行く末

森野 梟

行く末

 本当は分かっているのだ。自分が本当はただ愛されたいだけで、自分が愛した女性に後ろから柔らかく抱擁してもらいたいだけなのだと。だが、そういった望みのほとんどが、十年以上のもがきと苦しみによって形成された心の闇によって許されることはなかった。普通でないが故に、自分と合う人もそうそういるものではない。もう、孤独で押しつぶされそうだ。こうして文章を書いている今でさえも孤独が押し寄せてきている。

 人間の本来の在り方とは孤独なのだ。それは分かっている。分かっていてもどうしようもなく望んでしまう。誰かに理解されたい。理解されてしまうのは腹立たしいことだがそう思っている裏腹に、どこかでそう望んでいたのかもしれない。だが、誰にも理解されない。

「何考えてるかわからない。」

「目の奥が暗くて怖い。」

「真顔が怖い。」

そう言われるたび、理解してくれる人、しようとしてくれる人が減っていくのを感じて、笑いつつも自分の心のどこかがすり減っていくのを感じた。

 何一つとして解決できない。何一つとして何をしたらいいかわからない。何をすればいいと心に尋ねても何も答えてくれない。もうかれこれ十年以上もこの心の闇、孤独と闘い続けている。そろそろ限界が近いかもしれない。

もうだめそうだ、誰か助けてくれ。

言っても仕方ない。助けてと言っても、どうせ他人はお前をどうしたらいいか分からない。

助けてくれ。

どうせお前を気にしてくれる奴なんてどこにも居やしない。

死にたくない!誰かいないのか!!

お前は果てしない闇に向かって何を叫んでいるんだ?

誰か……!

何もいやしないよ。

嫌だ!!嫌だ嫌だ嫌だ!!どうか助けてくれ、助けてくれ……。...........................................

....................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................、分かった。お願いだ、もう終わらせてくれ。誰かこのくそみたいな人生終わらせてくれ。限界だ。

誰も殺しちゃくれない。

 心の声は天使よりも悪魔の方が饒舌で、何度も誘惑に負けて、何度も心の悪魔に負けて、何度も自分を嫌いになってきた。もはや、自分がゆくべきは孤独の道なのだ。もう考えるのはよそう。自分を愛することもできないやつが他人を愛することなどできたものではない。本当はどこかで分かっていたのだ。この十年以上のもがきと苦しみが、この心の広さと強さ、そして今生きている自分をつくってくれていたのだと。愛される要素は十分にできていたのだ。孤独を愛し、自分を愛そう。誰かに好きになってもらおうと躍起にならなくても良いのだ。自分の古くからの友として、自分をずっと見てくれていて、いつだって寄り添ってくれた自分自身がいるではないか。お前はお前なのだ。奮い立て。



                               行く末-完-

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