第七話

同窓会が終わった後、樋口くんから連絡をもらった。



内容は同窓会は参加したことへのねぎらいと久しぶりに会えてよかったというような内容であった。



私たちは3年という隙間を埋めるように連絡を取り合うようになった。



と言っても樋口くんは忙しそうなのでたまに連絡をくれる程度であったが、紗羅にとっては嬉しかった。




『倉敷って今何して働いてるの?』



とみんなが疑問に思うところではある。



私は正直にアルバイトをしていることを伝えた。



そうすると意外な答えが返ってきた。



『友達がキャンプ始めたいって言ってるんだよね。今度お店行ってもいい?』



相変わらず口調が柔らかい。



『うん、いいよ!

私はまだペーぺーだけど、先輩がいいアドバイスくれると思う』



と打った。

本当にまだ新人に毛が生えただけのペーペーであった。



でも樋口くんがお店に来てくれることや友達がキャンプを始めたいと教えてくれたことが嬉しかった。





時が過ぎ、ある日曜日のバイトの時



樋口くんは友達を連れてお店に来てくれた。



高校の時はもちろん制服だったので、樋口くんの私服は実質初めて見ることとなった。




樋口くんは落ち着いたカジュアルな格好をしていた。



樋口くんの友達はキャンプを始めたいだけのことはあってキャンプメーカーの服を着こなしていた。



ソロキャンプをしたいということだったので先輩が一から丁寧にアドバイスをして、いろいろ購入していった。




「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」




と樋口くんたちを見送ったあと、ふっと息をついた。




「今のお客様、知り合いだったの?」



「あ、はい!高校の時の同級生で」



「言えよー!

少しサービスしたのに!」



「あ、すみません。

今度来たらサービスしてください」



と先輩といろいろ話しているうちに上がりの時間になった。



携帯をチェックすると樋口くんからメールが入っている。



『今日はありがとう。友達いろいろ揃えられてよかったって言ってたよ』



疲れた体に染み渡る嬉しさが込み上がる。



『よかったです。私がアドバイスできたら1番だったんだけど、なんせペーペーだから、笑』



と手短に返し、職場を後にする。





電車に揺られながら今日あったことを振り返る。


樋口くんはやっぱり優しなと思ったところで携帯がなる。



『今度、キャンプ行ったら報告するって言ってたよ。』



『ああ、ありがとう。

楽しみにしているね』




樋口くんとのやりとりは楽しかった。

純粋に同級生とまた連絡を取れることが嬉しいのと、やはり相手が樋口くんだと違う。



あの約束今でも覚えているだろうか…?




とふと思ったりもした。

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