第五話「スキル獲得?」
今日は俺だけで狩りをしに来ている。フィーレは用事があるのですみませんとの事だ。それならちょーどいいかもと俺はマンドラゴラゴンを狩りに来ていた。昨日は連れ回して少し罪悪感を感じていたからな。一人ならそんな心配もない。
「……よし、じゃあサクッと倒してレベル四十になりますか!」
俺はマンドラゴラゴンが生息している森に再び足を踏み入れる。
昨日狩りすぎたからほとんど居ないと思っていたが……居た。
リポップでもしているんだろうか。まぁそんな事はどうでもいい。マンドラゴラゴン、この森にいるヤツら全員狩り尽くしてやる。
俺は杖を片手に森を駆け回る。
すると早速現れた――
「もう慣れてんだよお前の対処は!」
俺は不意をつくなんて真似はしない。もう真正面から突撃だ。
「はああああああああああああっ!」
鈍い音が森中に響き渡り、野生動物が離れていく。
【レベルが四十に上がりました】
よし、さぁ何が貰えるよ。アビリティ……!
【スキル:『ミスディレクション』を獲得しました】
なに!? スキルだと……? 念願のスキルじゃねぇか!
……でも魔力ゼロの俺に使えのかこれ。またいつもの画面俺の前に現れる。
スキル『ミスディレクション』
・MP消費ゼロ 相手の視界から一時的に姿を消す事が出来る。
※ただし、相手との力量で効果変動
MP消費無しはデカい……! 魔力ゼロの俺でも使う事が出来る!
それに魔力消費ゼロってことは何度でも使う事が出来るって事だよな。
これはいいぞ……! ただ、力の差がありすぎると効果が無いかもしれない。あまり過信せずにしよう。
【アビリティ:『魔法使いの掟破り』を獲得しました】
・魔法使いに与える物理ダメージが五百%上昇し、魔法使いから受ける魔法ダメージをゼロにする。
おいおいなんだよ。アビリティまでくれんのか……いや、にしてもなんだこのアビリティは。魔法使いになんか恨みでもあるのかって感じのアビリティだな。もし魔法使いと戦うことがあったら負けることは無さそうだが、使い道がかなり限られるアビリティだな……。あんまり使うことは無さそうだ。
***
……
……………
…………………
「おいおい聞いたぜ〜? 兄ちゃん魔法使えないんだって〜? この街で最強の魔法使いである俺が教えてやろうか〜?」
「……………必要ない。話しかけるな鬱陶しい」
「はぁ!? テメェなめた口聞いてんじゃねぇぞ! 先輩が魔法を教えてやるって言ってんだ! 魔法使えないんだろぉ〜?」
「使えるけどなにか?」
「だったら見せてみろよ〜?」
早速絡まれた。鬱陶しいなぁ……。
俺はマンドラゴラゴンを狩りに森に出た。結局あの一体以降見つからなかったので、仕方なく冒険者ギルドに換金をしに来た。
そしたらコイツに絡まれたって訳だ。
「……はぁめんどくさ。いいよじゃあかかってきなよ」
「いい根性してんじゃねぇか〜? 表出ろ!!」
ということで冒険者ギルドの前にいる。周りには野次馬が沢山いる。俺の応援をしているやつは……うん、居ないな。生意気なヤローをぶっ殺せ! とか怖い言葉が聞こえてくる。俺なんかしたか?
「……はぁ……俺この世界に来て理不尽な事ばっかだよ」
「今更後悔か〜? 泣いて謝るなら許してやってもいいぜ? そうすりゃ半殺しで止めてやるからよ」
「いいよ遠慮しとく。早くして」
「あ〜!? テメェまじで腹立つな。先輩冒険者として後輩を躾けるの俺の役目だ! 全力で殺してやる!!!」
躾けるのか殺すのかどっちだよ。
にしても相手さんかなりお怒りだな。周りの野次馬もヒートアップしている。誰か俺の応援してくれよな〜。ここは血の気が多いやつばかりなのか?
とはいえ俺も策が無いわけじゃない。というより、試してみたいことがあった。さっき獲得したばかりのアビリティだ。使い道なんてないと思っていたが、まさかこんな直ぐに訪れるとは……。
さて、どんなものか試させてもらおうか。
「いくぞ!! 『ファイアーボール』!」
なるほど、無詠唱か〜。確かに言うだけのことはあるな。いや、初級魔法には詠唱は存在しないのか? 俺自身が魔法を使えないから魔法についてはさっぱりだ。避けることも出来るが俺は避けない。獲得した例のアビリティを試したいからな……!
俺は勢いよく放たれた炎の玉を直撃する。
「ハッハハハハハッ! 丸焦げにしてやったぜ!」
「…………何をだよ」
HP《4900/4900》
【アビリティ:『魔法使いの掟破り』により魔法を無力化しました】
なるほどな……これは使える。HPも減ってない。炎の玉が直前まで来た時は正直かなりビビったが、寸前で薄いバリアのようなモノが出現し、俺をダメージから防いでくれた。お陰で無傷だ。
「……ばかな!? 俺の『ファイアーボール』はあのトロールにも効くんだぞ!?」
「ほら、どんどん撃てよ」
俺は煽ってみる。その後も男は『ファイアーボール』を連発してくるが、変わらず俺にダメージは入らない。
【アビリティ:『魔法使いの掟破り』により魔法を無力化しました】
【アビリティ:『魔法使いの掟破り』により魔法を無力化しました】
【アビリティ:『魔法使いの掟破り』により魔法を無力化しました】
……
…………
…………………
「……はぁ……はぁ……魔力が……」
「もう終わり?」
どうやら魔力が底をついたみたいだな。なら終わらせてやるか。
せっかくだし手に入れた新しいスキル使ってみるか。
「スキル『ミスディレクション』」
「……はぁ……はぁ……なに? 消えた!? どこへいった!?」
この反応だと本当に見えていない様だな。周りの野次馬達も、あの生意気なガキどこへいった!? とか消えたぞ!? とか騒いでいる。……なるほど、これは力量差があるやつはもれなく全員見えないのか。
つまり、ここで俺の姿が見えている奴は俺と同等か、もしくは俺より強いヤツってことだ。
さっさと終わらせてやるか……死なない程度に。
俺はチンピラ冒険者の背後に回り、杖で軽く頭部を殴る。
「ほいっ」
「――ぶぎゃ」
情けない声を上げながら、チンピラ冒険者は地面に倒れた。
「軽く殴っただけだが、死んでないよな……?」
「……おいあいつやべぇ」
「魔法使いなのに杖で殴りやがった」
「魔法使いの風上にも置けねぇ」
おいおいまるで俺が悪者みたいじゃないか。喧嘩を吹っ掛けてきたのはそいつだろ。でもチャンスだな。こういうのはもうこれっきりにして欲しい。ここらで俺の名前を売っとくか。
「……もう俺の相手をしてくれるやつはいないか? 居たら手を挙げてくれ。相手をするから」
俺の発言に誰も声を上げようとしない。場は静寂に包まれた。
うん、居ないな。
「…………フッ」
「……ん?」
今誰かに笑われたような……?
「流石ですね! 柊さん!」
「ああ、フィーレ居たのか」
「途中からですが見てました! と言っても私が来た頃には既に終わっていましたが……」
それは良かった……この子に人を殴ってる所はあんまり見せたくないしな。
「残念だったな。せっかく俺の魔法を見れるチャンスだったのに」
「えぇ!? 魔法使ったんですか! 私も見たかったですぅ……」
「ま、まぁいずれな」
魔法というよりマジックだが……スキル『ミスディレクション』。マジックなどで使われる相手の注意をそらすテクニック。
ある意味これも魔法だ。魔法は英語でマジックだし俺はなにも間違ったことは言ってない筈だ……多分。
「……はぁ、疲れたから今日は寝る」
「え? まだお昼ですよ?」
「あ〜うん、やりたいこともあるしな。俺はいつもの宿に先帰ってるから〜」
俺はフィーレにそう伝え宿へ帰ることにした。
俺が早く帰りたかった理由はステータスポイントの振り分けの為だ。
レベル三十から貯めていたポイント。これを解放する。
今までSTRに振りまくって居たが、流石にここら辺で違うステータスを上げておきたいところだな。
俺はベッドの上で一人考える。
――よし!
こうして俺はステータスポイントを振り分け、少し早いが眠りについた。
◇◇◇
《
Lv.40
HP【4900/4900】 MP【0/0】
STR【500】 ATK【500】
VIT【50】 DEF【50】
INT【50】 RES【50】
DEX【50】 AGI【50】
LUK【0】
アビリティ:【不器用な魔法使い】
アビリティ:【魔法使いのとっておき】
アビリティ:【魔法使いの最終手段】
アビリティ:【魔法使いの掟破り】
スキル:【ミスディレクション】
装備:【戦士のピアス】
◇◇◇
【不器用な魔法使いLv2】
・与える物理ダメージ3倍
【魔法使いのとっておきLv2】
・物理ダメージのクリティカル率100%+10%ダメージ上乗せ
【魔法使いの最終手段】
・杖所持→未所持になった場合のみ、10秒間物理ダメージ5000%上昇
【魔法使いの掟破り】
・魔法使いに与える物理ダメージが500%上昇し、魔法使いから受ける魔法ダメージを0にする。
スキル【ミスディレクション】
・【MP消費0 相手の視界から一時的に消えることが出来る。
※ただし、相手との力量で効果変動
【戦士のピアス】
・物理ダメージ5%上昇
◇◇◇
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