第九話「ギルドのお姉さんの秘密」
俺はフィーレと珠希の部屋に入る。
「おい!なんで俺だけラ○ホ仕様でお前らは普通の部屋なんだよ!おかしいだろ!」
「お兄ちゃん何言ってるの?」
「そうです、何言ってるんですか柊さん」
こいつらに俺の部屋を見せていいものなのか。珠希には絶対早いよな。うん、珠希はダメだ。
「……フィーレちょっと来てくれ」
「あ、はい」
「珠希は来るな」
「えーーなんでーーー!」
フィーレを俺の部屋に招待した。
…
……
………
「な……なんですかこれは」
「な?そうなるよな?」
「なんというか……とてもえっちな雰囲気ですね……」
あえて言わなかったのにそれ言っちゃうんだフィーレ……。
「まぁそういう事だ。フィーレ、俺と部屋を交換しないか?」
「え、嫌ですよ!」
「………なら俺もそっちに住まわせてくれ。この部屋で過ごすのは流石にキツすぎる」
「それならまぁいいですよ?」
「助かる」
ということで俺はフィーレと珠希の部屋にお邪魔することになった。もちろんあの後オーナーに他に部屋は無いかと聞いたが、全て使用されているとのことだった。
「しばらくよろしくなお前ら」
「お兄ちゃんと一緒だー!!」
「良かったですね珠希ちゃん」
ま、結構広いし三人くらいなら大丈夫だろ。プライベート空間はあまりないかもしれないが、一応ベッドも二つある。フィーレと珠希に一緒に寝てもらって、俺は一人で寝よう。
さて、時間もできたしステータスでも見るか。
「『マイステータス』」
レベル四十の解放条件……一体なんだろうか。この謎を解かなければ、俺は一生レベル四十のままだ。まだアビリティとかスキルとか欲しいんだけどな。
「はぁ〜〜〜分からん!!」
「強いものを倒すとかじゃないの?」
「何度も倒してきたぞ」
「じゃもっと上の!格上の!」
珠希は俺のベッドに飛び乗り言ってくる。
「強いのか……純粋なドラゴンとかか」
「そうだね!ドラゴンいいと思うよお兄ちゃん!」
マンドラゴラゴン倒せてるし、行けるとは思うんだけど、流石に怖いな。ドラゴンと言えばゲームでも最終局面で出るようなモンスターだろ?俺のレベル四十の状態で勝てるのか……?そもそも魔法が使えない俺に翼の生えたドラゴン相手に攻撃を当てられるものだろうか。
「……わかった。明日は、ドラゴンを狩る」
「正気ですか?柊さん…」
「それでこそお兄ちゃんだよ!」
ここで立ち止まる訳にもいかない。これで上がればいいがなぁ。
こいつらは連れていかない方がいいだろうか。
ドラゴンともなると流石に庇う暇すらなさそうだしな。
「ドラゴン狩りは俺一人でいくことにする」
「えー!私もいくぞ!お兄ちゃんよ!」
「珠希ちゃんの言う通りです!私ももちろん行きます」
だよな……まぁどうにかなるか?ドラゴンの強さが分からない以上何が正解なのかが分からない。
ひとまず今日は寝て、明日冒険者ギルドの受付のお姉さんに聞いてみるか。あの人結構詳しいしな。
***
「ドラゴン、ですか?」
「はい、マンドラゴラに寄生されてない純粋なドラゴンです」
「そうですね……ここら辺には恐らく居ないかと思いますよ?純粋なドラゴンは主に火山地帯に生息するので」
やっぱそうだよなぁ。こんな街の近くでドラゴンが出るなんて、俺がやってたゲームでもなかなか無いし。追うとなると、かなり遠い旅になりそうだな。
「分かりました。情報ありがとうございました」
「いえいえ」
受付のお姉さん曰く、この付近にドラゴンは出ないから討伐依頼も無いらしい。倒すついでに報酬金も、と思ったがそう上手くはいかないか。
「……ねぇお兄ちゃん、ドラゴン探すの?」
「ん〜……いや、一ヶ月宿取っちまったしな……今からドラゴン追うとなると遠出になるだろ?一ヶ月の宿代無駄になるのは嫌だしな。行くとしたら一ヶ月後だな」
「そうですね、その方がいいと思います」
その間にレベルについてもう一度調べてみるか。同じ転生者が居れば一番早いんだが、そう上手く見つかるわけが無いよな。
俺たちはドラゴン討伐を後回しにし、作戦会議の為、一度宿に戻ることにした。
…
……
………
なにやら隣の部屋が騒がしい。艶かしい声が聞こえてくる。
「……ねぇお兄ちゃん、なんか聞こえない?」
「聞こえない」
「聞こえま……せんね」
フィーレは何か分かったようだ。
俺は自分の部屋(ラ○ホ)の鍵を店のオヤジに返却した。宿泊料金が一部屋分空いたのは大きい。が、その後直ぐに使用済みになったらしい。艶かしい声が俺が元いた部屋から聞こえてくる。
「……ねぇ、やっぱりなんか聞こえ――」
「――聞こえない」
「あははは……」
おい隣人こんな
「……お前らちょっと待ってろ」
「どこいくの?」
「……トイレだ」
「トイレならそこにありますよ?」
部屋に備え付けてあるトイレを指さして言うフィーレ。チョットは空気読めよ……!俺はフィーレに目で合図を送った。
「……ん?……あ、なるほど」
俺の合図にフィーレが笑顔でウィンクしてきた。
ダメだな。もういい、行こっと。俺は部屋を出た。向かうはラ○ホ、もとい元俺の部屋だ。
「あの〜隣のものですけど、うるさいのでもう少し静かにして貰えませんか?声丸聞こえなんですが」
俺はノックをする。すると、艶めかしい声が止み、ドタバタと中から焦る様な音が聞こえ、直後に扉が開いた。
「すみません!うるさくするつもりは無かったんです――」
「え」
「……あ」
俺は無言で扉を閉め、考える。中にはなんか見た事ある人が居た。
「……受付のお姉さんじゃん」
俺は部屋に戻る事にした。
「どうしました?柊さん」
「……見てはいけないものを見た気がした」
「なにそれ!私も見たいお兄ちゃん!」
「お前にはまだ早い……はぁ。次会う時どんな顔して会えばいいんだ」
クエストを受注する時、気まずいなんてもんじゃないだろこれ。
と、思っているとノックが聞こえた。
「あのー、すみませーん」
「……あの柊さん、お客さんですよ」
「俺が出るしかないのか……はいはーい今開けますよー」
俺はゆっくりと扉を開ける。
「……あ、どうも柊さん」
「どうも」
「何も見てないですよね」
「……見ては無いです。ただ聞こえてきただけです」
「そうですか……その――」
「――いえ、俺はなにも聞こえなかったし見てもいない。辞めましょう。お互い気まずくなるだけです」
「……そ、そうですよね!ありがとうございます柊さん。私もあの……ギルドの職員として色々と任されているもので……なにかと溜まるんですよ」
「ははは、そうですか」
なにも聞いてねーよ。頼むからこれ以上何も言わないでくれお姉さん。気まずくなるだけだし、なんて返せばいいのか分からん!
「……では、これで。お姉さんも少し声のトーン下げてくだされば、全然問題ないので。では、おやすみなさい」
「あ、はい。おやすみなさい」
お姉さんは去っていった。というより、部屋に戻って行った。
はぁ……まさかお姉さんがあんな人だったなんて。いやまあ、人間だしな。俺の勝手なイメージを押し付けるのは良くないよな。
俺はまだ昼だというのにおやすみなさいという言葉をかけた。
「……はぁ、疲れた。俺もちょっと寝る」
「ええ!?もう寝るんですか!?まだ昼ですよ?」
「お兄ちゃん早いね!」
寝て忘れたいというのが本音かもしれない。起きたら忘れててくれないかな〜俺の記憶。……そんな都合のいい事あるわけないか。
この件の後、俺はLUKが少し上がっていた。
◇◇◇
《
Lv.40
HP【4900/4900】 MP【0/0】
STR【500】 ATK【500】
VIT【50】 DEF【50】
INT【50】 RES【50】
DEX【50】 AGI【50】
LUK【50】
アビリティ:【不器用な魔法使い】
アビリティ:【魔法使いのとっておき】
アビリティ:【魔法使いの最終手段】
アビリティ:【魔法使いの掟破り】
スキル:【ミスディレクション】
装備:【戦士のピアス】
◇◇◇
【不器用な魔法使いLv2】
・与える物理ダメージ3倍
【魔法使いのとっておきLv2】
・物理ダメージのクリティカル率100%+10%ダメージ上乗せ
【魔法使いの最終手段】
・杖所持→未所持になった場合のみ、10秒間物理ダメージ5000%上昇
【魔法使いの掟破り】
・魔法使いに与える物理ダメージが500%上昇し、魔法使いから受ける魔法ダメージを0にする。
スキル【ミスディレクション】
・【MP消費0 相手の視界から一時的に消えることが出来る。
※ただし、相手との力量で効果変動
【戦士のピアス】
・物理ダメージ5%上昇
◇◇◇
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