過労OLが海外ドラマの世界に転生する話
@Thomas42
タイトル
タイトル「過労OLが海外ドラマの世界に転生する話」
登場人物
佐藤遙子(25):ブラック企業勤めのOL
ジェシカ(27)
レイ(27)
マーク(37)
サラ(32)
【ページ1】
〇メゾン高林・二〇二(夜)
佐藤遥子(二十五)が玄関から帰ってくる。
遥子「疲れた」
腕時計は午前二時を示す。
***(フラッシュ)***
上司「お前みたいな無能は、会社に要らないんだよ!」
上司「今日も残業して、会社に貢献しろ!」
恰幅の良い上司が怒鳴る。
***(フラッシュ終わり)***
遥子の目にはリビングへのドアが見える。
遥子「明日も始発に乗らないと…」
ドアに手を掛けたところで、遥子はバタッと倒れる
【ページ2】
視界がぐるぐると揺れる。
遥子「私、死ぬのかな…」
ドアが開かれリビングの壁にポスターが掛けられている。
男が二人で向かい合い、タイトルには『レイ・ザ・シリアルキラー』の文字。『全世界待望のアメリカドラマ!』の煽り文句も書かれている。
遥子「レイの結末だけでも、知りたかったな」
【ページ3】
〇ドラマ世界・レイの邸宅・寝室(朝)
ぼんやりとした男性の顔が見える。
レイ「起きて……起きて」
遥子「え?」
レイ(二十七)の顔がはっきりと見える。
レイ「おはよう ジェシカ」
遥子M「レイザシリアルキラーのキャラクター、レイ!」
レイ「朝食を用意してあるよ」
レイが遥子の手を引き、起こす。
遥子M「どういうこと? 何が起きて…」
【ページ4】
ベッドの脇にあるドレッサーに遥子の姿が映る。
赤毛で白人の美女に転生している。
遥子「ええええ!」
遥子は顔を押さえて驚愕する。
レイ「どうしたんだい?」
遥子「わ、私の顔が…」
レイ「いつもの綺麗な君じゃないか」
遥子M「何がどうなってるの!」
【ページ5】
〇同・ダイニング(朝)
遥子は椅子に座り、支度をするレイの後ろ姿を見る。
彼はスクランブルエッグとトーストを持って、テーブルにつく。
レイ「君が寝ぼけるなんて、珍しいね」
遥子「え、ええ」
遥子はトーストを食べながら、思考を巡らせる。
遥子M「どうやら夢ではない」
***(イメージカット)***
遥子とジェシカが背中合わせになっている。
***(イメージカット終わり)***
遥子M「私は転生したらしい それもドラマの世界に」
【ページ6】
***(イメージカット)***
ポスターの背景
***(イメージカット終わり)***
遥子M「ここはレイ・ザ・シリアルキラーの世界だ そしてこの体の名前はジェ
シカ レイの婚約者という設定である」
レイがスマートフォンを見ながら、食事をしている。
レイ「今日はミーティングがあるから、早めに出るよ」
彼に話しかけられて、遥子はビクッと肩を震わせる。
すぐに笑みを浮かべる。
遥子「気を付けてね」
レイが家を出ようとした時、彼はふと足を止める。
振り返り、机の上の聖書を取りコートの胸ポケットに入れる。
レイ「やっぱり安心する」
遥子M「彼は敬虔なクリスチャンだ。ドラマでも、いつもあの場所に聖書を入れ
ている」
レイは胸ポケットを撫でる。
遥子M「自然に振る舞わないと… 彼は殺人鬼なのだから」
【ページ7】
***(イメージカット)***
レイがフードを被って、ナイフを振り上げる光景。
***(イメージカット終わり)***
遥子M「彼は女性を四十人殺害しているシリアルキラーだ。手口は残忍、証拠も
残していない」
遥子M「このドラマは 主人公の刑事とレイの心理戦が軸 そして」
レイが遥子の視線に気付いて、ニコッと微笑む。
遥子M「ジェシカは最初に殺される役!」
【ページ8】
遥子M「二度も死んでたまるか!」
遥子はカップを握りしめる。
遥子M「彼を捕まえて、死の運命を回避してやる!」
【ページ9】
〇ドラマ世界・ファッションブランド「Shot Love」・玄関(昼)
遥子はビルを見上げてポカンと口を開ける。
遥子「ここがジェシカの勤め先…」
遥子M「北海道(地元)ではなかったな」
自動ドアをくぐり、他の社員に挨拶される。
冷や汗を流しながら、遥子は片手で挨拶を返す。
遥子M「おしゃれな場所に慣れん! でもジェシカとして振る舞わないと…」
【ページ10】
〇同・デザイン部(昼)
遥子がドアを開く。
おしゃれな女性や男性ばかりがいる職場。
遥子「お、おはようございます」
彼女の周りに次々社員が集まってくる。
女性A「おはようございます、マネージャー! この図案なんですが」
女性B「デザイン案の確認をお願いします!」
男性A「次のコンペですが…」
遥子は困惑する。
しかし、颯爽とサラ(三十二)が前に出る。
サラ「あなたたち! 彼女はまず、私とミーティングするの」
遥子M「こ、この人は…」
サラ「良いわね? ジェシカ」
遥子「は、はい」
【ページ11】
〇同・デザイン部・会議室(昼)
ジェシカとサラの二人が会議室で向かい合っている。
サラの話を聞きながら、頭の中で考えを巡らせる。
遥子M「やっぱり、すごい美人だな」
***(イメージカット)***
サラがマークと寄り添う姿。
***(イメージカット終わり)***
遥子M「サラはこのドラマのヒロイン ジェシカが殺された事件で主人公と知
り合い 恋仲になる設定」
サラのアップ。
遥子M「強く賢く美しい ドラマの中でも屈指の人気キャラである」
サラ「聞いている?」
遥子「き、聞いてます!」
遥子M「見惚れちゃってた…」
***(時間経過)***
遥子が資料を両手に抱えている場面。
遥子がデスクに座り、PCで作業している場面。
遥子が社員たちと話している場面。
***(時間経過終了)***
遥子M「ちょっと慣れて来たかも」
女性Aが駆け込んでくる。
女性A「トラブルです!」
【ページ12】
周囲がざわめく。
女性A「修正前のデザインが、工場に発注されたようで、今工場長が急遽ラインを停めています!」
遥子「ど、どのデザインですか?」
女性A「これです」
女性A、タブレットを見せる。
遥子が目を見張る。
遥子「わ、私の送付したデザインだ」
サラが後ろからポンと手を置く。
サラ「工場に行きましょうか」
サラが微笑む。
【ページ13】
〇同・工場・出口前(夕方)
髪の毛が跳ね、憔悴した顔つきの遥子。
サラは隣に立って、工場を見ている。
サラ「怒られちゃったわね」
サラが口元に手を当てて、クスッと笑う。
遥子「すみません」
遥子M「彼女が庇ってくれなかったら、どうなってたか」
遥子が俯く。
サラ「でも、許してくれたんだし」
遥子「ごめんなさい」
遥子が俯いたまま、謝罪する。
サラ「ジェシカ?」
遥子「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
***(フラッシュ)***
上司「謝罪しろ、この無能が!」
***(フラッシュ終わり)***
遥子が涙目になる。
遥子「ごめんなさい、ごめんなさい本当にごめ」
サラ「ジェシカ!」
サラが遥子の肩を掴む。
【ページ14】
サラ「こんなことでクヨクヨしないの!」
遥子「え」
サラ「一つのミスで、世界は終わったりしないわ」
サラがニコッと笑う。
サラ「もう終業の時間ね。家に帰ってリフレッシュしなさい」
サラが首を傾げる。
サラ「何か趣味はないの? 美味しいもの食べたり、洋服を買ったり」
遥子は顔を赤らめる。
遥子「えーと…その、射撃場に行くのが…好きです…」
サラはポカンと口を開ける。
サラはクスッと笑う。
サラ「見掛けによらないわね」
〇ドラマ世界・警察署・受付(夕方)
遙子はベンチに座り人を待っている。
マーク(三十五)が現れる。
マーク「何かご用ですか?」
【ページ15】
遥子「私はジェシカ。あなたにお伝えしたいことがあります」
***(時間経過)***
白いコマ
***(時間経過終わり)***
マーク「婚約者が殺人鬼?」
遥子「最近、金髪の女性が狙われる通り魔が起きてるでしょう?」
マークがポリポリと顎を掻く。
遥子「事件が起きる日に決まって、彼は帰りが遅いの。彼が犯人です」
マーク「ただの偶然ですよ」
遥子「他にも不審なことが沢山!」
マークが立ち上がる。
マーク「物的証拠がないと、警察は動けませんな」
【ページ16】
〇警察署・外(夕方)
遥子が苛立ちながら、警察署から出てくる。
遥子「なんなのよ! 主人公でしょ、あいつ!」
〇街・道路(夕方)
遥子は肩を落としながら歩く。
遥子「証拠、証拠か…」
ベンチに座っている人が新聞を読んでいる。
新聞には『現行犯で逮捕』の見出しが躍っている。
遥子Ⅿ「次の犯行を通報すれば、レイも捕まえられる…?」
【ページ17】
〇倉庫街・付近の道(夜)
遥子は隠れながら、周囲をきょろきょろと観察している。
遥子M「レイはドラマの冒頭で、この倉庫街で人を殺す」
遥子M「そこを見つけられれば」
車が停まる。
遥子「来た」
遥子は走り、電話ボックスからに辿り着く。
遥子は電話ボックスから警察に電話を掛ける。
【ページ18】
遥子「あ、あの警察ですか! 今、女の人が襲われてて、はい、はい、お願いします」
遥子は電話を掛け終える。
遥子は電話ボックスから出る。
遥子「これで大丈夫、すぐに警察が…」
遥子M「…それだけで良いのか?」
遥子M「レイは警察が来る前に殺してしまうかもしれない」
遥子は意を決した表情をして駆け出す。
【ページ18】
〇倉庫街・路地裏(夜)
遥子は倉庫の裏路地に飛び込む。
一瞬、人に馬乗りになっている人影が見える。
遥子「人殺しー! 誰か来てー!」
遥子は逃げ出す。
【ページ19】
〇レイの邸宅・ダイニング(夜)
遥子が食事を作っている。
レイが帰宅する。
遥子「お帰りなさい」
レイは憔悴した顔つきになっている。
レイ「ああ、ただいま」
遥子M「この調子で犯行を通報していけば、いずれレイも捕まるはず」
遥子は鍋を煮込みながら、ほくそ笑む。
〇ファッションブランド「Shot Love」・デザイン部(朝)
遥子がデザイン部に入ってくる。
遥子「おはようございます」
社員たちがざわざわとしている。
【ページ20】
社員たちとは別に、スーツ姿の刑事たちがいる。
女性A・Bの二人とマークが話している。
マークが遥子に目を止める。
マーク「ジェシカ…だったね、君に悪い知らせだ」
遥子「え?」
マーク「サラが遺体で発見された」
遥子が愕然とした表情をする。
【ページ21】
遥子「ど、どう……して」
マーク「倉庫街の裏手で発見された。例の通り魔の仕業だろう」
マークが同情するような表情をしている。
遥子「なんでサラが! あの優しい彼女がどうして!」
遥子が手を震わせる。
遥子M「理由なんてわかってる」
***(イメージカット)***
レイが苛ついている表情で歩く。
遥子M「犯行を止められたレイは、ストレスを溜めたはずだ」
レイがサラを見つける。
【ページ22】
遥子M「警察から逃げながら、裏手で彼女を見つけた」
レイが笑う。
遥子M「そして、彼女の……」
サラの背中に向かって走るレイ。
遥子M「私が甘かった。サラは金髪の美人、レイのターゲットにふさわしいじゃないか!」
***(イメージカット終わり)***
マーク「君が言っていた、君の婚約者について……実は少し調べたんだ」
マークが机の上に、紙のファイルを置く。
【ページ23】
マーク「レイの周りでは、不自然なほど死が多い」
遥子「死……」
マーク「彼はニューオリンズの田舎町に生まれた。幼少期に、周囲で動物の虐
殺が連続して起こっている」
遥子がファイルを捲る。
ファイルには動物の遺体の写真が添付されている。
マーク「そこから、都心の学校に通い優秀な成績を収めてきた。しかし、ここ
で教員や生徒たちが事故や自殺で亡くなっている」
遥子が顔をしかめる。
マーク「極めつけは大学時代だ。寮で暮らしていたが、そこにいた金髪の寮生
が何者かに殺害されていた」
遥子「レイの仕業……」
マーク「君の忠告を聞かなかった俺のミスだ、すまない」
遥子「捕まえられるんですよね?」
ファイルを机にバンと置く。
マーク「……無理だ」
遥子の絶望したような表情。
【ページ24】
マーク「レイを疑っているのは俺だけだ。上層部は決定的な証拠がないと、逮
捕に踏み切ろうとしない」
遥子「証拠があればいいのね」
遥子は決意に満ちた表情で、会議室を出て行く。
〇レイの別荘・玄関前(夜)
暗い夜の中、遥子が別荘を見上げている。
服装は黒いシャツにズボン、キャップをかぶっている。
立て看板に『ベンバルロッジ』と書かれている。
遥子は鍵を使って、ドアを開く。
【ページ25】
〇レイの別荘・玄関の中(夜)
遥子はポケットからスマートフォンを取り出す。
遥子はライト機能を使って、暗闇を照らす。
木の廊下が見える。
遥子M「ドラマの通りだ」
遥子は慎重に歩き始める。
遥子M「ここにレイは、殺人のトロフィーを並べている」
遥子は階段を見つける。
遥子は手すりを掴みながら、階段を降りていく。
【ページ26】
〇レイの別荘・地下室(夜)
壁一面に、被害者の写真や切り取った髪、被害者の持ち物などが掛けられている。
遥子は目を見張った後、静かにスマホを取り出す。
遥子は隅から隅まで、写真に収める。
遥子は階段をまた上る。
〇レイの別荘・廊下(夜)
遥子は階段を上り切り、逃げようとする。
【ページ27】
しかし、目の前にレイが現れる。
レイは玄関の前に立っている。
レイ「何をしているのかな、ジェシカ」
遥子はリビングの方へ逃げだす。
レイが追い掛けて来る。
【ページ28】
レイ「君の様子はずっと変だった。だから尾行したら、案の定だよ」
遥子はリビングにある物を投げつけるが、レイは避ける。
リビングの壁には、猟銃が掛けられている。
レイ「君はいつから、気付いてたんだ!」
レイは遥子に飛び掛かる。
遥子は床に引き倒され、首を絞められる。
【ページ29】
遥子「ぐ、がぁ!」
レイ「大丈夫、すぐには殺さないよ」
遥子は白目を剥いて、気を失う。
〇レイの別荘・地下室(夜)
遥子は目を覚ます。
遥子は地下室の柱に、拘束されている。
彼女は後ろで結束バンドを付けられている。
遥子M「あいつ……、どこに……」
【ページ30】
***(フラッシュ)***
レイがトランクケースを持って、別荘から出て来る。
***(フラッシュ終わり)***
遥子M「そうか、私を運ぶつもりなんだ」
***(イメージカット)***
別荘の居間で、レイとマークが向かい合っている。
二人は険しい顔で、銃を構えている。
遥子M「ドラマの中盤で、マークとレイは別荘で対決する」
遥子M「その時も、レイはマークを気絶させた後、トランクケースで運ぶ」
遥子M「なぜなら、ここは殺しをする場所じゃないからだ。彼にとって、別荘
はトロフィーを飾って置く聖域。だから、トランクに詰めて車で運び適当に
外で殺そうとする」
***(イメージカット終わり)***
遥子M「今回も、きっとそうするはず。今、レイはトランクを取りに車まで戻
ってるんだろう」
遥子「逃げ出すチャンス……」
遥子は後ろを振り返って、結束バンドを見る。
遥子はキョロキョロと周囲を見回す。
【ページ31】
遥子「あ」
視線の先に、壁に掛かっているハサミがある。
遥子は唇をキッと結び、靴を足先だけで脱ぐ。
遥子は靴をつま先から放り投げ、ハサミに命中させる。
ハサミはカシャという音と共に、地面に落ちる。
足先で、ハサミの持ち手を手繰り寄せる。
遥子はハサミを後ろの手に持ってきて、刃先で結束バンドを切る。
遥子「よし!」
遥子は立ち上がり、地下室のドアを開ける。
〇レイの別荘・外(夜)
暗闇の雑木林の中を、遥子は走る。
【ページ31】
遥子M「助かった……証拠を持って、マークに会おう」
遥子の口元は綻ぶ。
遥子M「助かった、助かった。レイは捕まる、きっと……」
遥子の足は次第に止まっていく。
遥子「多分……」
***(フラッシュ)***
サラの笑顔
***(フラッシュ終わり)***
遥子は歯を食いしばって、来た道を戻り始める。
【ページ32】
〇レイの別荘・外(夜)
レイがトランクケースを引き摺りながら、別荘に戻ってくる。
【ページ33】
〇レイの別荘・玄関(夜)
レイが玄関を開ける。
遥子が猟銃を構えている。
レイが目を見開く。
レイ「どうやって逃げ出したんだ」
遥子がふんと鼻を鳴らす。
レイ「忠告しておくと、弾丸は入ってないぞ」
遥子「レイ・ザ・シリアルキラー 第二十三話」
レイが眉をひそめる。
遥子「マークとお前は銃撃戦を繰り広げる。マークは弾切れになるが、猟銃の
弾を棚から見つけ出し、逆転する」
壁際の棚のカット。
レイ「何を言ってるんだ?」
遥子が銃口をレイに向ける。
遥子「警察に出頭して、さもないと殺す」
レイがほくそ笑む。
レイは首を傾ける。
レイ「殺す? 殺す? 殺すぅ? 君がぁ?」
レイは凶悪な笑みを浮かべる。
遥子は口を結ぶ。
【ページ33】
レイ「殺せば捕まるぞ、本気で言ってるのか? それに」
レイ「君みたいな女に、撃てるわけがない」
レイは手を広げる。
レイ「君は僕のトロフィーなんだよ、僕に逆らうな!」
遥子は引き金に指を掛ける。
遥子「ジェシカのこと、そんな風に思ってたのね」
レイ「……ジェシカは君だろう」
遥子「サラも、他の子たちも、トロフィーなんかじゃない」
【ページ34~35】
遥子が引き金を引いて、レイは吹っ飛ぶ。
【ページ35】
レイが目を見開いて叫ぶ。
レイⅯ 「う、撃たれた、撃たれた、撃たれ、血が!」
レイが苦しい息を吐きながら、視線を胸に向ける。
レイⅯ「出て……ない」
レイの胸の聖書に、銃弾が食い込んでいる。
【ページ36】
遥子「マタギの家系なの。猟銃の扱いなんて、心得ているわ」
遥子は棚から、結束バンドを取り出す。
レイが逃げ出そうとする。
遥子は背中に馬乗りになって、動きを封じる。
遥子「あんたの負けね」
【ページ37】
〇レイの別荘・外(夜)
別荘の玄関の外の階段に、遥子が座っている。
周囲にはパトカーや救急車が止まっている。
彼女は毛布を羽織っている。
マークが歩み寄ってくる。
マーク「大変だったな」
遥子は彼を見上げる。
遥子「証拠は十分?」
マーク「もちろんだ」
マークと遥子が振り向く。
視線の先には、レイが担架に乗せられて運ばれていく。
【ページ38】
マーク「肋骨がぶち折れていたそうだ」
遥子「ザマァ見ろよ」
遥子は立ち上がる。
マーク「これから、どうするんだ」
遥子「わかんない」
雑木林の奥に、ただ歩いていく遥子の後ろ姿。
過労OLが海外ドラマの世界に転生する話 @Thomas42
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