魔法少女オリジンスパークの受難
悠之信
シナリオ(書きかけ)
○浅桐町・全景(朝)
★空を飛んでいる赤髪の魔法少女。
和樹M「この街には魔法少女がいる」
○同・路地裏
★人気のない路地裏に降り立ち、辺りを見渡して警戒し、光を発する魔 法少女。
★光が収まった場所には、制服を着た男子高校生の姿があった。
和樹M「俺、四方木和樹もその一人」
★ぼうっとあくびをして口を押さえ、右手に巻かれた腕時計を見て、四 方木和樹(16)は気づく。
和樹「やべ! もう8時かよ!?」
○都立浅桐高等学校・外観(朝)
★門標に「東京都立浅桐高等学校」と書かれている。
★人気のない校門の真ん中でジャージ姿の筋骨隆々の体育教師が怒鳴って、 和樹が頭を下げて謝っていた。
○同・下駄箱(朝)
★四方木和樹と描かれた下駄箱を開ける和樹。
○同・2−2教室前・廊下(朝)
★扉の上に「2−2」のプレート(2P)
○同・2−2教室(朝)
★机に寝そべり、涙目になって意気消沈する四方木。
和樹「くそー遅刻かよ…出席日数が」
★手にはスマホが握られており、画面に和樹が変身した魔法少女の顔写真と
Dランク魔法少女オリジンスパークという名前が書かれていた。
和樹「今日でHPが16ポイント増えた」
和樹「1ポイントあたり100円だから、合計1600円…」
★和樹は上げていた頭を倒し、さらに体を机に投げ出す。
ため息と共に酷く落胆した顔で落ち込んだ。
和樹「しょっぺぇ〜」
★机の下に投げ出していたスマホを持った手を顔の前に戻し、スクロール する。
★画面はAランク魔法少女グラヴィタシオンという名前とその顔写真で止ま った。
★その画面を見て、和樹の顔は悔しさから歯軋りするほど歪んでいった。
そんな和樹を見て周りのクラスメイトは後ずさっている。
和樹「こいつさえいなきゃ 今頃俺は魔物を倒せて 大金持ちだったかもしれない のにな」
★はあ、とため息をついて和樹は組んだ腕の中に突っ伏した。
○浅桐町・路地裏(昼)
★人気のいない路地裏で若干を頬を赤く染めながら、キョロキョロと辺を 見回している和樹。(4P)
★スマホを取り出し、深呼吸する和樹。
★そして、和樹は恐る恐るスマホの画面をタッチした。
和樹「…変身!」
★スマホから光が溢れ出し、その光に包まれる和樹。
★和樹の身体。
★変化した和樹の女性的な身体。(5P)
★光が和樹にまとわりつく。
★和樹は魔法少女オリジンスパーク(ヘソだし・腕甲・脚甲・赤髪)にな った。
★和樹は顔を赤くして自分の体を見下ろし、手を握ったり開いたりしている。
和樹「慣れねぇなぁ…」
★和樹はとんっと地面を蹴り、飛び上がった。(6P)
○同・上空(昼)
★滞空し、周囲を見回す和樹は何かを見つけた。
和樹「ん?あれは…」
★和樹は、向いていた方向に飛んでいく。
○同・歩道橋(昼)
★歩行器に寄りかかり、歩道橋を登ろうとするおばあちゃん。
★近くに降りた和樹。
★和樹はおばあちゃんに話しかけた。
和樹「こんにちは。おばあちゃん」
おばあちゃん「あら、スパークちゃん。こんにちは」(7P)
★和樹は親指で道路の反対側を指し、首を傾げた。
和樹「渡りたいのか、連れてくぞ?」
おばあちゃん「助かるわ。お願いしようかしら」
和樹「任せな」
★おばあちゃんを背負った和樹は、道路の上を飛んで向こう側へと渡った。
★和樹はしたり顔をしていた。
和樹M「4ポイントゲット!」
★歩行器に寄りかかって和樹を見上げて手を振っているおばあちゃん。
和樹はおばあちゃんに手を振りかえし、空を飛んでいった。(8P)
○同・上空(昼)
★スマホを確認し、和樹はニヤリと笑った。
★髪を靡かせながら、和樹は空を飛ぶ。
和樹「よしっ、どんどん行くぞ!」
○同・公園(昼)
★和樹は車に轢かれそうだった子供を救った。
★子供の頭を撫でながら、母親に頭を下げられ、気まずそうな和樹。
○同・上空(昼)
★和樹は財布を手に持ち、キョロキョロと辺りを見回す。
○同・交番(昼)
★和樹は財布を警官に渡し、頭を下げられている。(9P)
○同・上空(昼)
★和樹はスマホを見てニヤニヤ笑っている。
スマホからぽこんと軽快な通知音が鳴る。
和樹「順調、順調〜」
和樹「このまま…」
和樹「ん?」
★和樹はスマホを訝しげに見た。
和樹「魔物の出現通知?なんでオレに…」
★和樹が見るスマホの画面には、浅桐町の地図が写っている。
地図には矢印と同じ大きさの点が示されていた。
★和樹はスマホに視線を落としながら、思案顔をしている。
和樹M「オレの黄色い矢印と魔物を示す赤い点…」
和樹M「いつも通りならすでに魔物の近くにあるはずのサイケクロデルタの青い点が 見えない」
和樹M「つまり…」
★ぴこーんと目を輝かせ、和樹は思いついた。
和樹M「憎きグラヴィタシオンがいない!」
和樹M「ついに、オレが魔物と戦えるってことだ!」
★飛んでいく和樹の後ろ姿。
和樹M「魔物倒したら、なに買おっかなー」(10P)
○同・ビル街上空(昼)
★目的地に到着した和樹。
眼下には見物人がごった返し、警察に止められている。
和樹M「なんだあれ?」
★和樹の訝しげな顔のアップ
和樹M「見物人?あぶねぇな。グラヴィタシオンのファンか?」
★和樹のニヤリとした口元のアップ
和樹M「だが、今日ここにいるのはオレ!」
和樹M「ここはいっちょ…」
★和樹は見物人近くまで降りた。
和樹は腕を組み、堂々とドヤ顔でふんぞりかえった
和樹「やい!今日、グラヴィタシオンはいねぇ!」
和樹「代わりにオレが来たからな!その勇姿、しかとその目に…」
★見物人たちはいそいそと帰り支度をし、さーっと帰っていった。
和樹はずっこけた。
和樹「…えーーー」
★和樹は肩を落とし振り向いて、涙目になった。
木枯らしが吹いた。
和樹「んだよ、もー」
和樹「やる気削がれるわぁ…」(11P)
★和樹の耳元アップ
女の子「魔法少女のおねえちゃん!頑張ってー!」
★和樹の視線の先には、お母さんに手を繋がれた女の子が大きく手を振って和樹を見ていた
★和樹はじーんと感極まり仰け反った。
和樹M「おぉ、やさしさが沁みるぅ…」
★和樹は腰を曲げて下を向き、手を振った。
和樹「ありがとなー!」
和樹M「やる気でたぁー」(12P)
○同・ビル街(昼)
★和樹は車の一切ない道路の上を飛んでいる。
和樹「まさか、あの中でオレを応援してくれる子がいるなんてなー」
和樹「子供の純粋な応援って、こんな力になるもんなんだなー」
和樹「弟に会いたくなってきたぜー」
★和樹は地面に降りた。
和樹「さて」
★和樹は手を腰に当て、睥睨した。
和樹「お前が魔物か」
★溶けた人型のシルエット。(13P)
★和樹の肩に光が集まり、小さな羽の生えた人型を作った。
和樹は肩に不自然な光が集まるのを不思議そうに見ている。
和樹「ん?」
★和樹の肩に座り、妖精は和樹に微笑みかけた。
妖精「こんにちは!私は自立飛行人型戦闘補助A I『妖精』だよ!」
妖精「よろしくね!」
和樹「おーこれが噂の」
★妖精と和樹は、頭に穴が空いた木でできた人型の魔物を見る。
妖精「等級D 木偶人形だね」
妖精「炎に弱くて、鈍重なんだ」
妖精「新人でも対処しやすい魔物だね!」
★和樹は手を組み、指を鳴らした。
妖精はニコニコしている。
和樹「おあつらえ向きじゃん?」
和樹「記念すべき初戦にしては、味気ねぇ気がするけど」
妖精「誰でも初めはそんなものだよ」
★和樹は足を引き戦闘態勢をとる。
和樹の右手には炎が集まっている。
和樹「いくぜ!」
和樹「いつか魔物と戦う時のために考えていた魔法!」
★和樹の右手には剣が握られていた。
和樹「炎剣!」(14P)
★和樹は炎でできた剣を振りかぶる。
和樹「くらえ!」
★和樹は木偶人形に背を向けて、炎剣を振り抜いた姿勢。
木偶人形は横一閃され、上下に分断された。
★木偶人形は地面に倒れ、燃え尽きていった。
★和樹はふぅと息をついた。
妖精はパチパチと手を鳴らし、足を振って楽しげだ。
和樹「こんなもんか」
妖精「お見事!」(15P)
★和樹は振り返り、灰になった木偶人形に振り返った。
和樹「結構拍子抜けだったな」
妖精「最初はそんなものだよ」
★和樹は大きく伸びをした。
和樹「そんじゃ、またパトロールするかー」
★妖精がハッと何かに気づいた。
妖精「!?」
★妖精が慌て始める。
妖精「こ、これは…魔物?!」
★妖精が和樹に向かって警告する。
妖精「オリジンスパーク、また魔物が現れた!すぐにこの場を離れるんだ!」
和樹「魔物だろ?それならまた倒せば…」
妖精「いや」
★妖精が冷や汗を流し、説得する。
妖精「この魔物は…」(16P)
★和樹に影がさす。
★ビルの影からビル並みに大きい巨人が顔を覗かせる。
妖精「B級の魔物だ…」
★和樹と妖精の顔に驚愕と恐怖の感情が浮かんでいる。
妖精「逃げるんだ!オリジンスパーク!」 (17P)
★冷や汗をかいた和樹が後ずさる。
★応援してくれた女の子がフラッシュバックする。
女の子「魔法少女のお姉ちゃん!頑張ってー!」
★和樹が不敵に笑う。
和樹「妖精、俺が、あいつに勝てると思うか?」
★妖精が慌てて和樹を説得しようとする。
妖精「戦う気か!?」
妖精「無理だ!」
妖精「あの魔物の等級はB」
妖精「オリジンスパークはD級だ!」
妖精「勝てるわけないよ!死んじゃうよ!」(18P)
★和樹の手に炎が集まり、剣を形作った。
和樹「オレは金のために魔法少女になったんだ」
和樹「貧乏でもないし、家族の誰かが病気ってわけでもない」
和樹「バイト感覚で遊ぶ金が欲しいってだけだった」
和樹「だけど、こんなオレでも応援されるってんなら」
★和樹は戦闘態勢をとった。
和樹「後ろの平和守って、真面目に魔法少女にやろうって、思うだろ」
★和樹は妖精を見た。
和樹「グラヴィタシオンはいつ来るんだ?」
妖精「…彼女は今、本部にいる。呼べば三十分もすれば来るよ」
和樹「OK。オレの仕事は時間稼ぎだ。勝たなくていい。勝てる奴が来るまで時間稼 ぎすりゃあいい」
★和樹は狼狽している妖精を指差した。
和樹「お前はグラヴィタシオンを呼んで来い。オレは街を壊させないようにあいつを ここに足止めする」
★妖精は眉尻を下げ、光って消えた。
妖精「…わかった。気をつけてね」
★和樹は炎の剣を構え、魔物を見据える。
和樹「さて…やるか」(19P)
★和樹は手のひらに炎の球を生み出した。
和樹「まずは…」
★和樹は炎の球を魔物に向けて飛ばす。
和樹「小手調べだ!スパーク!」
★和樹の放ったスパークで魔物の頭が爆発する。
★煙が晴れると、無傷の魔物の頭。
★和樹が舌打ちする。
和樹「ちっ、無傷かよ」(20P)
★魔物は和樹を見た。
★魔物が拳を振りかぶる。
★魔物の拳が一瞬で和樹の目の前に迫る。
和樹「はっ…」
★魔物の拳が地面に激突し、地面が陥没する。
★和樹が空に飛んで、驚いている。
和樹「…っや!」
和樹「その図体で速いって反則かよ」(21P)
★和樹の足から火が吹き出し、勢いよく飛ぶ。
和樹「バーニア!」
★和樹が魔物の肩を斬りつけ、離脱する。
魔物の肩から炎が吹き出し、魔物が仰反る。
和樹「炎剣!」
★炎が消え、無傷の魔物の肩が見える。
和樹「炎剣でも無傷か。厄介だな」
★魔物の拳が和樹めがけて飛んでくる。
和樹は冷や汗をかきながら回避した。
和樹「うおっ!?」
★続け様に放たれる魔物の拳。
和樹はちょこまかと回避する。
和樹「いっがいと!」
和樹「な、れてくると!」
和樹「そうでも、ないなぁ!」
★避けた和樹の背後に大きな影。
和樹「!」(22P)
★魔物の大きな手に握り込まれる。
★和樹は魔物に地面に投げられ、叩きつけられた。
轟音が鳴り響き、土埃が舞う。
★和樹は地面をバウンドする。
★和樹は血みどろの状態で、地面にうつ伏せで力無く横たわっている。
和樹は血反吐を吐いている。
和樹「ゴホッ…ガハッ…」(23P)
★ゆっくりと近づいてくる魔物。
和樹が起き上がる。
★和樹はニヤリと笑った。
和樹「…これなら通んのな」
★魔物の指が斬り落とされる。
魔物「!?」
★和樹は傷だらけの状態で肩で息をしながら、立ち上がる。
★和樹の上段に構えた手の中に炎が集まる。
★炎は荘厳な実体を持った剣になった。
和樹は魔物を見据える。
和樹「行くぞ…ガラディーン!」
★魔物は怯えて後ずさる。
★和樹は足から炎を出し、魔物の目の前に迫った。
魔物は斬られてない腕でガードを試みている。
和樹「ハアァッ!」
★和樹はガラディーンを振り切った。
魔物の腕は半ばから両断された。
★和樹は再び振りかぶり、魔物の眼前に迫る。
和樹「終わりだ!」
★魔物の顔がニヤリと醜く歪む。
★驚いた和樹を魔物の手が掴む。
和樹「
魔法少女オリジンスパークの受難 悠之信 @kurinero
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