーズハンバーグにしよう!」



と注文した。




料理が来るまでの間、会話を繋がなければならない。



緊張する。



そうすると樋口くんが優しい口調で



「ねえー、小さい頃に交わした約束覚えてる?」

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