第19話 アランとクラースの関係

⸺⸺アーサー殿下の自室⸺⸺


「お疲れ様ですアーサー殿下」

「あぁ、ディアナ、今日もお疲れ様」

 私はアーサー殿下の座っているソファへと腰掛ける。


「今日、エミリアがデートの報告をしてきたのですが、意外に前向きに捉えてデートをこなして帰ってきたみたいです」

「そうか、この前のお前の励ましが効いていたのかもな」


「エミリア、めちゃくちゃ素直なので、私のアドバイスを素直に聞き入れてくれるんです。なので浮気しないようしっかり言っておいたので、とりあえずバッドエンドは回避できると思うのですが……」

「アランのほうが問題と言う訳だな」


「そのアラン様はどんなご様子でしたか?」

 私の問に対し、アーサー殿下は難しいお顔をする。

「アランの方はあまり雲行きが良くなくてな。アランとクラースはどうやら幼馴染のようだ。お前とエミリアと同じだな」


「幼馴染……! あの2人面識があったんですね、全然知らなかったなぁ。それが何で雲行きが怪しく……?」

「どうやら10日後に2人で何かを企んでいるようなんだ」


「10日後って、前回のエミリアのバッドエンドの日!」

「そう。つまり、前回のクラースはアランと共謀してエミリアを誘惑した可能性がある」


「わわわ、そんな設定だったなんて……」

「俺は2人でコソコソ話しているところに思い切って話しかけてみたんだが、めちゃくちゃ慌てていたな。何かを隠そうと必死だった。どこかにエミリアを呼び出すとかなんとか言っていたと思うのだが……」


 アーサー殿下の話を聞いて、私はあることを思い出す。


「それなら、学園祭の夜の部だと思います! 確かゲームでもアラン様に学園祭に行こうと誘われて、断る選択肢もなく行くことになるんです」

「なるほど、学園祭なら親も来れるから、 アランの母上を呼び出すことも可能だな」


「私、10日後の学園祭行ってみます」

「そうだな……よし、2人で行こう」

「えっ、いいんですか? 私なんかといるところを見られても……」


「悪いが今回のループ、エミリアを幸せにしてやれそうにない。ならば、どんなに注目されようが、俺はお前と学園祭デートがしたい」

「アーサー殿下……! はい、一緒に行きます!」

 この捨てループを上手く利用するとは、殿下、さすがです。


 しばらくイチャイチャして、解散して部屋に帰る。

 そしてベッドに潜り込むと、アラン様とクラース様のことを考えていた。


 2人は幼馴染。アラン様と共謀していたということは、クラース様が悪役となってアラン様に嫌がらせをしていた訳ではない。

 私とエミリアと同じ幼馴染とは言っても、彼らは寝取って絶交してしまう関係ではないようだ。


 そうすると、アラン様はエミリアとの婚約が本当に嫌で、それを破断にするためにクラース様に協力してもらっている。多分そういうことだ。


 でも、幼馴染を寝取ったという事実を幼馴染の母親に見られてしまっては、クラース様の今後も危ういのでは……?

 なぜクラース様はそこまでして……まさか……。


 私は1つの可能性を見つけ出し、眠りについた。


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