第7話 閑話 消防飛行艇すいしん

≪この小説はフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係ありません。≫



 「総理、『超広域災害救助隊』に配備した『消防飛行艇すいしん』についての問い合わせが、同盟国の☆国と◇国から届いてますが、どのように回答しますか」


 「消防飛行艇は海難救助飛行艇と同様で武装していないから、兵器扱いしないで済むな、野党も輸出に反対はしないだろうが、かなり特殊な機体だから、購入価格は3機で確か420億円だったぞ、いくら今円安で1ドル150円前後で推移しているとは言え、本当に買ってくれる国があるのか?カナダの消防飛行艇より、まだかなり高いはずだぞ」


 「そう言えば昔、非武装の海難救助飛行艇の売り込み失敗しましたね」


 「自衛隊向けの海難救助飛行艇は、配備機数が少なくてコストダウンが出来ず、値段が高すぎるからとインドとの交渉は決裂しただろ、二の舞にならないか」


 「そうでした、海難救助飛行艇の製造数が少ないのでした、今は消防飛行艇の製造でギリギリ製造ラインを維持しているが、製造数の少なさが高価の原因でしたね」


 「同盟国に消防飛行艇や海難救助飛行艇がコンスタントに売れれば、増産効果でコストダウン出来て、我が国の調達価格も下がるのだがな」


 「もしかすると、超広域災害救助隊や消防飛行艇を製造した新明〇工業にも既に問い合わせが入っているかも知れませんね、念のため確認してみますか」


 「頼む、そうしてくれ、あと自衛隊で性能評価試験をしていた霞ケ浦の『消防飛行艇試験0号機』だが、同盟国に出向いての消火活動デモストレーション飛行が出来ないかの問い合わせも、合わせてしておいてくれ」


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 その頃、新明〇工業の航空機事業部にも、消火活動で活躍した消防飛行艇について、他国からの問い合わせや新聞社・テレビ局といったオールドメディアからの取材申し込みが複数来ていた。


 「事業部長、他国からの問い合わせは政府に対応をお願いするしかありませんが、オールドメディアからの取材申し込み対応はどうします?」


 「隣国びいきのメディアも結構な数あるからな、某野球選手の時みたいに真面に取材せず、勝手にドローンを飛ばして上空から盗み撮りしたり、まだ一般公開できない機密情報を探られたり、変な方向に偏向報道をされたら困るな」


 「一々全てのメディアを問題ないか精査して対応しいたら仕事になりませんね、政府と超広域災害救助隊に、今後どう対応する方針なのか、問い合わせしましょうか」


 「そうしてくれ、可能なら政府と超広域災害救助隊との合同で、1回だけの共同記者会見で済ませたいとの希望も伝えておいてくれ」


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 急な取材攻勢で困っているのは、超広域災害救助隊でも同様でした。


 「隊長、新聞・雑誌・テレビ局等オールドメディアからの取材申し込みが殺到していて、今の広報組織では対応困難です」


 「メディアの取材対応で、飛行訓練等に支障が出たり、緊急出場に遅れが出ては困るな、こちらも組織が立ち上がったばかりで不慣れだからな、政府に今後の取材に対する対応策を協議したい旨伝えてくれ」


 「了解しました」


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 消防飛行艇が消火活動で大活躍したことで、同盟国や様々なメディアへの対応が必要となり、色々と必要以上に忙しくなる政府や超広域災害救助隊、新明〇工業の航空機事業部でした。


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 完結済みのままで、久しぶりに閑話の形で掲載してみました。


 リアルでは、海難救助飛行艇の注文が入らないので、製造ライン維持が困難との噂も聴こえてきています。


 小笠原諸島などの飛行機が運航されていない離島への移動手段として、海難救助飛行艇を改造した人員輸送兼貨物輸送用の飛行艇が、定期便で採用されれば全て解決しそうなのですが、都合のイイ時には自衛隊を便利に使うくせに、政府って本当に動きませんよね~


 まだ続編用の面白いアイデアが浮かんできません・・・

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