第九話
キャンプについて友達に連絡してみた。
ダメ元で…
ダメ元だったのになぜか友達が
『中学生の頃、学校の行事でキャンプしたの覚えてる?』
私はすっかり忘れていた。
そういえば、学校の行事で一度だけ生徒全員でキャンプしたことがあった。
中学生の頃はこんなにキャンプが流行っていなかったので夜は真っ暗になるような廃校になった学校のグラウンドにテントを張った。
夜中に遅くまで話していようとすると見回りにきた先生からテントをドシンと叩かれた。
あれは恐怖体験であった。
あの体験があったからこそみんなとの信頼関係は厚くはなった。
しかし、あまりキャンプにいい思い出がないのはたしかだ。
友達があまりにも懐かしんでくれたのでキャンプを提案してみると二つ返事でいい回答が得られた。
友達が大きなテントを持っているそうで今度の日曜日にキャンプをすることにした。
『キャンプ飯どうする?何作る?』
こう言う時はわたしの出番といったら烏滸がましいがキャンプ飯には少し知識があった。
『洗い物が少ない料理がいいんじゃないかな?』
手の込んだ料理は家で食べたらいい!
キャンプ飯はどんだけ洗い物を減らせるかが勝負だ!
と紗羅は思っていたのである。
『そうだ!中学生の頃みたいにグルキャンするのはどう?』
と友達はこういうノリが好きだ!
『いいけど!
みんな事情もあるし』
『誘ってみるだけ誘ってみようよ?』
こうなったら止められない。
連絡をとっている友達に声をかけてみる。
もちろん樋口くんも例外ではない。
『〇〇ちゃん、いけるって
〇〇くんダメだって。
テント持ってきてくれる人もいるらしい』
流行っているかはだろうか?
みんなフットワークが軽い。
樋口くんの返信は
『出張からちょうど帰ってくるから必ず参加する』
だった。
樋口くんは変わらず優しい。
本当は疲れていて休みたいはずなのに参加してくれる。
変わらない優しさに安堵しながら
日曜日の予定を伝えた。
キャンプにいい思い出はないと言いつつも夜中にこっそりした恋バナとかは覚えている。
怪談話をしたグループは眠れない一夜を過ごしたらしいが、恋バナをこっそりしていた私たちはそこだけは楽しかった。
友達の〇〇ちゃんが〇〇くんを好きだとか嫌いだとか付き合ってるとか付き合ってないとか?
中学生の紗羅にとって『付き合う』と言うことがまだよくわかっていなかったので
とりあえずそんなものか!と話を聞いていた。
そんな思い出に浸っていたら日曜日がやってきた。
最高のキャンプ日和だ!
楽しむことを目標に出発した。
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