第8話 閑話 〇国の宇宙ステーション運用管制室
≪この小説はフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係ありません。≫
〇国の宇宙ステーション運用管制室では、放棄した宇宙ステーションが何処に落下するか、必死に計算していた。
宇宙ステーションの損傷ダメージが深刻で、南太平洋のポイント・ネモに制御落下させることが出来ず、逆噴射で減速させて大気圏に再突入させる以外は、殆ど制御らしいことが出来なかったのだから、仕方がない。
しかし万が一にも、放棄した宇宙ステーションが自国内に落下すれば、宇宙ステーション運用管制室の責任者とスタップたち全員の首が、物理的に飛ぶ可能性があるのだから、落下予想地点が判明するまで、皆戦々恐々としていた。
「所長、宇宙ステーションの落下予想地点のシュミレーション結果が出ました、日本の南アルプス付近です」
「我が国内に宇宙ステーションが落下する可能性は無いのか」
「ありません、たとえ大気圏突入時に宇宙ステーションが爆発して複数に分離したとしても、落下地点は日本と日本近海の太平洋です、日本政府に通告しますか」
「面倒ごとは御免だ、今後出世したければ、日本政府から外交ルートで問い合わせが来ても、我々は一切知らぬ存ぜぬで押し通すんだぞ」
「だが念のための保険として、党本部にだけは、事故で我が国の宇宙ステーションが、日本の無人の山奥に落下する見込みとだけは簡単に報告しておけよ」
「それだけでよろしいので?」
「大丈夫だ、宇宙ステーションが日本の何処かに落ちたところで、後から申し訳なさそうに、不慮の不幸な事故だと伝えさえすればいいのさ。日本政府はどうせ『遺憾の意』の表明以外は何もしてこない。我々は党本部の意向だけを、たとえ嘘偽りでもハイハイと、聞いているフリ従っているフリをしていればイイのだよ、後は報道官が自分たちに都合がいいような脚色と理由を付けて、適当に発表をしてくれるさ」
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先日、アストロスケール社の衛星によって、H2Aロケット上段部分のスペースデブリが、至近距離で撮影されたとのニュースがありましたが、あくまで接近して撮影したのみでした。
8月7日にも中国のロケットが、地上から810キロ上空で分解し、大量のスペースデブリを発生させたそうです。
スペースデブリの除去方法が確立できなければ、近い将来、人工衛星を打ち上げることすら出来なくなるのだそうです。
せめて日本の人工衛星打ち上げロケットくらいは、人工衛星を軌道に投入後、自力で大気圏に再突入する仕様にして貰いたいものですよ。
理想はスペースシャトルのようなカーゴスペースとロボットアームのある機体を新たに開発して、カーゴスペースに古い衛星やスペースデブリを回収して回るでしょうが、衛星を打ち上げる以上の莫大な費用を負担する必要があるので、何処の国も絶対に計画しないでしょうね。
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