第五話
あれよ、あれよと月日は流れて同窓会当日となった。
大々的に学校をあげての同窓会ではなく、学年単位のこじんまりとした同窓会であった。
しかし、100名近く集まるとなかなかの集合体である。
みんなドレスアップして来ている。
紗羅もいつものカジュアルな服装からは考えられないほどおしゃれをしている。
普段は結婚式を催す場所が同窓会、会場であった。
仲良かった人たちはみんな別の場所に集合してから来ているようであった。
みんな目を合わせると
「久しぶりー。
元気だった?」
「全然変わらないねー。」
「そんなことないよ。」
と挨拶している。
紗羅は樋口くん会うことを楽しみにしていたがなかなか樋口くんが現れない。
さすが女子、
「樋口くん、仕事がなんか押してて遅れてくるらしいよ」
と情報が入る。
ドキドキしていた私は『なんだか馬鹿みたいだ…』
と紗羅は内心自分が恥ずかしくなった。
樋口くんと仲の良かった永田くんに会った。
「おー!
倉敷、久しぶり 元気だったか?」
「元気だったよ!
永田くんは元気だった?」
「元気元気!
今仕事何やってる?」
「うーん、アウトドアショップで働いてる」
「へー!
今人気だもんな!アウトドア」
「そうだね!ブームだよね
今度お店に遊びに来てよ」
紗羅は我ながら営業トークがうまくなったものだなと思った。
「店どこか教えてから言えよー」
と和気藹々と話せる懐かしさとどこか記憶が戻ったような甘酸っぱさが喉を通り抜ける。
「玲央、遅いな?」
と永田くんがおもむろに時計を見ていう。
久しぶりに聞く『玲央』の2文字に
心臓が飛び跳ねそうだった。
「樋口くん遅いよね?」
と紗羅の代わりにどこかの女子が答える。
「そうだね!」
としか言えない私はなんて役立たずなんだ。
その時、重い扉がゆっくりと開くのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます